185 / 200
第三章 魔族と人間と
第184話
しおりを挟む
一つ目の街とは打って変わって、あっさりと二つ目の街を落とした私達は、その街に食料などを配給していた。
まだ陽も暮れていないし、このまま次の街を落としに行ってもいいかもしれないな。
にしても……
チラリとアベルとノノの方に目を向けると、先程と変わらず険悪な雰囲気を醸し出していた。
何があったのか……と聞きたい気持ちは山々だが、どうにもあの雰囲気のなかに足を踏み入れる気になれない。
遠目でノノ達の方を眺めていると、私の方にカミル達が歩いてきた。
「のぉミノルや?」
「ん?」
「魔王様とノノに何かあったのかの?」
「さっきから二人とも殺気が溢れてるんだけど……。」
「それが……私にもさっぱりわからないんだ。」
カミルとヴェルもアベルとノノが醸し出す異様な雰囲気を感じ取っていたらしい。
「ふ~む……ミノルにもわからぬか。」
「あぁ、だが理由を聞こうにもあの雰囲気の中に入っていけなくてな。」
「あの二人の中に一本足を踏み入れちゃったら殺されちゃいそうだものね~。」
「どうしたものかな。」
遠目でアベル達の姿を眺め、頭を抱えていると……
「ほっほっほ、ミノル様はなかなか鈍感なところもおありですな。」
突然私の後ろに伸びていた影からシグルドさんが姿を現し、笑みを浮かべながら言った。
「シグルドさんは、二人があんな風になってる理由を?」
「えぇもちろんでございます。魔王様のお気持ちを敏感に感じとるのも執事の役目……。」
「じゃあ教えてもらっても…………。」
二人が何が理由であぁなっているのか、理由を聞こうとしたが……。
「ほっほっほ、それは私が話すことではありません。しいて言うならば……ミノル様、あなた様が自分でお気付きにならねばいけないことですな。」
整えられた口髭をクリクリと弄りながらシグルドさんは言った。
「私が?自分で?」
「はい。」
「…………。」
シグルドさんの言葉から察するに、何か見落としているところがある?二人があんな風になってしまったのには私に原因がある……のか?
改めて自分の日頃の行いを頭で思い返してみるが……二人をあんなに険悪な雰囲気にするようなことをした覚えがない。
悩みに悩み抜いていると……そんな私を見てシグルドさんはクスリと笑った。
「ほっほっほ、大いに悩むと良いでしょう。いやはや……若さとは良いものですな。」
それだけ言うと彼は再び影の中へと消えていった。
「う~ん?いったい……何が理由なんだ?」
「あやつは若さが良いと言っておったが……それと何が関係あるというのかのぉ~。」
「私もわかんないわ~。あの執事、私達よりも長生きしてるものね~。」
カミルもヴェルもシグルドさんの言葉の真意がわからずにいる。
……ってか、シグルドさんってそんなに長生きしてるのか!?カミルとヴェルよりも年上って……いったい何歳なんだ?
「あやつから見れば妾達もまだまだ若い……ということなのかのぉ~。」
「それはそれで嬉しいけどね。若く見られて良くないことなんてないわ。」
カミル達はなんだかんだ若く見られていて嬉しいらしい。
……はぁ、それにしてもさっぱり原因がわからない。だが、いつまでもこうして手をこまねいている訳にもいかないからな。
仕方ない、少し気まずいが……話しかけにいくか。
意を決して二人のもとへと歩みを進めた。
……すると。
「お師様っ!!」
近づいてきた私に気が付いたノノが先程まで浮かべていた表情をケロリと変えて、満面の笑みを浮かべながらこちらに走ってきた。
しかし……。
パチン!!
「ふえ?」
アベルがパチンと指をならすと、ノノは突然私の前でいなくなり、先程まで立っていた位置に戻らされてしまった。
そして平然とアベルが私の方に歩いてくると……
「やぁミノル?ボクに何か用かな?」
妙に近い距離で、自分のことを強調しながらアベルは問いかけてくる。
「あっ……と、そのだな……。」
用件を話そうとすると……。
「お師様はノノに用事があるんですよね?ねっ?」
戻ってきたノノが私とアベルの間に無理矢理割って入り、そう言った。
その様子にムッとした表情を浮かべたアベルは再び指をパチン……と鳴らす。
すると、ノノの足元の地面がぱっくりと口を開く。
「何度も同じ手はくらいませんっ!!」
「あっ!?」
開いた空間に落ちていく最中、ノノはアベルの手を掴む。そして次の瞬間には、二人は再びもといた所に足並みを揃えていた。
「ふぅ~ん?ノノちゃん、意外とやるじゃん。」
「ノノも意外でした。どうやらアベルさんは本当にそのつもりみたいだったので……。」
またもや二人はにらみ合いを始めてしまう。
二人の様子から察するに、シグルドさんが言っていた通り、どうやら本当に私に原因があるみたいだが……。
いったいどうすればいいんだ?
