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6.大精霊編
21.流行病
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その晩遅く、ルシンダは家に帰った。
アスランがこっそりと送ってくれた。
2人は馬車の中で何度もキスをした。
離れがたかった。
それでも帰らなければ。
これからやらなければならないことが沢山あった。
覚悟を決めて家に帰ったルシンダだったが、家には誰もいなかった。
少ない使用人たちも、夜会で遅くなるからと、みな家に帰していた。
こんなことなら、もう少しアスラン様と居ればよかったな。
ルシンダは少し腹が立ってきた。
何だかんだ言って、ライトはあのご令嬢とよろしくやっているのだ。
まぁ、それはそれで、肩の荷が降りた気分だった。
しかしその後、ライトと離縁の話をしようにも、彼が全く家に帰ってこない。
いい加減にブチギレたルシンダは、実家にでも帰ろうかと思っていた。
あーー、怒られるかなー。
いやぁー、ぶっ倒れるんじゃないか…お父様…
気が重くなった。
もう少し様子を見よう…
それでもいつも通り、魔術部には出勤している。
しかし、ルシンダは最近、アスランと中々会えていなかった。
しかも、どうやら昨日から、アスランは仕事を休んでいるらしい。
どうしたのかしら?
ルシンダは、誰にも聞けずにいた。
「アスランさぁ~、流行病やらしいよ。セラも帰ってこないし、どうにも治らなかったら御見舞に行こうと思ってるけど、ルシンダくんも一緒に行く?」
クルーズがルシンダに言った。
わざとだなぁ
クルーズは、ルシンダとアスランの関係を分かっていて、こうやってけしかけてくる。
それでも、決して直接は聞いてはこない。
確信犯だよね
ルシンダには分かってはいたが、背に腹は代えられない。
「行きます!」
即答した。
結局、2日経ってもアスランの病状はよくならず、クルーズとルシンダで御見舞に行くこととなった。
「ルシンダくん。御見舞って言ったけど、実は違うからね」
クルーズが移動中の馬車の中で言った。
「と、言いますと…?」
ルシンダは、クルーズの意図がよく分からなかった。
「僕は陸の大精霊の愛し子だから、流行病なら治す力があるんだよね。たぶん、君もそうかと思ってる。だから、連れて行くんだよ」
クルーズにしては、真っ当なことを言っている。
変な方に疑って、ルシンダは恥ずかしくなってしまった。
ターリー家に着くと、アスランと過ごした夜のことを思い出して、ルシンダは少し赤らんだ。
執事のキースと数人の使用人たちが、アスランの看護をしていた。
セラはまだ帰ってきてはいなかった。
「なかなか回復されなくて…」
キースがとても心配していた。
「医者はなんと?」
クルーズがキースに聞いた。
「これ以上は、ご本人の体力次第と…」
ことの深刻さにルシンダは怖くなった。
やっと想いが通じたのに…
なんで?
どういうこと?
クルーズとルシンダは、アスランの寝室に通された。
アスランの顔色は真っ青だった。
熱も高くうなされている。
「アスラン様…!」
ルシンダは思わず駆け寄った。
「…あぁ、ルシンダ。来てんくれたんだ?いや、夢かな…」
アスランは朦朧としていた。
「ルシンダくん、ちょっと下がってくれるかな?」
そう言われて、ルシンダはアスランから少し離れた。
クルーズがアスランの身体に手を当てて何かしている。
ルシンダは固唾を呑んで、それを見守った。
「まさか…」
クルーズの顔が曇った。
「どうしたのですか?!」
ルシンダは気が気じゃなかった。
「…」
クルーズが考え込んでしまった。
どうしよう
治らなかったら、どうしよう
ルシンダはおかしくなりそうだった。
「ルシンダ、ちょっといい?」
クルーズがルシンダを廊下へ出るように促した。
ルシンダは、アスランの顔をそっとひと撫でして、クルーズに続いて廊下へ出た。
「ぶっちゃけて聞くけど、ルシンダくんとアスランって付き合ってるよね?」
クルーズが真剣な顔で言った。
バレているとは思っていたが、こんなに直球で聞いてくるとはルシンダも思わなかった。
「責めてるわけではないんだよ。とにかく、今は事実を知りたい」
クルーズは深刻な顔で言った。
「私とアスラン様とのことが、アスラン様の病と関係があるんですか?」
「大有りだね」
「な、なぜ?!」
「僕の力が全く効かない。それどころか、はね返されるんだ…思い当たることは、ただ一つなんだよ」
「それが、私とアスラン様の関係ってことですか…?」
「それしかない」
私のせいで、アスラン様が病に倒れたってこと?!!
