我らが行くはガチャポンな戦場

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悪の組織に新たな悪

秘密基地

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 雷光が政府より与えられている宿舎は、繁華街にある雑居ビルの一室だ。
 一室と言っても元プールバーだったフロアであったからか、ドアを開けてすぐにカウンターが目に入る。
 天井にはプロペラが周り、最初に案内された時には、昭和な探偵ドラマの雰囲気もあるこの内装こそ雷光の趣味なのかと考えたぐらいだ。
 また、地域生活安全課の出張所としても機能しているので、ビリヤード台は無いがダーツの的が未だにある奥には、雷光が偉いさんや相談者とお話しするための応接セットが設置されている。

「ええと、リンリンちゃん。騒々しい場所で悪いけどさ、適当に楽にして。金がないから内装も潰れた店のまんまでさ、俺もいやんなるよ。」

 毎度の雷光の台詞だ。
 国税局が差し押さえた店をそのまま防衛局に安く貸し出しているだけ、ということなのらしい。
 しかし、内装リフォームをして貰えなくとも、以前の店主が寝泊まりもしていた場所であるから風呂と寝室というものはある。

 一室だけ。

 雷光一人だった時はそれで良いだろうが、私はどこに寝ろと言うのか。
 という事で、応接セットがある反対側のスペースには、私がホームセンターで買って来たベニヤ板で作った個室というものがある。
 どう見ても河原か公園で見かけるホームレスの家みたいな感じだけどね。

 さて、雷光はリンリンに話しかけながら彼女をソファに案内しかけたが、彼女の重量とソファの実際に気が付いたのか、どうぞと床を指さした。
 そのまんま、犬に対する、お座りだぞ?
 けれどリンリンは文句も言わずにその場に体育座りをし、その動作に私も雷光も彼女がいじらしいと涙が零れそうになった。

 床に座れと言われたら、私も雷光もぶちぎれるタイプだ。

「くすん。私はこれからどうなるのですかあ。」

 くすん。
 そんなの改造手術される前に考えときなさいよ!

 十市美理亜といちみりあのグループ内でカーストが下だった鈴野凛すずのりんちゃんは、リーダー十市の言うがまま、飲めば怪獣になれる薬とやらを飲んじゃったらしいのだ。

 元に戻れる薬があるよ!

 実演販売だったら信じても仕方が無いと思うが、戻れる薬があるから大丈夫だよ、程度のふわっとした安全性であやしい薬を飲んでどうするの、だ。

「仮の姿作成機を使えば戻れると思うよ?」

 雷光の言葉に私もそれだとガッツポーズをしてしまった!
 私にも使用した「仮の姿作成機(※悪の組織の物なので私も雷光も正式名称を知らない)」ならば、そうね、元の姿を構築できるわね!

「使うにはまず悪の組織から押収しなきゃ、だけどね。」

「やりましょう!攻撃よ!悪の組織を攻撃しましょう!」

 そうよ、積極的にその機械を見つけて、私のこの姿を前世と同じに作り直してしまえばいいのよ!
 そして、こんな正義の味方ごっこな世界から逃げてやる!
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