まだ陽も暮れていないし、このまま次の街を落としに行ってもいいかもしれないな。
にしても……
チラリとアベルとノノの方に目を向けると、先程と変わらず険悪な雰囲気を醸し出していた。
何があったのか……と聞きたい気持ちは山々だが、どうにもあの雰囲気のなかに足を踏み入れる気になれない。
遠目でノノ達の方を眺めていると、私の方にカミル達が歩いてきた。
「のぉミノルや?」
「ん?」
「魔王様とノノに何かあったのかの?」
「さっきから二人とも殺気が溢れてるんだけど……。」
「それが……私にもさっぱりわからないんだ。」
カミルとヴェルもアベルとノノが醸し出す異様な雰囲気を感じ取っていたらしい。
「ふ~む……ミノルにもわからぬか。」
「あぁ、だが理由を聞こうにもあの雰囲気の中に入っていけなくてな。」
「あの二人の中に一本足を踏み入れちゃったら殺されちゃいそうだものね~。」
「どうしたものかな。」
遠目でアベル達の姿を眺め、頭を抱えていると……
「ほっほっほ、ミノル様はなかなか鈍感なところもおありですな。」
突然私の後ろに伸びていた影からシグルドさんが姿を現し、笑みを浮かべながら言った。
「シグルドさんは、二人があんな風になってる理由を?」
「えぇもちろんでございます。魔王様のお気持ちを敏感に感じとるのも執事の役目……。」
「じゃあ教えてもらっても…………。」
二人が何が理由であぁなっているのか、理由を聞こうとしたが……。
「ほっほっほ、それは私が話すことではありません。しいて言うならば……ミノル様、あなた様が自分でお気付きにならねばいけないことですな。」
整えられた口髭をクリクリと弄りながらシグルドさんは言った。
「私が?自分で?」
「はい。」
「…………。」
シグルドさんの言葉から察するに、何か見落としているところがある?二人があんな風になってしまったのには私に原因がある……のか?
改めて自分の日頃の行いを頭で思い返してみるが……二人をあんなに険悪な雰囲気にするようなことをした覚えがない。
悩みに悩み抜いていると……そんな私を見てシグルドさんはクスリと笑った。
「ほっほっほ、大いに悩むと良いでしょう。いやはや……若さとは良いものですな。」
それだけ言うと彼は再び影の中へと消えていった。
「う~ん?いったい……何が理由なんだ?」
「あやつは若さが良いと言っておったが……それと何が関係あるというのかのぉ~。」
「私もわかんないわ~。あの執事、私達よりも長生きしてるものね~。」
カミルもヴェルもシグルドさんの言葉の真意がわからずにいる。
……ってか、シグルドさんってそんなに長生きしてるのか!?カミルとヴェルよりも年上って……いったい何歳なんだ?
「あやつから見れば妾達もまだまだ若い……ということなのかのぉ~。」
「それはそれで嬉しいけどね。若く見られて良くないことなんてないわ。」
カミル達はなんだかんだ若く見られていて嬉しいらしい。
……はぁ、それにしてもさっぱり原因がわからない。だが、いつまでもこうして手をこまねいている訳にもいかないからな。
仕方ない、少し気まずいが……話しかけにいくか。
意を決して二人のもとへと歩みを進めた。
……すると。
「お師様っ!!」
近づいてきた私に気が付いたノノが先程まで浮かべていた表情をケロリと変えて、満面の笑みを浮かべながらこちらに走ってきた。
しかし……。
パチン!!
「ふえ?」
アベルがパチンと指をならすと、ノノは突然私の前でいなくなり、先程まで立っていた位置に戻らされてしまった。
そして平然とアベルが私の方に歩いてくると……
「やぁミノル?ボクに何か用かな?」
妙に近い距離で、自分のことを強調しながらアベルは問いかけてくる。
「あっ……と、そのだな……。」
用件を話そうとすると……。
「お師様はノノに用事があるんですよね?ねっ?」
戻ってきたノノが私とアベルの間に無理矢理割って入り、そう言った。
その様子にムッとした表情を浮かべたアベルは再び指をパチン……と鳴らす。
すると、ノノの足元の地面がぱっくりと口を開く。
「何度も同じ手はくらいませんっ!!」
「あっ!?」
開いた空間に落ちていく最中、ノノはアベルの手を掴む。そして次の瞬間には、二人は再びもといた所に足並みを揃えていた。
「ふぅ~ん?ノノちゃん、意外とやるじゃん。」
「ノノも意外でした。どうやらアベルさんは本当にそのつもりみたいだったので……。」
またもや二人はにらみ合いを始めてしまう。
二人の様子から察するに、シグルドさんが言っていた通り、どうやら本当に私に原因があるみたいだが……。
いったいどうすればいいんだ?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
206
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる