妖精管理官という見習いドルイドは今日も貧乏くじを引かされる

蔵前

文字の大きさ
3 / 6
妖精事件「だるまさんがころんだ」案件について

管理官の職務内容

しおりを挟む
 国家公務員の妖精管理官の所属が警察庁であるならば、妖精事件があればそれを警察官として捜査して解決しなければいけない。
 そこでとある地方へと班目と班目の指導教官、夜久(やく)十三(じゅうそう)は呼ばれて赴き、そのとある県の田舎町にある公立高校での妖精事件を捜査することになったのである。

 班目には初任務となるが、配属自体が間違いのはずだと未だに考えている班目の気持ちが上向く事も無く、また、聞かされる事件概要もつかみどころのないもの過ぎて気が落ち込むばかりだった。

「学校内で神隠しが起きているらしいけれど、誰が消えたか分からない。何ですか?それは?」

 班目は夜久に尋ねたが、夜久は答えるどころか鼻で嗤っただけだった。
 班目は溜息を吐いた。
 刑事が二人組で動くようにして、班目は夜久と組まされた。
 純粋に指導教官と見習い、と言うだけの話であるが、班目はパイプ椅子にだらしなく座る男を横目で見ながら、どうしてこの人なんだろうと韜晦した。

 配属初日で男子トイレでエンカウントした男は、班目よりも五つ年上の巡査部長であり、対妖課のホープで鼻つまみ者だった。

 ホープであるのは、彼が対妖課に置いて頭を一つも二つもとびぬけたぐらいの魔法力がある魔法使いで、難事件の数々を誰よりも多く処理してきたからだ。

 鼻つまみ者であるのは、班目はたった一日男の横にいて思い知らされた、と、大きく溜息を吐いた。

 ヴ~ん。

「先輩。何をなさっているので?」

 班目は自分も鼻つまみにしたい自分の指導教官に目をやった。
 夜久はいつの間にか肩に電気按摩を当てて喜んでおり、班目の視線を知るやにやっと笑い、班目の腰に電気按摩を当ててきた。

「な、なんにぃするんですか!こ、子供ですか!」

「なかなか強烈だろ。あんの校長、校長室にこんなん置いていてさ、意外と好きものじゃねえかって。何人の幼気な乙女を喰ったんだろうな?」

「いい加減にしてください。そんなことするのはあなただけです!校長室から取って来たんですか?警察官が泥棒してんですか!」

「いいじゃねえか。役得なきゃやってられねえ。まあ今回は班目君の大好きな女子高生わらわらな現場だ。上手くいけばお前だって非合法で突っ込めるぞ。」

「あなたは!俺は別に女子高生好きではありません!」

「まあ、そう言うな。機会があったらパンツは剥ぎ取れ。お前の華々しい未来のためにな!」

「あなたはそうやってあの婚約者を手に入れたのですか?」

「そうだ。」

「え?」

「実にそうなんだよ。ハハッ!ちゃんとパンツを脱がせて処女のぱっかんを確認したよ?だからな、お前も気に入った奴がいたら、絶対にパンツを剥ぎ取るんだ。わかったか?そうでないと仮性魔法使いになっちまうぞ!」

 夜久は電気按摩で班目の腰を突きながら、意地悪そうに揶揄って来た。

 仮性魔法使い。

 三十代まで童貞だと魔法使いになれるという冗談だったものが、妖精界とのエンカウントで実現してしまい、魔法使いイコール童貞と揶揄われる世の中になっているのである。

 なぜ仮性とつけるのかは、童貞を捨てたら魔法を失う程度の魔法使いでしかなく、妖精界とエンカウントする前から存在している魔法使いとの差別化でもあるかららしいと、班目は部署で教え込まれた情報を思い返した。

「夜久さん。俺は普通の人間ですよ。勉強したって魔法使いにはなれませんよ。」

「魔法使いになる必要は無いんだよ。妖精にはルールがある。ルールを知れば狩りが出来る。それだけの話だ。ほら、今後の為に監視に戻れ。」

 班目はハアと息を吐くと数分前までしていたようにして、窓からグラウンドを眺めた。
 彼らが詰めているのは放送室。
 そして、放送室の窓からは、生徒達がダラダラと集合しているグラウンドの様子が良く見えた。
 生徒達は緊急避難訓練と伝えられているのだが、夜久は生徒達を体操着に着替えさせるように教師達に伝えていた。

「この季節、半袖と半ズボンの体操着では寒くて可哀想ですね。」

「そうだな。人間は寒いんだよな。寒がっていない奴はいるか?」

 班目はハッとした様になり、今度は目を凝らしてグラウンドを見つめた。
 女子生徒は自分の体を抱き締めるようにして寒さに凍えている子も何人か見受けられたが、もとは元気な高校生は、友人達とふざけて固まっていることも多く、本気で寒さを感じていない子の見分けは班目にはつかなかった。
 また、男子生徒の小柄化や女子生徒の大柄化かあるからか、ショートカットの生徒が女子が男子かさえも分からないと班目は自分を情けなく思った。

「すいません。わかりません。性別だってここから見て判別がつかないぐらいに、俺はポンコツみたいです。」

「やばいな。」

「すいません。」

「お前が謝ってどうするよ。見分けがつかないぐらいにガキどもが妖精に喰われちまっているって事実がそこにあるだけじゃないか。」

「え?」

 班目は今度は飛びつくようにして窓枠にしがみつき、身を乗り出すぐらいにしてグラウンドを見返した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...