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妖精事件「だるまさんがころんだ」案件について
職務内容は害虫駆除
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班目は再びグラウンドを見直したが、やはり班目には誰が妖精で誰が人間の生徒なのかなど見分ける事が出来なかった。
「最近の女子高生は発達が良いですよね。背が高い。それに対して男の子達は小柄で細い子が増えている。行動だって性差が無い気がします。男女の区別なく交じり合って仲よくしている。」
「全くな。都希(つき)は俺に脅えるどころか平気で罵倒して来たからな。今の子供は危険察知能力が無いんじゃ無いのか?」
「会ってみたいですよ。そのツキさんに。」
夜久は按摩を指示棒代わりにしてグラウンドを指し示し、低い声で人数を数えろ、と言い放った。
班目は時々婚約者の惚気めいたものを口にするが、班目が婚約者に興味を示すと途端に不機嫌になるのである。
そして、班目はそのたびに少々微かな優越感に浸っている。
夜久の婚約者の理想の男性像が、彼女の父である豆名警視であるというのだ。
確かに夜久よりも班目の方が豆名警視寄りであると班目は考えており、自分の存在を少しは夜久が脅威を感じていると思い込むことで普段の夜久の振る舞いに耐えられてもいるのである。
「ほら、早く数えねえか。」
「は、はい!」
生徒数が絶対的に少ないからか、グラウンドに集められた生徒は総勢で百五十四名しかいない。
病欠した者が八人いると聞いていたので、彼らを入れれば全校生徒数は百六十二名となるなと、班目は考えながら眼下にいる生徒の数を数えていた。
そのうちに、班目は、あれ?と声を上げていた。
事前に手渡された学校資料の生徒総数は、百五十四名で間違いないのだ。
一年生が二十五人二クラスの五十名、二年生が二十八名と二十六名の二クラスで五十四名、そして、大学進学を見据えて理系文系を分けた三年は、十名、二十名、二十名の三クラスの五十名となる。
「どうして?休んでいる子がいて百五十四じゃなくて、もともと百五十四じゃないですか。どうして目の前の子供達の数が欠席者がいるのに百五十四人なんですか!」
「そこに妖精がいるからじゃないか。つまり、あの中に八名は妖精がいる。あとは何人だろうな。全く。こんなことにも気が付かないとは、ザビーノはだからザビーノなんだ。」
「あ、自分が間抜けなのは認めますが、その変なあだ名は止めてください。何がどうしてザビーノですか。嫌がらせですか?パワハラですか?鬱になって人権相談窓口に飛び込みましょうか?」
「どあほう。ドルイドは別名を持っている必要があるって話だよ。お前はザビーノ、覚えておけ。大事な本名がザビーノだ。」
夜久はじっと班目の瞳を見つめ、班目はその真っ黒な瞳による視線が耐えきれずに、はい、と答えていた。
班目はこれはパワハラでいじめに近いと思いながらも、夜久相手に何を言っても無駄だと諦めてグラウンドに再び目を凝らした。
あの軍団の中のどれだけが妖精なんだろうと思いながら。
すると、自分の左横に威圧感を感じた。
夜久も立ち上がってグラウンドを覗き込んでいたのだ。
夜久の顔は殆ど無表情で硬質化して見えて、真っ黒の瞳はガラス玉のように煌き、班目は夜久こそが妖精の血でもひいているのかと思って一瞬ぞくっとした。
「凄いな。殆ど喰われちまっている。ただでさえ少子化なのに悲しい事だ。」
「夜久さん?」
「悪かったな。数がどうこう言っている段階じゃ無かったよ。」
夜久は窓から引っ込むや、放送室のマイクを取り上げると再び窓辺に戻って来て、それからそのままマイクに向かって大声で怒鳴った。
「だ~るまさんが、こ~お~ろんだ!」
校庭の生徒達は突然の大声にわらわらと立ち上がったり囁き合ったりし始めたが、ピタリと動きを完全に止めた生徒も十数人いた。
「ノリがいいだけか、本気で妖精か。狩りに出るぞ。」
「え、狩るって!」
「狩るんだよ!相手は人間じゃない。見つけたら処分。それが管理官の仕事だ!俺達の仕事は犯罪者を見つけて逮捕するんじゃない。害虫駆除と頭数制限の管理でしかないんだよ。」
「そんな!」
夜久は呆然とした班目を尻目に、夜久がパイプ椅子に放り投げていた物を拾うと、放送室を大股で歩いて出て行った。
放送室のドアがバタンと閉まる音で班目ははっとし、慌てたようにして自分の指導者の後ろを追いかけた。
仕事内容は妖精の管理としか班目は聞いておらず、現場対応については全て夜久巡査部長に指導を受けろと命ぜられているのである。
「待って先輩!それでどうして電気按摩を持っていくんですか!」
