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第三章 終焉を呼ぶ七大天使
第193話 ガブリエル
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光に包まれた世界で、一人跪き……一体の女神像に祈りを捧げる大きな翼の天使……。彼女の名はガブリエル、七大天使に名を連ねる最高序列の天使だ。
そして彼女の目の前にある女神像は、彼女の主神をモチーフにして作られた崇拝するための像。
「今こそ使命を果たします。」
そう言って彼女は女神像の前に添えてあった一輪の大きな百合の花を手に取ると、立ち上がりくるりと踵を返した。
すると、彼女の前に大量の跪ずいた天使達が現れる。
「さぁ、始めましょうか。裏切り者に粛清を……罰を与えましょう。」
天使たちに向かってそうガブリエルは口にすると、さらに続けて言った。
「審判の時です。」
彼女がそう口にすると同時に天使達は一斉に立ち上がり、ガブリエルが通る道を開けた。
天使達が作った道を歩き進むガブリエル、そんな彼女を待っていた者が一人……。
「ガブリエルさん、使命を果たしに行くんですね?」
「ミカエル……。わざわざ出迎えに来たのですか?」
ガブリエルを待っていたのは、同じく七大天使に名を連ねるミカエルだった。
「よければ、私も手を貸しましょうか?」
にこにこと微笑みながらそうミカエルは問いかける。すると、ガブリエルはゆっくりと首を横に振った。
「いいえ、必要ありません。これは主神より賜った私の使命……それに、少しでもこちらの情報は隠しておきたいですから。なのでミカエル、今回はあなたのその気持ちだけ受け取っておきます。」
「あらら……残念です。ではくれぐれも気を付けて……くださいね。」
「…………?もちろんです。」
そう口にしたミカエルになにか違和感を感じたようだが、ガブリエルは特にそれを気にとめることはなく、天使達の軍勢を率いて使命を果たしに向かった。
そしてポツンと一人取り残されたミカエルは、自分達を生み出した女神を象った女神像の前に歩み寄ると、歪に口角を歪めながらつぶやく。
「姉様、たった今ガブリエルがそちらに向かいました。」
「フフフ、動き出しましたか。ガブリエルの顔を見るのも久しぶりですね。普段表情を崩さない彼女が……私の姿を見たらどんな反応をするのか、楽しみですね。」
ミカエルが通信を繋いだのはルシファーだった。会話越しでもルシファーが楽しそうにしている感情が伝わってくる。
「ミカエルも後で向かいますか?」
「いいえ、ミカエルはそこで待機していなさい。動きを不審に思われてはいけませんからね。」
「わかりました!!」
「ではこれで通信は終わります。また何か動きがあったら連絡を……。」
その言葉を最後にミカエルとルシファーの通信が終了する。そして通信を終えたミカエルは、恍惚とした表情を浮かべると女神像の前で体をくねらせた。
「うふっ♪これでまたミカエルは姉様に貢献できました。全部終わった後にどんなご褒美がもらえるのか……ミカエルは楽しみで、楽しみで仕方がありませんっ!!」
普段他の者に見せることがないような、にやけ面ですっかり妄想の世界に入り込んでいるミカエル。ひとしきり、考えうるご褒美を妄想すると彼女は興奮を収め、いつもの清楚な表情に戻った。
「さてと……それじゃあ~元主様のところに帰りますかね~っ。」
七大天使に共通する大きな翼を羽ばたかせると、ミカエルは元主のもとへと戻っていった。
◇
そしてミカエルから報告を受けたルシファーは、すぐさまレトのもとへと向かった。
「レト様、失礼致します。」
「あらルシファーじゃない。どうしたの?」
天界から盗撮したルアの写真集を眺めていたレト。そんな呑気に過ごしていた彼女にルシファーは先程ミカエルに伝えられたことを話した。
「ミカエルから通達がありました。ガブリエルがこちらに向かっているようです。」
「あちゃ~……もう動いてきたの。あのメンヘラ、手回しだけは早いのね~。」
やれやれと呆れながら、パタンとルアの写真集を閉じたレトはルシファーに問いかける。
「それで?まだ全然他の子達は対抗できるようになってないんでしょ?勝算はあるの?」
「私とルア様が協力すれば……問題ありません。もしかすると、私の出番すらないかもしれませんね。」
「あなたがそう言うのなら、間違いないわね。で、ガブリエルが一人で来るっていうのは考えにくいけど……他の天使は私が相手したほうがいいかしら?」
「いえ、レト様のお手を煩わせるまででもございません。それに……天使達との戦いのなかで欲を目覚めさせる者が出てくるかもしれませんから。」
