21 / 67
■フェーズ:021『僕の目玉とサードアイ』
しおりを挟む
▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
Title:『僕の目玉とサードアイ』
「知っているか? 霊感の強い奴には先天性と後天性があり、
後天性の奴は、霊感の強い奴の傍にいることで覚醒し、
見えるようになるケースがあるんだ」
大学でぼっち生活を送る俺の唯一の話し相手。
美人なのに最恐の霊感を持つ西園寺先輩に連れられて、
俺はヤバイと噂される深夜の廃病院にやって来ていた。
「首のない奴、腸を垂らした奴……望まれず宿った生命。
病院というのは夜の神社や墓よりも刺激的だと思わないか?」
エントランスを彷徨う悲しき霊魂。
眼前を飛び交うオーブや突然のラップ音にビクつきながら、
俺はコクコクと頷いた。
「見ろ、神崎。自分が生きているんだが死んでいるんだか、
分からなくなってしまった奴がいるぞ」
西園寺先輩は整った唇を僅かに歪め、待合ロビーに視線を向けた。
するとそこには、眼球のない男の姿があった。
「うううっ……誰か……僕の目を知りませんかぁぁぁ?」
手術を受け眼球が摘出されたのか、
ぽっかりと開いた空洞を二つ持つ男は
呻き声をあげながらこちらへと近づいて来る。
吸い込まれそうに深い空洞。
眼球が収まっていたその場所は妙に赤黒く、
なぜか凝視してはいけないように思えた。
……ひぃっ。
戦慄と悪寒に顔を歪め思わず後ずさる。
先輩はそんな俺を見て、ふっと笑みを零した。
「神崎、何度言ったら分かるんだ。
感情と霊感のコントロールを忘れるな。
霊を感知するセンサーのオンオフを
自在にできるようにならないと精神に異常をきたすぞ?」
先輩のしなやかな手が肩に舞い降りる。
俺は先輩に頷き返しながら呼吸を整え、
ブレーカーのスイッチを
次々と切るようなイメージを心の中に浮かべ、
霊を感知するセンサーを切った。
その瞬間、頭が軽くなり――。
首のない霊、腸を垂らした霊、
赤ん坊の霊が次々と闇に溶け、
西園寺先輩も消えていった。
俺の目の前で荒い息を吐く、眼球のない男を残して。
「あううっ……僕の目を知りませんかぁぁぁ?」
▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+
いつも謎に挑んで頂き、
本当にありがとう御座います。
『意味が分かると怖い話』
リニューアルのお知らせを
近況ボードにアップ致しました。
そちらもご覧頂ければ幸いです。
2017年01月18日 作者
+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+
Title:『僕の目玉とサードアイ』
「知っているか? 霊感の強い奴には先天性と後天性があり、
後天性の奴は、霊感の強い奴の傍にいることで覚醒し、
見えるようになるケースがあるんだ」
大学でぼっち生活を送る俺の唯一の話し相手。
美人なのに最恐の霊感を持つ西園寺先輩に連れられて、
俺はヤバイと噂される深夜の廃病院にやって来ていた。
「首のない奴、腸を垂らした奴……望まれず宿った生命。
病院というのは夜の神社や墓よりも刺激的だと思わないか?」
エントランスを彷徨う悲しき霊魂。
眼前を飛び交うオーブや突然のラップ音にビクつきながら、
俺はコクコクと頷いた。
「見ろ、神崎。自分が生きているんだが死んでいるんだか、
分からなくなってしまった奴がいるぞ」
西園寺先輩は整った唇を僅かに歪め、待合ロビーに視線を向けた。
するとそこには、眼球のない男の姿があった。
「うううっ……誰か……僕の目を知りませんかぁぁぁ?」
手術を受け眼球が摘出されたのか、
ぽっかりと開いた空洞を二つ持つ男は
呻き声をあげながらこちらへと近づいて来る。
吸い込まれそうに深い空洞。
眼球が収まっていたその場所は妙に赤黒く、
なぜか凝視してはいけないように思えた。
……ひぃっ。
戦慄と悪寒に顔を歪め思わず後ずさる。
先輩はそんな俺を見て、ふっと笑みを零した。
「神崎、何度言ったら分かるんだ。
感情と霊感のコントロールを忘れるな。
霊を感知するセンサーのオンオフを
自在にできるようにならないと精神に異常をきたすぞ?」
先輩のしなやかな手が肩に舞い降りる。
俺は先輩に頷き返しながら呼吸を整え、
ブレーカーのスイッチを
次々と切るようなイメージを心の中に浮かべ、
霊を感知するセンサーを切った。
その瞬間、頭が軽くなり――。
首のない霊、腸を垂らした霊、
赤ん坊の霊が次々と闇に溶け、
西園寺先輩も消えていった。
俺の目の前で荒い息を吐く、眼球のない男を残して。
「あううっ……僕の目を知りませんかぁぁぁ?」
▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+
いつも謎に挑んで頂き、
本当にありがとう御座います。
『意味が分かると怖い話』
リニューアルのお知らせを
近況ボードにアップ致しました。
そちらもご覧頂ければ幸いです。
2017年01月18日 作者
+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる