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第三章 交戦 厚木研究所
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王日工業大学内にありながら、厚木研究所は別棟になっていた。
佑一と安積は白衣姿である所長の厚木雅彦と面会した。
「西村君の事は連絡を受けましたが……正直、驚いています」
総白髪だが、風貌は老人という感じはない。目には生気があり、知性も感じさせる。佑一は単刀直入に、話を切り出した。
「此処での研究は機密事項が多いと聞いてます。西村さんはそれに関わる立場にいた。何か、お心あたりは?」
「いや……正直、思い当たりませんな」
厚木教授は、やんわりと問いを受け流した。
「西村さんは、ここ数日、何か思いつめたような顔をしていたという証言がありますが?」
「ああ……」
厚木教授は、思い出したと言わんばかりの顔をみせた。
「確かに、彼は何か思いつめたような表情をしていたかもしれない。研究に行き詰っていたのかな……。だとしたら、その相談に乗ってやれなかった、上司の私にも責任がありますな」
内容とは裏腹に、厚木教授の様子には全く責任を感じてる雰囲気はなかった。
(これは――何も話す気はないな)
佑一がそう思った時、安積が切り出した。
「では、まず西村さんの仕事場を見せてもらえないでしょうか」
「判りました、ご案内しましょう」
厚木教授が笑顔を浮かべて先に立った。
棟の入り口傍にある応接室を出ると、厚木教授は廊下を進みカードパスを出して電子錠を解除した。厚いドアが開く。
「この先に、もう一箇所、解除が必要です」
「厳重ですね」
安積の言葉に、教授は僅かに微笑んだ。
その二枚目のドアを抜けると、本棟に入る。そのうち一つのドアを開けて、教授は中へ入っていった。
中は清潔感のある部屋で、机が並ぶと同時に、大きなレーダー機材や、その他、何に必用なのか判らない機械が沢山置いてある部屋だった。
「此処がメインルームですね。此処のスタッフは8名。そのうちの一人が西村君でした」
教授の登場と、見慣れないスーツ姿の二人にその場にいた者が手を止めて視線を向けた。全員が白衣を身にまとっている。
「あ、皆、続けてくれ」
厚木教授はそう促すと、空いてる机に歩み寄っていった。
「この席が西村君の席です」
机の上にノートパソコンが置いてあるが、今は閉じられている。佑一はパソコンを開いて、電源を入れた。
「パスワードは判りますか?」
「いや、それは西村君にしか判らないんですよ」
物腰は柔らかいが、非協力的な厚木教授の態度に、安積が食い下がった。
「しかし、それでは西村さんの研究成果は全て失われてしまう事になるのでは?」
「いえ、ある程度の情報はペアを組んでる堺君と共有しているので、大丈夫ですよ。まあ、未完成なデータが取り出せないのは仕方ないでしょう」
「その堺さんというのは?」
厚木教授は向かいに座っている男を手で示した。ボサボサ髪で厚手の黒フレームの眼鏡をかけている、野暮ったい感じの40前後の男だった。
「あ、堺道之です」
堺が上目遣いに、ちょっと顎を出して見せる。挨拶のつもりらしかった。
「パスワードは御存じない?」
「ええ、まあ……個人管理ですから」
堺は眼鏡の奥で、薄笑いを浮かべた。
「西村さんは殺された可能性もあります。次は貴方が危険に会うかもしれない」
安積は堺を凝視してそう言った。堺が怯む。
「な、なんですか、脅しですか?」
「危険をお知らせしてるんです。それとも、自分には危険は及ばないという確信でもおありですか?」
鼻白んだ表情で、堺が黙った。
佑一は自分たちに向けられた冷たい視線を感じる。それを意に介した様子もなく、安積は口を開いた。
「西村さんの個人物は押収します、よろしいですね」
「どうぞ」
佑一は王日署に連絡を入れ、押収品を運ぶ警察官を廻すように頼んだ。
その間に、安積は西村の研究内容を訊ねていた。
「西村さんは、具体的にはどういう研究をしてたんですか?」
「それなら、堺君が話すのがいいでしょう。堺君」
