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第三章 終焉を呼ぶ七大天使
第228話 ルアの目覚めとルシファーの手料理
しおりを挟む「んぅ……ふぁ。」
ルアが眠りからゆっくりと目を覚ます。
「おはようございますルア様。」
「あ、ルシファーさん……。」
目を覚ましたルアを見下ろし微笑んでいたのはルシファーだった。
「あ、れ?そ、そうだ天使はっ!?天使はどうなったんですか!?」
「落ち着いてくださいルア様。天使はしっかりと東雲さんが倒しましたよ。」
「そうですか……東雲さんに怪我はありませんか?」
「だいぶ重傷を負いましたが、アルテミス様の懸命の治療のおかげでなんとか回復はしました。今は使い切った魔力を回復するために眠りについております。」
「とにかく今は無事……なんですね?」
「はい。」
東雲が無事であることをルシファーから聞いてホッと安堵のため息を漏らすルア。
「他のみんなは大丈夫なんですか?」
「はい、他の皆様方も無事でございます。ラグエルの終焉のラッパによる身体的被害は受けておりません。」
「よかった……。あ、そういえばルシファーさんの知り合い?の天使さんはどうしたんですか?」
「彼女にはまた天界に戻ってもらいました。まだまだ情報を収集してもらわなければなりませんから。」
ルシファーから偽物の終焉のラッパを受け取ったミカエルは、再び天界へと戻っていったのだ。それはもちろん彼女の本来の任務であったラグエルが倒されてしまった場合、彼女の神器である終焉のラッパを回収するというものをこなすためだ。
「今回ラグエルを東雲さんが倒したため、これで私たちが倒さねばならない七大天使は、残り四体になりました。」
「まだ四体もいるんですね。」
「フフフフ、そんなに不安そうな表情をなさらないでくださいルア様。残り四体とはいえ、こちらには単騎で大天使を倒せる実力を持った人が三人もおります。メタモルフォーゼによって神に等しい力を得ることのできるルア様、そして東雲さん、さらに私……。」
そう語りながらルシファーはルアの頭を撫でる。
「そしてまだ大天使と相対したことこそないものの、十分に戦えるほど実力を高めている由良さんたち……。ここにいる皆様の力があれば残る四体の天使程度どうってことはありません。」
「でも、みんなを守るならボクももっと強くならないと……。」
「一人で気負いすぎるのもよくありませんよ。この世界ではルア様はまさに至宝のような存在です。ルア様なくしてこの世界に未来はありません。どうかご無理はなさらないよう……お願いいたします。ルア様が皆様を想っているように皆様もルア様のことを想っているのですから。」
「……わかりました。ありがとうございますルシファーさん。ちょっと気持ちが楽になりました。」
頭を撫でながらずっと優しく語り掛けてくれていたルシファーにルアはにこりと笑いながらお礼を言った。ルアの表情に笑みが戻ったのを見てルシファーも満足そうな表情を浮かべた。
「あっ、それじゃあボク……東雲さんのお見舞いに行って……わわっ!?」
ルアは東雲のお見舞いに行くべく、ベッドから起き上がろうとすると、足に力が入らずフラフラと倒れこみそうになる。
そんな彼をルシファーが優しく抱き止めた。
「あ、ありがとうございますルシファーさん。」
「ルア様、先程ご無理はなさらないように……と申し上げたばかりですよ?ラグエルが襲来して三日間寝たきりだったのですから、体に力が入らないのも当然です。」
「え、えっ!?み、三日間も寝たきりだったんですか!?」
「はい。」
思わぬ事実にルアは驚きの声を上げてしまう。
「東雲さんのお見舞いに行きたいというルア様のお気持ちは十二分にお察しいたしますが……まずは少しでもお腹を膨らませてはいかがでしょうか?」
「あぅぅ……そういえば、すごくお腹が……。」
ルシファーの言葉に答えるように、ルアのお腹からきゅるるる……と空腹を知らせる音が鳴り響いた。
「生憎由良さんが未だ目が覚めていらっしゃらないようなので、ルア様のご飯は私がご用意させていただきますね。」
「はぇ?ルシファーさん……料理できるんですか?」
「フフフフ、お任せください。こちらの世界のお料理のことは以前由良さんに教わりましたので。簡単なものであれば私でも作れますよ。」
そしてルシファーは足元がおぼつかないルアのことをお姫様抱っこして厨房へと向かい、軽いご飯をルアにご馳走するのだった。
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