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第三章 魔族と人間と
第185話
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私の前で再びにらみ合いを始める二人。このままではいつまで経っても事が進まない。
ので……私はある行動に出ることにした。
「はぁ……二人ともいい加減に……しろっ!!」
「あぅ!?」
「あいたっ!?」
私は二人のおでこに両手で軽くチョップした。そして小突かれたおでこを押さえながら二人はようやく、私の方に視線を向けた。
これでやっと話ができる。
「二人とも、今は喧嘩してる場合じゃない。やるべき事が他にあるだろ?」
「あぅ……ごめんなさい。」
「ごめん……。」
「それで、二人の喧嘩の原因が私にあるなら、全部終わったあと直接聞こう。」
私の言葉に二人はお互いに顔を見合わせると、同時にコクリと頷いた。
「お師様……鈍感です。」
「んね?ホントにどんか~ん。まっ、ボク的にはその方がやりがいがあるけどね~。」
何故か二人は大きくため息を吐きながら、じと~っとした目線を向けてくる。
「さて、じゃあノノちゃん今日のところはこれで仲直り……ねっ?」
「はいです。」
私の前で握手を交わした二人。一応仲直りはできたみたいだ。
「良しじゃあ、早いとこ次の街にいくぞ。」
「はいは~いっと。」
アベルは空間を大きく切り裂く。そして私達は次の街へと向かうのだった。
◇
最後の街は、常駐していた王国騎士がノアの信仰者だったらしく、ノアが少し言葉を投げ掛けるとあっさりと……投降の意思を見せてくれた。
なんだかんだ一番最初の街が一番大変だったな。
これで残るは王都のみ……ゼバス曰く残りの全員の王国騎士が王都にはいるらしいから、まぁまず一筋縄ではいかないだろうな。
だがまぁ、今は王手を打てたことを素直に喜んでおくか。最後の街に物資を運ぶ兵士達の姿を眺めていると、私の方にアベルがスキップをしながら近寄ってきた。
「ねぇミノル!!いよいよだよ~。」
「あぁ、そうだな。あと一歩だ。」
嬉しそうに笑うアベルは、突然私にあることを切り出した。
「あ、あのねミノル?さっき……全部終わったら話を聞くって言ってたよね?」
「ん?あぁ、言ったな。」
「もし……ホントに全部終わったら、ボク……ミノルに話したいことがあるんだけど……良いかな?」
「もちろん良いぞ?」
アベルの言葉に頷くと、彼女は私の唇に人差し指を当てて悪戯に微笑みながら言った。
「あはっ♪言質はとったからね?さ~っ!!明日も頑張ろ~っと!!」
言質はとった……ってもとより一度口にした言葉を飲み込むつもりはなかったんだが。まぁ、アベルが上機嫌そうで何よりだ。
アベルの後ろ姿を見送っていると、凄い勢いでノノが私の方に走ってきた。
「お師様!!今アベルさんと何を話してたんですか!?」
私の方に走ってくるなり、鼻息を荒くしながらノノは問いかけてくる。
「あ、あぁ……ほらさっき、言ったろ?全部終わったら二人の話を聞くって。それの確認だよ。」
「ほっ……えへへ、安心しました。」
ホッと胸を撫で下ろしたノノは、笑顔を浮かべながら私にぴっとりとくっついてきた。
「さて、今日はいつものベッドで寝れるからな。早いとこカミルの城に帰ろう。」
「はいっ!!」
昨日入れなかった風呂にも入りたいし、兎に角柔らかいベッドで寝たい。
帰ろうと思い、カミル達の方に歩みを進めていると……。
「あっ!!わっ!?あ、あの……ミノルさん!!」
後ろから声をかけられ、振り返ると、そこには石に躓いて転びそうになっているノアがいた。
「ふっ、大丈夫か?」
そんな姿に思わず私はクスリと笑ってしまう。すると、ノアは顔を赤くしながら答えた。
「あは、あはは……大丈夫です。」
「それで、何か用か?」
「あ、えと……そのちょっと聞きたいことがあって。」
「聞きたいこと?」
聞き返すと、彼女は頷いた。そしてノノのことをチラチラと見ている。
その仕草で私は人払いをしてほしいのだと察することができた。
「ノノ、ちょっと先にカミル達の所に行っててもらっても良いか?」
「わかりました!!」
「ありがとな。」
ポンポンと頭を撫でてやると、ノノは素直にカミル達の方へと向かっていった。
「あ、ありがとうございます。」
「いいってことだ。……で?聞きたいことってのは?」
「あの~……えっとですね。ちょっとお耳を貸してもらっても……いいですか?」
よほど何か聞かれたくないことなのだろうか?少し不思議に思いながらも私はノアの方に耳を傾けた。
すると、ノアは私の耳元で小さな声で問いかけてきた。
「み、ミノルさんとアベルって……こ、こここ恋仲だったりするんですか?」
「はい?」
あまりに突拍子のない問いかけに思わず私はそう聞き返してしまった。