促された堺は、席から立つとクリアボードに向かって歩み寄っていった。
「まあ、我々が研究開発してるレーダーには、幾つもの種類がありますが、基本原理は簡単です。対象に、電磁波がぶつかり、その跳ね返りを察知して対象位置を測定する」
堺はRという字を書くと、そこから少し離して〇を描き、Rから発射される→線を引いた後、〇から発射される←線を描いて見せた。
「この電磁波の種類で、マイクロ波レーダーや、ミリ波レーダーなどがあるわけですが、我々が研究していたのは、ドップラー・レーダーというものです」
「ドップラー…というと、あのドップラー効果の?」
遠ざかる救急車のサイレンが低く聞こえる…というので有名なドップラー効果だが、レーダーにまでその原理が応用されているのとは、佑一も知らなかった。堺は佑一が問いを挟むと、途端に上機嫌になり饒舌度を増した。
「そう、まさにそれです。ドップラー・レーダーはドップラー効果の周波数の偏移を計測するのです。雨粒や雲粒は、風に乗って移動する。この雨粒や雲粒に当たって跳ね返ってくる周波数の偏移を測定することで、その場所の風向や風速を測定できる。我々はそれをより詳細に計測するためのシステムを開発していたのです」
「具体的には、どうやって既存のものより性能向上させようと?」
「そもそもですが、ドップラー・レーダーは一箇所ではその計測が充分とは言えなかった。つまりレーダー機材を設置して定点観測する方法では、場所の限定があったわけです。しかし近年、マイクロ派集積回路の発達により、小型化できるようになった。自動車の衝突防止装置なども、この技術の恩恵です。これがどういう事か判りますか? つまりドローンなどの補助機械を使って観測点を増やすことで、より詳細な気象条件を計測することが可能になるのです。我々はその計測プログラムを設計してました」
「西村さんは、その中でどのような役目を?」
「西村さんはメインシステムを組んでました。ぼくはそのアシスタントで、補助プログラムを作ってました」
「西村さんは何か行き詰った様子を見せていた、と聴いてますが?」
「そうですねえ……確かに、もう最終調整のところまできて、西村さんの作業がピタリと止まっちゃったんですよ。まあ、複数のレーダーの情報を瞬時に並列処理するシステムなんで、難しいことは難しいと思うんですが 」
堺が首を傾げながら呟いた。
その様子を横で聴きながら、佑一は公安で聞いた話を想い出していた。
“それは飛来してくるミサイルの正確な軌道を計算できるという事だ。つまり事は、ミサイル防衛のためのレーダー網に関わっている。”
その情報は間違いなさそうだった。が、そこで佑一はある可能性に思い出し、研究員たちを見回した。皆、堅い表情で佑一たちを見つめている。
(西村を殺した犯人が、この所員の中にいる可能性がある)
その時、研究員の一人が声をあげた。
「所長、警察官の方が到着されたようです」
「うむ、お通しして」
やがてやってきたのは、制服を着た若い婦人警官二人だった。佑一はそれを見て、少し苦い顔をした。
「押収物の運搬だと言ってあるのに、婦警をよこすとは……」
「あ、あたしたち力自慢なんで」
化粧っけはないが整った顔立ちの婦警がにっこり笑う。隣の後輩らしい婦警は恐縮したように縮こまっていたが、あどけない感じの顔立ちとは裏腹に体つきは大柄だった。
「なるほど。じゃあ、机の中のものを頼む。引き出しごと抜いて、王日署まで運んでくれ。それから……署員には触らせないように」
最後の指示を聞いて、婦警が目を丸くする。答えを発しない婦警に、佑一は訊ねた。
「判ったのか? 君の名は?」
「――泉巡査部長です」
「では泉巡査部長、責任もって頼む。この件は公安が主導することは、上から了承済みだ」
「判りました」
泉巡査部長が姿勢を正すと、慌てて隣の後輩婦警も姿勢を正した。
婦警たちが引き出しを運ぶ様子を見ながら、安積が電話をしている。どうやら本部らしかった。
「…はい、判りました。国枝に持って帰らせます」
安積は電話を切ると、佑一に言った。
