もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第三章 終焉を呼ぶ七大天使

第223話 東雲vsラグエル

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「殺してやるぞ!!ラグエルっ!!」

「うぇへへへ……愚かですねぇ~。愚か者に送るものはないといいますが、ラグエルは寛大なので、あなたには鎮魂歌レクイエムを奏でてさしあげましょ~。」

 向かってくる東雲へと向かって、不敵に笑いながらラグエルは終焉のラッパに口を当てると、暗い音色を奏で始めた。

 すると突然東雲の体がガクンと重くなる。

「ぐっ……。」

「苦しいですかぁ~?体が重くなってきましたよねぇ~、でも今はまだ序の口ですよぉ~。これから、命が落ちていく感覚をゆっくりと味わってもらいますからねぇ~♪うぇへへへへ♪」

 ラッパに口を当てながら東雲の頭の中の語り掛けてくるラグエル。彼女はさぞかし楽しそうに暗く悲しげな曲を奏で続けるが、目下に見下していた東雲がニヤリと笑ったことで演奏が一度ぴたりと止まる。

「くくくくくく、こんな聴いていて気分の悪い曲はないな。」

 東雲は笑いながらそう言うと、自分を蝕んでいたラグエルの音色を一蹴するように憤怒の炎を体の内側から燃やした。

「おや~、ラグエルの作った曲が気に入りませんかぁ~?たいていの下民は泣いて喜びながら命を消していくんですけどねぇ~。」

「何やら勘違いをしているようだが……。」

 ラグエルの目の前から東雲は突然姿を消した。

「貴様の奏でる音色はこの上ない。まさにだっ!!」

 一瞬でラグエルの背後に回り込んだ東雲はラグエルの後頭部に思いきりけりを叩き込んだ。

「わひゃぁっ!?」

 すると、変な声をあげながら彼女は大きく吹き飛んでいく。クリーンヒットしたかのように見えたその一撃だったが、東雲の表情は硬いままだった。

 地面に触れる直前で身をひるがえして、あっさりと体勢を立て直したラグエルはにやけ顔を崩さずに東雲のことをじっと見つめる。

「さすが、欲をコントロールしているだけあって防壁をあっさり超えてきますかぁ。いやはや、下界の人間は恐ろしいですねぇ。」

「そういう貴様も防壁とやらを過信せずに妾が蹴りを当てた瞬間に自ら飛んで威力を殺したな。」

「まぁあなたみたいな欲をコントロールした輩を相手にするのは初めてじゃないですからねぇ~。防壁なんて初めから信用してませんよぉ~。」

「ほぅ?」

「あなたは知らないかもしれないですけどぉ、天使の中には欲におぼれて堕天する者もいます~。そんな天使の名を汚す輩を始末するのもラグエルの役目なのですよぉ~。だ・か・ら……。」

 ラグエルは再びラッパに口を当て、音色を奏でようとした。

「させんぞ!!」

 それにすぐに東雲は反応するが、ラグエルのもとにたどり着く前にぶつんと突然目の前が真っ暗になってしまう。

「なっ!?」

「うぇへへへへ♪目が見えませんかぁ~?どうしてでしょうねぇ~。」

 暗闇の中でラグエルの声だけが反響する。

「演奏をおとなしく聴かないような悪~い人間はこうやっておとなしくさせるのが一番ですからねぇ~。」

(くっ、何も見えん。これもやつの力なのか!?)

「さてさて、それでは演奏を再開しましょうかぁ~♪」

 突然暗闇に包まれ、身動きが取れずにいる東雲の耳に先ほどラグエルが奏でていた暗い音色が再び聞こえ始めるのだった。
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