異世界探偵・不知火 明

不報 刀姫

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暇潰し

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「まあお前さんの世界でいう、被害者の会みたいなものだよ」

「ふーん」

ピィちゃんの一件が片付いた翌朝、俺はリーシャからある話を持ちかけられていた。
それはあの化け物についてなのだが、まずはじめにこれまでリーシャが俺のいた世界に行けないことが何度もあったと言う。
リーシャのワープゲートは僅かながらでも魔力の欠片のある場所でないと生成できない。
皮肉にもリーシャの追う化け物が俺のいた世界に現れたことによってワープゲートを作ることに成功したが常時ではない。
それはつまりあの化け物がこの異世界に帰って来てるということらしい。
で、本題。

「まぁあの化け物、人間を殺すことだけが
目的とは思えなかったけどな。まさかこの世界にも
俺と同じ境遇の人達がいるとは驚きだが」

「いや人ではないがな」

「そうだったな。人は俺だけか」

リーシャが俺の世界に行けなくなったとき
それは同時にあの化け物がこの異世界に来てるという証拠になる。
そしてその際俺と同じケースで色んな種族を殺害したようだ。
今回、その被害者の遺族らと対面する機会を得た。
あの化け物について何らかの手掛かりが掴めればいいと思い
俺は参加することにした。

「ていうか俺に関しては昨日の今日だぜ?
よくもまぁそんなすぐに被害者の遺族を召集できたな?」

「もともと集まる日は前から決めておったのだよ。
参加者を募る知らせもとっくに締め切ったのだが
まさか前日で被害者が出るとは思わなかった。
主催者の私が助けたということもあるので
今回お前さんは特別参加ということだ」

偶然ということか。

「参加者には参加する者の名前と種族
そして、念写した絵がある紙を配ってある。
お前さんもほれ、この紙だ受け取れ。
もちろんお前さんは載ってないがな」

「ほぅどれどれ」

念写っつうのは写真みたいなもんか。
紙を一枚しか渡さないところを見ると
参加者はそれほどいないみたいだな。

エルフの女の子・ミリア
農家のスライム・スロウ
大工のトロール・テリート
用心棒ハーフウルフ・リンドー

そんで俺。探偵の人間・明とでもいっておくか。
しかしアレだな、ほんとに少ないな。

「これだけしかいないのか?参加者は」

な、被害者及びその遺族は
もっと多く存在するが、みんな怖がったり、復讐心に駆られ単独で動いたり、なんにせよ参加する精神状態ではないのだよ」

まあ居ないより良いがこの少数から
手掛かりが得られるかどうか。

「集まるのは今日の何時頃だ?」

「………」

「………」

「…………え?」

「えぇ?」

今の間なに?
俺なんかおかしなこと言った?

「なんじってなんだ?」

「あーそうか」

そりゃあ、おかしかったのかもしれない。
この世界って時計とかないんだろうな。
そういえばリーシャの家の中で時計らしきものを見たことないな。
じゃあいつ集まるんだよ!
ワープゲートの話のとき10秒とか言ってたよな?

「ええと、いつ集まればいいんだ?」

「花の刻だ。お前さんに分かりやすく言えば午後2時だ」

「あぁ花の刻ね…って午後2時って最初に言ってくれよ!
さっきの『なんじってなんだ?』のくだりいらなかったよな?」

「こちらの世界とお前さんの世界の時間の流れは若干のズレがある。
お前さんに分かりやすく言うとなるとそれなりに計算が必要になるじゃろが!」 

「……あ、ありがとうございます。すいません」

謝っちゃったよ。迫力すごくて。

「じゃあまだ朝だから時間が有り余ってるな。
時にリーシャ、お前にクイズを出題する」

「……へ?くいず?」

「お前が俺に出した試練の簡易版だ。軽い気持ちで答えな。
まあ正直に言えば暇潰しだ」

「おお!なにやら面白そうだな」

暇潰し、とは言ったが本当の目的は別にある。
まあそれは追々で。

「じゃあ想像してくれ。お前の目の前に何でも切れる剣があるとする」

「エクスカリバーか?」

「それはお前の想像に任せるよ…」

聖剣とかこの世界ならありそうだが…
いや、あるから言ってるのか。

「で、その何でも切れる剣でこの家の中から
切れない物を見つけるっていう問題だ」

「何でも切れる剣で切れない物……?
……あ、わかったぞ!」

おお、早いな。
でも恐らくリーシャの考えた答えは間違ってる。

「答えをどうぞ」

「自分自身じゃ」

やっぱりな。
学生の頃、友達何人かにこの問題を出したけど
みんな同じ答えだったよ。

「さすがに自分を切ることは不可能じゃろ?」

「うん。ハズレだ」

「ナゼじゃぁ⁉」

「不可能とは言うけれど、出来ない訳じゃないだろ?
精神的じゃあなく、物理的には切れるだろ?
この問題の答えを聞けば確かに切ることが
出来ないって納得せざるを得ない。そういう答えだ」

「……うーん。あ、わかった!今度こそわかったぞ!」

「おお、なんだなんだ」

「私の物質創造の魔法で切れない物を創造する」

「無いもの生み出すな!」

お前の想像に任せるとは言ったが
創造を任せた覚えはない。

「わからん!」

リーシャは諦めた。
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