「国枝、一足先にパソコンを持って帰れ。俺は厚木所長ともう少し話がある」
「判りました」
(自分だけ、事情聴収するつもりか)
佑一はそう思ったが、口には出さず命令に従うことにした。
佑一と安積は白衣姿である所長の厚木雅彦と面会した。
「西村君の事は連絡を受けましたが……正直、驚いています」
総白髪だが、風貌は老人という感じはない。目には生気があり、知性も感じさせる。佑一は単刀直入に、話を切り出した。
「此処での研究は機密事項が多いと聞いてます。西村さんはそれに関わる立場にいた。何か、お心あたりは?」
「いや……正直、思い当たりませんな」
厚木教授は、やんわりと問いを受け流した。
「西村さんは、ここ数日、何か思いつめたような顔をしていたという証言がありますが?」
「ああ……」
厚木教授は、思い出したと言わんばかりの顔をみせた。
「確かに、彼は何か思いつめたような表情をしていたかもしれない。研究に行き詰っていたのかな……。だとしたら、その相談に乗ってやれなかった、上司の私にも責任がありますな」
内容とは裏腹に、厚木教授の様子には全く責任を感じてる雰囲気はなかった。
(これは――何も話す気はないな)
佑一がそう思った時、安積が切り出した。
「では、まず西村さんの仕事場を見せてもらえないでしょうか」
「判りました、ご案内しましょう」
厚木教授が笑顔を浮かべて先に立った。
棟の入り口傍にある応接室を出ると、厚木教授は廊下を進みカードパスを出して電子錠を解除した。厚いドアが開く。
「この先に、もう一箇所、解除が必要です」
「厳重ですね」
安積の言葉に、教授は僅かに微笑んだ。
その二枚目のドアを抜けると、本棟に入る。そのうち一つのドアを開けて、教授は中へ入っていった。
中は清潔感のある部屋で、机が並ぶと同時に、大きなレーダー機材や、その他、何に必用なのか判らない機械が沢山置いてある部屋だった。
「此処がメインルームですね。此処のスタッフは8名。そのうちの一人が西村君でした」
教授の登場と、見慣れないスーツ姿の二人にその場にいた者が手を止めて視線を向けた。全員が白衣を身にまとっている。
「あ、皆、続けてくれ」
厚木教授はそう促すと、空いてる机に歩み寄っていった。
「この席が西村君の席です」
机の上にノートパソコンが置いてあるが、今は閉じられている。佑一はパソコンを開いて、電源を入れた。
「パスワードは判りますか?」
「いや、それは西村君にしか判らないんですよ」
物腰は柔らかいが、非協力的な厚木教授の態度に、安積が食い下がった。
「しかし、それでは西村さんの研究成果は全て失われてしまう事になるのでは?」
「いえ、ある程度の情報はペアを組んでる堺君と共有しているので、大丈夫ですよ。まあ、未完成なデータが取り出せないのは仕方ないでしょう」
「その堺さんというのは?」
厚木教授は向かいに座っている男を手で示した。ボサボサ髪で厚手の黒フレームの眼鏡をかけている、野暮ったい感じの40前後の男だった。
「あ、堺道之です」
堺が上目遣いに、ちょっと顎を出して見せる。挨拶のつもりらしかった。
「パスワードは御存じない?」
「ええ、まあ……個人管理ですから」
堺は眼鏡の奥で、薄笑いを浮かべた。
「西村さんは殺された可能性もあります。次は貴方が危険に会うかもしれない」
安積は堺を凝視してそう言った。堺が怯む。
「な、なんですか、脅しですか?」
「危険をお知らせしてるんです。それとも、自分には危険は及ばないという確信でもおありですか?」
鼻白んだ表情で、堺が黙った。
佑一は自分たちに向けられた冷たい視線を感じる。それを意に介した様子もなく、安積は口を開いた。
「西村さんの個人物は押収します、よろしいですね」
「どうぞ」
佑一は王日署に連絡を入れ、押収品を運ぶ警察官を廻すように頼んだ。
その間に、安積は西村の研究内容を訊ねていた。
「西村さんは、具体的にはどういう研究をしてたんですか?」
「それなら、堺君が話すのがいいでしょう。堺君」
促された堺は、席から立つとクリアボードに向かって歩み寄っていった。
