冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~

メディカルト

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第1章

第6話 姉はシスコンのようです

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「あなた、誰?」

奈菜のお姉さんは俺に聞いてきた。

「いや、あの……その……」

この時、俺はなんと言うべきか悩んでいた。「全く関係ない人です」と言えばこの雰囲気だと不法侵入とかで通報される(一応奈菜は許可はしてくれたが)気がするし、「奈菜ちゃんを助けた人です」と言えば恩着せがましいし……あー!この場での一番最適な回答が見当たらない!

しかし、この間の沈黙は奈菜の力のこもった、訴えるような声により破られた。

「お姉ちゃん!この人は私を助けてくれたんだよ!」
「―――え?そうなの?」

奈菜、ナイス!俺はこの助け舟を逃したりなどしない!

「……あ、はい。そうです、大したことはしてませんが……足に異常があったようなので、ここまで運んできました」

俺はここぞとばかりに自分のしたことを話す。

「ご……ごめんなさい!ナナの恩人に無礼な態度をとってしまいました!」

女性は地に頭をつける勢いで謝罪してきた!?
ちょ、あまり目立ちたくないんだって!!ほら、奈菜も変な目で見てるじゃん……。
―――と言っても奈菜以外は誰もいないんだがな。

「い、いや、気にしてませんよ。知らない人が自分の妹の近くになんていたら、怪しむのが普通ですから」
「本当に……ごめんなさい……」

実際、俺も愛海妹がいるから気持ちは本当によく分かる。
え?那月はって?知らん。あんなクソガキ知らん。

まあとにかく、分かる……分かるけど…………この人、かなりシスコンだろ。
小学生を抱きしめながら話をするなんて見たことないぞ!?

(許されるのは手をつなぐまでだろ!!!)

と心の中でぼやくが、自分が引き起こしている矛盾と自分自身がまさにそのシスコンだという事実を彼が知ることはない。皮肉なものだ。

「恩人と言うよりも、名前で呼んだほうがいいですよね……あっ、私は初風美由はつかぜみゆです。奈菜の姉です。改めて、奈菜を助けていただきありがとうございました!」
「いえ、そんなに大したことはしてませんよ。俺は九十九恋です」
「レン君、本当にありがとうございました」

なんどもぺこぺこする美由さんと、なんと反応すればいいのか分からない俺、そしてその様子を不思議な様子で見守る奈菜がそこにはいた。

そんな3人のことを遠目から見る2つの人影が、屋敷の中にあった。

―――――――――――――――――――――――――――――――

レンが帰ってから。

「ただいまー!!」

大声で帰りの合図を叫ぶ。
それに応えるように上の階からどたどたと階段を下りてくる音がする。

「おかえりいいいいい」
「……!!……おかえり」

夜なのにもかかわらず、大声を出して妹の帰りを歓迎する茶髪サイドテールの美少女と控えめに愛する妹を歓迎する茶髪ポニーテールの美少女がそこにはいた。

「おかえりいいいいい奈菜あああああ」
「むぎゅ、ただいま~」

元気溌溂のサイドテール美少女は、階段を下りてきたそのままの勢いで奈菜に飛びつきハグした。ついでに頬擦りも忘れない。もちろん、奈菜が苦しまない程度に。

「ぐえっ」
「……サホ、奈菜が苦しんでるでしょ……」

抱きつくサホを無理やり奈菜から引っ剥がした。

「カホ!私は奈菜との至福の時間を過ごしたかっただけなのに!」
「……だめ。奈菜は私と戯れるの。……おいで、奈菜」
「カホお姉ちゃん!ただいまぁ!」
「……おかえり奈菜。……んふぅ、癒される」

恍惚とした表情で奈菜を抱きしめる。
いつの間にか空気にされていた美由が痺れを切らして話しかけてきた。

「そろそろやめなさい、奈菜は怪我してるんだから」
「……え、嘘?大丈夫?誰にやられたの?」
「ちょっと怪我させたやつ徹底的に潰してくるわ」

話が段々と物騒な方向へ向かっている。

「ち、違うってば!あの……その……段差でこけただけなの」

慌てて自分が怪我した膝を指差し、顔を赤らめながら奈菜が言う。

「あー、言われてみれば確かにそうっぽいね」
「……ん、そのハンカチ、何?」

カホが奈菜の膝に巻かれていたハンカチに気づく。

「これはねー、私を助けてくれた人が付けてくれたんだよー」
「とりあえず、それ外そうか」
「嫌!外したくない!!」
「「「ええ!?」」」

予想以上の拒絶に驚く3人。それもそのはず、誰のものなのかも分からない怪しいものを愛する妹にずっとつけさせるというのか。というよりも、衛生面上においても問題があるだろう。普通に考えたら嫌だ。シスコンならそれはなおさらであり―――

「夜ご飯食べるから―――」
「嫌!」
「お風呂入るから―――」
「嫌!」
「……私がハグしてあげるから―――」
「嫌!ぜーったい嫌!」

奈菜によるいやいや攻撃により撃沈した3人。それもかなり拒絶されたので心に来るものがあるのだろう。……なんか1つだけ関係ない理由が混じってる……。

「……」

ふと、この場で唯一レンと会ったことのある美由があることを思いついた。

「ねえ、奈菜ちゃん?」
「このハンカチは絶対に取らないからね?」

さっきから態度が変わってくれない。

「さっきレン君が言ってたんだけどね―――」
「え、なになに?」

ほら、食いついた。九十九恋の話になったら途端に耳を傾けるようになる。

「そ、そう、そのハンカチは取った方がいいって言ってたの」

余りにも急展開だったので驚く。

「そうなの?」
「うんうん、それでね、衛生面で考えたら危ないからって―――」
「分かった!」

美由が言い終わる前にハンカチを取り外した。

「はい!どうぞ!」
「「え?」」

へ垂れ込んでいた2人も奈菜の変わりように驚く。

「え、ええ」

「そういえば『レン君』って誰?」
「……忘れてた」
「あ、言い忘れてたわ。その子、奈菜を助けたのよ?」
「……お礼しないと」
「どこ住んでるの?」

奈菜が手渡したハンカチの裏側に何か書いている。
住所は書いていない。しかしレンのフルネームを見て2人、サホとカホは硬直する。

「この人、いやこの生徒……」
「……うん、聞いたことある」

なんでも、『九十九』なんて名字は珍しいため覚えやすい。
また、他にも理由はある訳で―――

「風紀委員の綾香ちゃんが、問題児として報告してくれた1年生だよね」
「……同じクラス」
「も、問題児なの?」

想定外の問題によって覚えられていたレンであった。
そしてレンも意外と身近な所に彼女たちがいることを知らない。
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