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お膝
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ネオは欲情を飲み込んで、ベッドの端に腰掛けるイブの前に跪いた。
「お膝を拝見しますね」
膝の状態を確認するために、イブのネグリジェの裾を持ち上げていく。
艶めかしい太ももまでめくりあげると、イブから熱のこもった息が漏れた。
「あの、ネオ、その、こんなことを言ったら嫌われてしまうかもしれなくて怖いわ」
イブは真っ赤になった顔の鼻先から下を、両手の指先で覆って恥じた。
「僕がイブを嫌うなんてことは生涯ありません。煮ても焼かれても殺されてもです。何でもおっしゃってください」
ネオは跪いたまま小さく震えを我慢するイブの赤い耳先を見上げていた。齧ってしまいたくなる愛らしい耳だ。
「その、なんだか……もどかしいというか熱くてお腹の奥が苦しくて」
ネオの献身を信じたイブが指先で口元を覆った向こう側から、くぐもった声で願った。
「もっとネオに触って欲しいと思ってしまうの。その、触ったことのないところまで」
イブの大胆な要望に、前髪の奥のネオの目が丸くなる。
これが発作かと確信した。
雨に命を削られて、生存本能が疼く。
子を残したくなり、強烈に異性に触れられたくなる。
つまり「発情」だ。
理論は理解できた。イブが満足するほどの触れ合いがあれば、異常が落ち着くのだろう。
聖女様の要望に応えろと言い残したビクターだったが、そんなこと言われずとも叶える。見返りを求めないご奉仕はネオの本質だ。
「イブの望みなら、喜んで」
ネオはイブの右足を指先で優しくなぞり始める。足に触れるだけでイブは小さく震えた。ネオが固い膝にキスを落とすと、イブがぎょっと青い瞳を見開く。
「ね、ネオ!足なんて汚いわ」
「イブに汚いところなど一つもありません」
跪いたネオがイブの膝に幾度もキスしてはぺろりと舐める。真っ赤になったイブを見上げる赤い目が嬉しそうに歪んだ。
「イブの膝を治療するようになってからずっと、こうしてみたかったので」
ネオの深い欲情を知って、イブの心臓がきゅんと縮む。
「ほ、本当に?」
「はい、イブの脚を死ぬほど愛でてみたかったので、好きなだけ舐めてもいいですか?」
ネオはイブの返事を聞かずに、イブの脚を口で、舌で、指先で愛でていく。
ネオがイブの右足を持ち上げて爪先を口に含んで舐めると、イブの耐えきれない声が漏れた。
「ぁんッ」
「痛くないですか?」
発情発作により、疼く身体は敏感だった。イブはベッドのシーツを握り締めて、首を振る。ネオが舌でイブの脛をなぞれば、イブの背にビクビク快感が走った。
「ネオに触れられると、その……気持ちいいわ」
快感がもらえるとイブの腹に溜まっていたおかしな熱が浄化されていく。
「イブは全てが美しいです」
ネオは爪先を指一本一本舐めまわし、脛を舐めて、硬くなった膝を慈しみを込めて舐めた。
「ンんッ、くすぐったいわネオ」
「嫌になったり、怖かったらすぐ言ってください」
膝を執拗に愛撫したネオは、白い太ももにも口づけ始めた。イブが熱い息を繰り返していると、太ももにピリッと痛みが走る。
「ァっ!ネオ、何を?!」
ネオに齧られた白い太ももに赤い印が刻まれていた。イブの脚を軽々と持ち上げて太ももの裏を舐めるネオの赤い目が濃く艶美だ。
「大好きの印です。気持ち良いですか?」
ネオの赤い目に見つめられて、イブは小さく頷いた。
痛かったはずなのに、それは痛いと気持ちいいが混在していた。ネオが口端を緩めて笑う。
「嬉しいです。僕に任せて、たくさん気持ち良くなってくださいね」
ベッドの端に腰掛けたイブの脚の付け根まで、ネオの舌が上って来ては、また爪先まで舌を滑らせていく。
「はぁ……ネオ、私もう座ってられな」
イブは力が抜けて、ベッドに仰向けに寝転がってしまった。
「楽になさってください。安心して。イブが満足するまで、絶対止めませんから」
ネオもベッドにあがり込み、またずっとイブに気持ちいいを与え続けてくれる。