「まあ、我々が研究開発してるレーダーには、幾つもの種類がありますが、基本原理は簡単です。対象に、電磁波がぶつかり、その跳ね返りを察知して対象位置を測定する」
堺はRという字を書くと、そこから少し離して〇を描き、Rから発射される→線を引いた後、〇から発射される←線を描いて見せた。
「この電磁波の種類で、マイクロ波レーダーや、ミリ波レーダーなどがあるわけですが、我々が研究していたのは、ドップラー・レーダーというものです」
「ドップラー…というと、あのドップラー効果の?」
遠ざかる救急車のサイレンが低く聞こえる…というので有名なドップラー効果だが、レーダーにまでその原理が応用されているのとは、佑一も知らなかった。堺は佑一が問いを挟むと、途端に上機嫌になり饒舌度を増した。
「そう、まさにそれです。ドップラー・レーダーはドップラー効果の周波数の偏移を計測するのです。雨粒や雲粒は、風に乗って移動する。この雨粒や雲粒に当たって跳ね返ってくる周波数の偏移を測定することで、その場所の風向や風速を測定できる。我々はそれをより詳細に計測するためのシステムを開発していたのです」
「具体的には、どうやって既存のものより性能向上させようと?」
「そもそもですが、ドップラー・レーダーは一箇所ではその計測が充分とは言えなかった。つまりレーダー機材を設置して定点観測する方法では、場所の限定があったわけです。しかし近年、マイクロ派集積回路の発達により、小型化できるようになった。自動車の衝突防止装置なども、この技術の恩恵です。これがどういう事か判りますか? つまりドローンなどの補助機械を使って観測点を増やすことで、より詳細な気象条件を計測することが可能になるのです。我々はその計測プログラムを設計してました」
「西村さんは、その中でどのような役目を?」
「西村さんはメインシステムを組んでました。ぼくはそのアシスタントで、補助プログラムを作ってました」
「西村さんは何か行き詰った様子を見せていた、と聴いてますが?」
「そうですねえ……確かに、もう最終調整のところまできて、西村さんの作業がピタリと止まっちゃったんですよ。まあ、複数のレーダーの情報を瞬時に並列処理するシステムなんで、難しいことは難しいと思うんですが 」
堺が首を傾げながら呟いた。
その様子を横で聴きながら、佑一は公安で聞いた話を想い出していた。
“それは飛来してくるミサイルの正確な軌道を計算できるという事だ。つまり事は、ミサイル防衛のためのレーダー網に関わっている。”
その情報は間違いなさそうだった。が、そこで佑一はある可能性に思い出し、研究員たちを見回した。皆、堅い表情で佑一たちを見つめている。
(西村を殺した犯人が、この所員の中にいる可能性がある)
その時、研究員の一人が声をあげた。
「所長、警察官の方が到着されたようです」
「うむ、お通しして」
やがてやってきたのは、制服を着た若い婦人警官二人だった。佑一はそれを見て、少し苦い顔をした。
「押収物の運搬だと言ってあるのに、婦警をよこすとは……」
「あ、あたしたち力自慢なんで」
化粧っけはないが整った顔立ちの婦警がにっこり笑う。隣の後輩らしい婦警は恐縮したように縮こまっていたが、あどけない感じの顔立ちとは裏腹に体つきは大柄だった。
「なるほど。じゃあ、机の中のものを頼む。引き出しごと抜いて、王日署まで運んでくれ。それから……署員には触らせないように」
最後の指示を聞いて、婦警が目を丸くする。答えを発しない婦警に、佑一は訊ねた。
「判ったのか? 君の名は?」
「――泉巡査部長です」
「では泉巡査部長、責任もって頼む。この件は公安が主導することは、上から了承済みだ」
「判りました」
泉巡査部長が姿勢を正すと、慌てて隣の後輩婦警も姿勢を正した。
婦警たちが引き出しを運ぶ様子を見ながら、安積が電話をしている。どうやら本部らしかった。
「…はい、判りました。国枝に持って帰らせます」
安積は電話を切ると、佑一に言った。
「国枝、一足先にパソコンを持って帰れ。俺は厚木所長ともう少し話がある」
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