我らが行くはガチャポンな戦場

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世界はとっても混沌中

現役ヒーローと元怪獣

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「学校まで送るよ。」

「いや、いい。戦闘時のオレンジ星人は仕方が無いにしても、あなたのその私服はとっても趣味が悪いからついてこないでください。」

 雷光は物凄く特撮ドラマ設定に忠実な人である。
 日常着にそれは無いだろうという、光沢のあるビニールみたいなオレンジ色のジャケットを常に羽織っているという馬鹿なのだ。

 子供時代に特撮物を観ては思っていたが、その変身時と同じ配色に似たデザインのラインが入っている目立つジャケットを着ている時点で、世をぜんぜん忍んでいない仮の姿だと思わないのであろうか。

 そして、ドラマならオッケーだが、これは現実社会では無いのか?
 いや、雷光は世を忍んでいないヒーローでもあるし、からかな。
 でも、私としては、うん、やっぱりその服は無いと思う。

「派手過ぎるジャケットな人と一緒に歩くのは、私が恥ずかしいから嫌だ。」

 本当に服さえなければ、と私は雷光を見あげた。
 正義のヒーローらしく背が高くて体格も特撮俳優みたいに格好が良いものだが、顔こそ俳優以上に整っているのだ。
 東北出身ですかと訪ねたくなるほどの彫りの深さに肌の白さ、その上、肌が白いからか眼の色が少し緑がかった褐色だ。
 真っ黒ではなくアッシュブラウンともいえる髪色に、その髪色と同じ色合いの長くて密集しているまつ毛によってその美しい瞳は飾られており、その瞳で上目遣いに見つめられれば、誰だって心をときめかせる事、まさに若手特撮俳優のごとしである。

 今は不貞腐れた顔をしているが。

「だって、勤務中だからジャケットを脱げないもの。」

「うそ!それ制服だったの?私服だとばっかり。でも、でも、休日だって外に出る時はそれよね。お気に入りでもあったの?」

「もう!違うよ。これは特殊繊維で作られている戦闘服なの。いざ俺が変身する時には、これがグーンと伸びて俺の身体を覆ってしまうって機能なの。そして俺は正義のヒーローやっている以上、外出時は常に戦闘オッケー状態に無きゃいけないって呪いがついているの。」

 呪いというか、彼の所属先の地域生活安全課西東京地区の監視だろう。
 政府管理という事は、彼は戦う公務員ともいえるのだ。

「あのピコピコベルトは飾りだったの?」

「――制御装置。それから、戦闘に関してのモニタリングもそれでしている。」

 私の目の前でがっかりな顔をしている英雄だが、私の登校に付き合いたくて仕方が無いという顔も見せていた。
 恥ずかしいベルトと恥ずかしいジャケットを一生着用しなければいけない男への同情心が沸き立ち、私はよせばいいのに手を差し伸べていた。

「よろしくてよ。わたくしの警護を任せます。」

 雷光は私をじっと見つめた。

「何?」

「あなたに来てほしくなんかないんだからね、で、もう一度お願いします。」

 やっぱり悪の組織に鞍替えしようか。
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