「……なら、任せるわよ?」
「おまかせ下さい。このルシファー、必ずや使命を果たしましょう。」
ルシファーはそう言ってレトの前に跪ずくのだった。
そして彼女の目の前にある女神像は、彼女の主神をモチーフにして作られた崇拝するための像。
「今こそ使命を果たします。」
そう言って彼女は女神像の前に添えてあった一輪の大きな百合の花を手に取ると、立ち上がりくるりと踵を返した。
すると、彼女の前に大量の跪ずいた天使達が現れる。
「さぁ、始めましょうか。裏切り者に粛清を……罰を与えましょう。」
天使たちに向かってそうガブリエルは口にすると、さらに続けて言った。
「審判の時です。」
彼女がそう口にすると同時に天使達は一斉に立ち上がり、ガブリエルが通る道を開けた。
天使達が作った道を歩き進むガブリエル、そんな彼女を待っていた者が一人……。
「ガブリエルさん、使命を果たしに行くんですね?」
「ミカエル……。わざわざ出迎えに来たのですか?」
ガブリエルを待っていたのは、同じく七大天使に名を連ねるミカエルだった。
「よければ、私も手を貸しましょうか?」
にこにこと微笑みながらそうミカエルは問いかける。すると、ガブリエルはゆっくりと首を横に振った。
「いいえ、必要ありません。これは主神より賜った私の使命……それに、少しでもこちらの情報は隠しておきたいですから。なのでミカエル、今回はあなたのその気持ちだけ受け取っておきます。」
「あらら……残念です。ではくれぐれも気を付けて……くださいね。」
「…………?もちろんです。」
そう口にしたミカエルになにか違和感を感じたようだが、ガブリエルは特にそれを気にとめることはなく、天使達の軍勢を率いて使命を果たしに向かった。
そしてポツンと一人取り残されたミカエルは、自分達を生み出した女神を象った女神像の前に歩み寄ると、歪に口角を歪めながらつぶやく。
「姉様、たった今ガブリエルがそちらに向かいました。」
「フフフ、動き出しましたか。ガブリエルの顔を見るのも久しぶりですね。普段表情を崩さない彼女が……私の姿を見たらどんな反応をするのか、楽しみですね。」
ミカエルが通信を繋いだのはルシファーだった。会話越しでもルシファーが楽しそうにしている感情が伝わってくる。
「ミカエルも後で向かいますか?」
「いいえ、ミカエルはそこで待機していなさい。動きを不審に思われてはいけませんからね。」
「わかりました!!」
「ではこれで通信は終わります。また何か動きがあったら連絡を……。」
その言葉を最後にミカエルとルシファーの通信が終了する。そして通信を終えたミカエルは、恍惚とした表情を浮かべると女神像の前で体をくねらせた。
「うふっ♪これでまたミカエルは姉様に貢献できました。全部終わった後にどんなご褒美がもらえるのか……ミカエルは楽しみで、楽しみで仕方がありませんっ!!」
普段他の者に見せることがないような、にやけ面ですっかり妄想の世界に入り込んでいるミカエル。ひとしきり、考えうるご褒美を妄想すると彼女は興奮を収め、いつもの清楚な表情に戻った。
「さてと……それじゃあ~元主様のところに帰りますかね~っ。」
七大天使に共通する大きな翼を羽ばたかせると、ミカエルは元主のもとへと戻っていった。
◇
そしてミカエルから報告を受けたルシファーは、すぐさまレトのもとへと向かった。
「レト様、失礼致します。」
「あらルシファーじゃない。どうしたの?」
天界から盗撮したルアの写真集を眺めていたレト。そんな呑気に過ごしていた彼女にルシファーは先程ミカエルに伝えられたことを話した。
「ミカエルから通達がありました。ガブリエルがこちらに向かっているようです。」
「あちゃ~……もう動いてきたの。あのメンヘラ、手回しだけは早いのね~。」
やれやれと呆れながら、パタンとルアの写真集を閉じたレトはルシファーに問いかける。
「それで?まだ全然他の子達は対抗できるようになってないんでしょ?勝算はあるの?」
「私とルア様が協力すれば……問題ありません。もしかすると、私の出番すらないかもしれませんね。」
「あなたがそう言うのなら、間違いないわね。で、ガブリエルが一人で来るっていうのは考えにくいけど……他の天使は私が相手したほうがいいかしら?」
「いえ、レト様のお手を煩わせるまででもございません。それに……天使達との戦いのなかで欲を目覚めさせる者が出てくるかもしれませんから。」
「……なら、任せるわよ?」
「おまかせ下さい。このルシファー、必ずや使命を果たしましょう。」
ルシファーはそう言ってレトの前に跪ずくのだった。
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