「好みを見つけたらパンツを脱がせるためだよ!」
「ああ!もう!訳が分かんない!」
班目は夜久の後ろを必死になって追いかけた。
自分がこれから取り返しのつかない事になるのではないか、そんな逃げ出したい気持ちを抑え込みながら。
「最近の女子高生は発達が良いですよね。背が高い。それに対して男の子達は小柄で細い子が増えている。行動だって性差が無い気がします。男女の区別なく交じり合って仲よくしている。」
「全くな。都希(つき)は俺に脅えるどころか平気で罵倒して来たからな。今の子供は危険察知能力が無いんじゃ無いのか?」
「会ってみたいですよ。そのツキさんに。」
夜久は按摩を指示棒代わりにしてグラウンドを指し示し、低い声で人数を数えろ、と言い放った。
班目は時々婚約者の惚気めいたものを口にするが、班目が婚約者に興味を示すと途端に不機嫌になるのである。
そして、班目はそのたびに少々微かな優越感に浸っている。
夜久の婚約者の理想の男性像が、彼女の父である豆名警視であるというのだ。
確かに夜久よりも班目の方が豆名警視寄りであると班目は考えており、自分の存在を少しは夜久が脅威を感じていると思い込むことで普段の夜久の振る舞いに耐えられてもいるのである。
「ほら、早く数えねえか。」
「は、はい!」
生徒数が絶対的に少ないからか、グラウンドに集められた生徒は総勢で百五十四名しかいない。
病欠した者が八人いると聞いていたので、彼らを入れれば全校生徒数は百六十二名となるなと、班目は考えながら眼下にいる生徒の数を数えていた。
そのうちに、班目は、あれ?と声を上げていた。
事前に手渡された学校資料の生徒総数は、百五十四名で間違いないのだ。
一年生が二十五人二クラスの五十名、二年生が二十八名と二十六名の二クラスで五十四名、そして、大学進学を見据えて理系文系を分けた三年は、十名、二十名、二十名の三クラスの五十名となる。
「どうして?休んでいる子がいて百五十四じゃなくて、もともと百五十四じゃないですか。どうして目の前の子供達の数が欠席者がいるのに百五十四人なんですか!」
「そこに妖精がいるからじゃないか。つまり、あの中に八名は妖精がいる。あとは何人だろうな。全く。こんなことにも気が付かないとは、ザビーノはだからザビーノなんだ。」
「あ、自分が間抜けなのは認めますが、その変なあだ名は止めてください。何がどうしてザビーノですか。嫌がらせですか?パワハラですか?鬱になって人権相談窓口に飛び込みましょうか?」
「どあほう。ドルイドは別名を持っている必要があるって話だよ。お前はザビーノ、覚えておけ。大事な本名がザビーノだ。」
夜久はじっと班目の瞳を見つめ、班目はその真っ黒な瞳による視線が耐えきれずに、はい、と答えていた。
班目はこれはパワハラでいじめに近いと思いながらも、夜久相手に何を言っても無駄だと諦めてグラウンドに再び目を凝らした。
あの軍団の中のどれだけが妖精なんだろうと思いながら。
すると、自分の左横に威圧感を感じた。
夜久も立ち上がってグラウンドを覗き込んでいたのだ。
夜久の顔は殆ど無表情で硬質化して見えて、真っ黒の瞳はガラス玉のように煌き、班目は夜久こそが妖精の血でもひいているのかと思って一瞬ぞくっとした。
「凄いな。殆ど喰われちまっている。ただでさえ少子化なのに悲しい事だ。」
「夜久さん?」
「悪かったな。数がどうこう言っている段階じゃ無かったよ。」
夜久は窓から引っ込むや、放送室のマイクを取り上げると再び窓辺に戻って来て、それからそのままマイクに向かって大声で怒鳴った。
「だ~るまさんが、こ~お~ろんだ!」
校庭の生徒達は突然の大声にわらわらと立ち上がったり囁き合ったりし始めたが、ピタリと動きを完全に止めた生徒も十数人いた。
「ノリがいいだけか、本気で妖精か。狩りに出るぞ。」
「え、狩るって!」
「狩るんだよ!相手は人間じゃない。見つけたら処分。それが管理官の仕事だ!俺達の仕事は犯罪者を見つけて逮捕するんじゃない。害虫駆除と頭数制限の管理でしかないんだよ。」
「そんな!」
夜久は呆然とした班目を尻目に、夜久がパイプ椅子に放り投げていた物を拾うと、放送室を大股で歩いて出て行った。
放送室のドアがバタンと閉まる音で班目ははっとし、慌てたようにして自分の指導者の後ろを追いかけた。
仕事内容は妖精の管理としか班目は聞いておらず、現場対応については全て夜久巡査部長に指導を受けろと命ぜられているのである。
「待って先輩!それでどうして電気按摩を持っていくんですか!」
「好みを見つけたらパンツを脱がせるためだよ!」
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