ネオに満たされていくほどイブの腹にあった不可解な熱は消えていった。
「お膝を拝見しますね」
膝の状態を確認するために、イブのネグリジェの裾を持ち上げていく。
艶めかしい太ももまでめくりあげると、イブから熱のこもった息が漏れた。
「あの、ネオ、その、こんなことを言ったら嫌われてしまうかもしれなくて怖いわ」
イブは真っ赤になった顔の鼻先から下を、両手の指先で覆って恥じた。
「僕がイブを嫌うなんてことは生涯ありません。煮ても焼かれても殺されてもです。何でもおっしゃってください」
ネオは跪いたまま小さく震えを我慢するイブの赤い耳先を見上げていた。齧ってしまいたくなる愛らしい耳だ。
「その、なんだか……もどかしいというか熱くてお腹の奥が苦しくて」
ネオの献身を信じたイブが指先で口元を覆った向こう側から、くぐもった声で願った。
「もっとネオに触って欲しいと思ってしまうの。その、触ったことのないところまで」
イブの大胆な要望に、前髪の奥のネオの目が丸くなる。
これが発作かと確信した。
雨に命を削られて、生存本能が疼く。
子を残したくなり、強烈に異性に触れられたくなる。
つまり「発情」だ。
理論は理解できた。イブが満足するほどの触れ合いがあれば、異常が落ち着くのだろう。
聖女様の要望に応えろと言い残したビクターだったが、そんなこと言われずとも叶える。見返りを求めないご奉仕はネオの本質だ。
「イブの望みなら、喜んで」
ネオはイブの右足を指先で優しくなぞり始める。足に触れるだけでイブは小さく震えた。ネオが固い膝にキスを落とすと、イブがぎょっと青い瞳を見開く。
「ね、ネオ!足なんて汚いわ」
「イブに汚いところなど一つもありません」
跪いたネオがイブの膝に幾度もキスしてはぺろりと舐める。真っ赤になったイブを見上げる赤い目が嬉しそうに歪んだ。
「イブの膝を治療するようになってからずっと、こうしてみたかったので」
ネオの深い欲情を知って、イブの心臓がきゅんと縮む。
「ほ、本当に?」
「はい、イブの脚を死ぬほど愛でてみたかったので、好きなだけ舐めてもいいですか?」
ネオはイブの返事を聞かずに、イブの脚を口で、舌で、指先で愛でていく。
ネオがイブの右足を持ち上げて爪先を口に含んで舐めると、イブの耐えきれない声が漏れた。
「ぁんッ」
「痛くないですか?」
発情発作により、疼く身体は敏感だった。イブはベッドのシーツを握り締めて、首を振る。ネオが舌でイブの脛をなぞれば、イブの背にビクビク快感が走った。
「ネオに触れられると、その……気持ちいいわ」
快感がもらえるとイブの腹に溜まっていたおかしな熱が浄化されていく。
「イブは全てが美しいです」
ネオは爪先を指一本一本舐めまわし、脛を舐めて、硬くなった膝を慈しみを込めて舐めた。
「ンんッ、くすぐったいわネオ」
「嫌になったり、怖かったらすぐ言ってください」
膝を執拗に愛撫したネオは、白い太ももにも口づけ始めた。イブが熱い息を繰り返していると、太ももにピリッと痛みが走る。
「ァっ!ネオ、何を?!」
ネオに齧られた白い太ももに赤い印が刻まれていた。イブの脚を軽々と持ち上げて太ももの裏を舐めるネオの赤い目が濃く艶美だ。
「大好きの印です。気持ち良いですか?」
ネオの赤い目に見つめられて、イブは小さく頷いた。
痛かったはずなのに、それは痛いと気持ちいいが混在していた。ネオが口端を緩めて笑う。
「嬉しいです。僕に任せて、たくさん気持ち良くなってくださいね」
ベッドの端に腰掛けたイブの脚の付け根まで、ネオの舌が上って来ては、また爪先まで舌を滑らせていく。
「はぁ……ネオ、私もう座ってられな」
イブは力が抜けて、ベッドに仰向けに寝転がってしまった。
「楽になさってください。安心して。イブが満足するまで、絶対止めませんから」
ネオもベッドにあがり込み、またずっとイブに気持ちいいを与え続けてくれる。
ネオに満たされていくほどイブの腹にあった不可解な熱は消えていった。
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