すると、恥ずかしがりながらも何故ノアがそう思ったのか……理由を説明し始めた。
ので……私はある行動に出ることにした。
「はぁ……二人ともいい加減に……しろっ!!」
「あぅ!?」
「あいたっ!?」
私は二人のおでこに両手で軽くチョップした。そして小突かれたおでこを押さえながら二人はようやく、私の方に視線を向けた。
これでやっと話ができる。
「二人とも、今は喧嘩してる場合じゃない。やるべき事が他にあるだろ?」
「あぅ……ごめんなさい。」
「ごめん……。」
「それで、二人の喧嘩の原因が私にあるなら、全部終わったあと直接聞こう。」
私の言葉に二人はお互いに顔を見合わせると、同時にコクリと頷いた。
「お師様……鈍感です。」
「んね?ホントにどんか~ん。まっ、ボク的にはその方がやりがいがあるけどね~。」
何故か二人は大きくため息を吐きながら、じと~っとした目線を向けてくる。
「さて、じゃあノノちゃん今日のところはこれで仲直り……ねっ?」
「はいです。」
私の前で握手を交わした二人。一応仲直りはできたみたいだ。
「良しじゃあ、早いとこ次の街にいくぞ。」
「はいは~いっと。」
アベルは空間を大きく切り裂く。そして私達は次の街へと向かうのだった。
◇
最後の街は、常駐していた王国騎士がノアの信仰者だったらしく、ノアが少し言葉を投げ掛けるとあっさりと……投降の意思を見せてくれた。
なんだかんだ一番最初の街が一番大変だったな。
これで残るは王都のみ……ゼバス曰く残りの全員の王国騎士が王都にはいるらしいから、まぁまず一筋縄ではいかないだろうな。
だがまぁ、今は王手を打てたことを素直に喜んでおくか。最後の街に物資を運ぶ兵士達の姿を眺めていると、私の方にアベルがスキップをしながら近寄ってきた。
「ねぇミノル!!いよいよだよ~。」
「あぁ、そうだな。あと一歩だ。」
嬉しそうに笑うアベルは、突然私にあることを切り出した。
「あ、あのねミノル?さっき……全部終わったら話を聞くって言ってたよね?」
「ん?あぁ、言ったな。」
「もし……ホントに全部終わったら、ボク……ミノルに話したいことがあるんだけど……良いかな?」
「もちろん良いぞ?」
アベルの言葉に頷くと、彼女は私の唇に人差し指を当てて悪戯に微笑みながら言った。
「あはっ♪言質はとったからね?さ~っ!!明日も頑張ろ~っと!!」
言質はとった……ってもとより一度口にした言葉を飲み込むつもりはなかったんだが。まぁ、アベルが上機嫌そうで何よりだ。
アベルの後ろ姿を見送っていると、凄い勢いでノノが私の方に走ってきた。
「お師様!!今アベルさんと何を話してたんですか!?」
私の方に走ってくるなり、鼻息を荒くしながらノノは問いかけてくる。
「あ、あぁ……ほらさっき、言ったろ?全部終わったら二人の話を聞くって。それの確認だよ。」
「ほっ……えへへ、安心しました。」
ホッと胸を撫で下ろしたノノは、笑顔を浮かべながら私にぴっとりとくっついてきた。
「さて、今日はいつものベッドで寝れるからな。早いとこカミルの城に帰ろう。」
「はいっ!!」
昨日入れなかった風呂にも入りたいし、兎に角柔らかいベッドで寝たい。
帰ろうと思い、カミル達の方に歩みを進めていると……。
「あっ!!わっ!?あ、あの……ミノルさん!!」
後ろから声をかけられ、振り返ると、そこには石に躓いて転びそうになっているノアがいた。
「ふっ、大丈夫か?」
そんな姿に思わず私はクスリと笑ってしまう。すると、ノアは顔を赤くしながら答えた。
「あは、あはは……大丈夫です。」
「それで、何か用か?」
「あ、えと……そのちょっと聞きたいことがあって。」
「聞きたいこと?」
聞き返すと、彼女は頷いた。そしてノノのことをチラチラと見ている。
その仕草で私は人払いをしてほしいのだと察することができた。
「ノノ、ちょっと先にカミル達の所に行っててもらっても良いか?」
「わかりました!!」
「ありがとな。」
ポンポンと頭を撫でてやると、ノノは素直にカミル達の方へと向かっていった。
「あ、ありがとうございます。」
「いいってことだ。……で?聞きたいことってのは?」
「あの~……えっとですね。ちょっとお耳を貸してもらっても……いいですか?」
よほど何か聞かれたくないことなのだろうか?少し不思議に思いながらも私はノアの方に耳を傾けた。
すると、ノアは私の耳元で小さな声で問いかけてきた。
「み、ミノルさんとアベルって……こ、こここ恋仲だったりするんですか?」
「はい?」
あまりに突拍子のない問いかけに思わず私はそう聞き返してしまった。
すると、恥ずかしがりながらも何故ノアがそう思ったのか……理由を説明し始めた。
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