ルシンダは、アスランと関係を持ったことを後悔し始めていた。
アスランがこっそりと送ってくれた。
2人は馬車の中で何度もキスをした。
離れがたかった。
それでも帰らなければ。
これからやらなければならないことが沢山あった。
覚悟を決めて家に帰ったルシンダだったが、家には誰もいなかった。
少ない使用人たちも、夜会で遅くなるからと、みな家に帰していた。
こんなことなら、もう少しアスラン様と居ればよかったな。
ルシンダは少し腹が立ってきた。
何だかんだ言って、ライトはあのご令嬢とよろしくやっているのだ。
まぁ、それはそれで、肩の荷が降りた気分だった。
しかしその後、ライトと離縁の話をしようにも、彼が全く家に帰ってこない。
いい加減にブチギレたルシンダは、実家にでも帰ろうかと思っていた。
あーー、怒られるかなー。
いやぁー、ぶっ倒れるんじゃないか…お父様…
気が重くなった。
もう少し様子を見よう…
それでもいつも通り、魔術部には出勤している。
しかし、ルシンダは最近、アスランと中々会えていなかった。
しかも、どうやら昨日から、アスランは仕事を休んでいるらしい。
どうしたのかしら?
ルシンダは、誰にも聞けずにいた。
「アスランさぁ~、流行病やらしいよ。セラも帰ってこないし、どうにも治らなかったら御見舞に行こうと思ってるけど、ルシンダくんも一緒に行く?」
クルーズがルシンダに言った。
わざとだなぁ
クルーズは、ルシンダとアスランの関係を分かっていて、こうやってけしかけてくる。
それでも、決して直接は聞いてはこない。
確信犯だよね
ルシンダには分かってはいたが、背に腹は代えられない。
「行きます!」
即答した。
結局、2日経ってもアスランの病状はよくならず、クルーズとルシンダで御見舞に行くこととなった。
「ルシンダくん。御見舞って言ったけど、実は違うからね」
クルーズが移動中の馬車の中で言った。
「と、言いますと…?」
ルシンダは、クルーズの意図がよく分からなかった。
「僕は陸の大精霊の愛し子だから、流行病なら治す力があるんだよね。たぶん、君もそうかと思ってる。だから、連れて行くんだよ」
クルーズにしては、真っ当なことを言っている。
変な方に疑って、ルシンダは恥ずかしくなってしまった。
ターリー家に着くと、アスランと過ごした夜のことを思い出して、ルシンダは少し赤らんだ。
執事のキースと数人の使用人たちが、アスランの看護をしていた。
セラはまだ帰ってきてはいなかった。
「なかなか回復されなくて…」
キースがとても心配していた。
「医者はなんと?」
クルーズがキースに聞いた。
「これ以上は、ご本人の体力次第と…」
ことの深刻さにルシンダは怖くなった。
やっと想いが通じたのに…
なんで?
どういうこと?
クルーズとルシンダは、アスランの寝室に通された。
アスランの顔色は真っ青だった。
熱も高くうなされている。
「アスラン様…!」
ルシンダは思わず駆け寄った。
「…あぁ、ルシンダ。来てんくれたんだ?いや、夢かな…」
アスランは朦朧としていた。
「ルシンダくん、ちょっと下がってくれるかな?」
そう言われて、ルシンダはアスランから少し離れた。
クルーズがアスランの身体に手を当てて何かしている。
ルシンダは固唾を呑んで、それを見守った。
「まさか…」
クルーズの顔が曇った。
「どうしたのですか?!」
ルシンダは気が気じゃなかった。
「…」
クルーズが考え込んでしまった。
どうしよう
治らなかったら、どうしよう
ルシンダはおかしくなりそうだった。
「ルシンダ、ちょっといい?」
クルーズがルシンダを廊下へ出るように促した。
ルシンダは、アスランの顔をそっとひと撫でして、クルーズに続いて廊下へ出た。
「ぶっちゃけて聞くけど、ルシンダくんとアスランって付き合ってるよね?」
クルーズが真剣な顔で言った。
バレているとは思っていたが、こんなに直球で聞いてくるとはルシンダも思わなかった。
「責めてるわけではないんだよ。とにかく、今は事実を知りたい」
クルーズは深刻な顔で言った。
「私とアスラン様とのことが、アスラン様の病と関係があるんですか?」
「大有りだね」
「な、なぜ?!」
「僕の力が全く効かない。それどころか、はね返されるんだ…思い当たることは、ただ一つなんだよ」
「それが、私とアスラン様の関係ってことですか…?」
「それしかない」
私のせいで、アスラン様が病に倒れたってこと?!!
ルシンダは、アスランと関係を持ったことを後悔し始めていた。
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