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本編
2 小さいのは蛇を食う
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慌てたリヒトは、ガレス皇子を結界で守ると同時に、手近の石で蛇を打ち据える。
自分の獲物を横から仕留められて怒るガレス皇子は、駆けつけたリヒトに掴みかかる。そんなガレス皇子の首根っこを難なく押さえ、目の前に死んだ蛇をぶら下げて、リヒトは叱る。
「よろしいですか若様、これは毒蛇! 触っちゃダメなやつです! 頭が三角じゃなくったって毒を持ってるのは多いんです。さあ、よっくご覧になって、この模様を覚えて下さい! 毒!」
この蛇に噛まれ、解毒や中和ができなければ、身体の大きな荷引用の馬でも死ぬ。いつも解毒の魔法が間に合うとは限らない。
リヒトの投擲に潰れた蛇の頭から、透明な毒の液が一筋垂れる。
その不気味さと、リヒトの迫力に呑まれたガレス皇子は、こくりとうなずく。
「はい。じゃあ、この蛇は焼けば食えますから、後で一緒に頂きましょう」
リヒトは短刀で手早く蛇の頭を飛ばす。腹を裂き、糞と内臓物を出した蛇を、その辺に落ちていた枝で作った簡易な櫓に吊り下げ干す。手の汚れは、砂にまぶして擦り落とす。
「ほら、宮様のおそばをお離れになっちゃなりませんよ」
一連の作業を興味深そうに見ていた小さい殿下を、リヒトは再び東の宮に預ける。
「宮様! 目を離されちゃ困ります」
「見てたんだがなあ」
「見てたんじゃダメです、目を離さないで、ずっとお手でも繋いでて下さい」
「面倒臭い」
「放っときゃ、もっと面倒なことになりますよ。ご一緒に遊んでて下さい」
「遊ぶ? どうやって」
リヒトは思い当たる。この厳つい御仁は、剣や槍を持てないような小さな子どもと遊ぶ事は無かっただろう。
この豪腕がやっても危なくない遊び……。やや考えて、リヒトは思い付きを言う。
「あー、『たかいたかい』とか?」
「ああ、こうか?」
無骨なクマがいきなり幼子を掴み上げ、片手で高く放り上げる。
余計な事を言ったとすぐ後悔したリヒトだったが、放り投げられたガレス皇子は大喜び。落下して無事東の宮の腕に収まると、もう一度やれとねだる。
「俺の知ってる『たかいたかい』と違いますけど、物凄く高いですけどそれで宜しいです。ずっと地面にお下ろしにならないで下さい」
「分かった」
そして、流石の東の宮も腕が重くなる程の回数「たかいたかい」を繰り返したガレス皇子は、リヒトがこんがり焼いて骨を取ってほぐしてやった蛇を食べ、今は東の宮の膝で丸くなってクウクウ寝ている。
「動くと大泣きしますよ」
リヒトに脅されて、東の宮は大いに困惑するのだった。
自分の獲物を横から仕留められて怒るガレス皇子は、駆けつけたリヒトに掴みかかる。そんなガレス皇子の首根っこを難なく押さえ、目の前に死んだ蛇をぶら下げて、リヒトは叱る。
「よろしいですか若様、これは毒蛇! 触っちゃダメなやつです! 頭が三角じゃなくったって毒を持ってるのは多いんです。さあ、よっくご覧になって、この模様を覚えて下さい! 毒!」
この蛇に噛まれ、解毒や中和ができなければ、身体の大きな荷引用の馬でも死ぬ。いつも解毒の魔法が間に合うとは限らない。
リヒトの投擲に潰れた蛇の頭から、透明な毒の液が一筋垂れる。
その不気味さと、リヒトの迫力に呑まれたガレス皇子は、こくりとうなずく。
「はい。じゃあ、この蛇は焼けば食えますから、後で一緒に頂きましょう」
リヒトは短刀で手早く蛇の頭を飛ばす。腹を裂き、糞と内臓物を出した蛇を、その辺に落ちていた枝で作った簡易な櫓に吊り下げ干す。手の汚れは、砂にまぶして擦り落とす。
「ほら、宮様のおそばをお離れになっちゃなりませんよ」
一連の作業を興味深そうに見ていた小さい殿下を、リヒトは再び東の宮に預ける。
「宮様! 目を離されちゃ困ります」
「見てたんだがなあ」
「見てたんじゃダメです、目を離さないで、ずっとお手でも繋いでて下さい」
「面倒臭い」
「放っときゃ、もっと面倒なことになりますよ。ご一緒に遊んでて下さい」
「遊ぶ? どうやって」
リヒトは思い当たる。この厳つい御仁は、剣や槍を持てないような小さな子どもと遊ぶ事は無かっただろう。
この豪腕がやっても危なくない遊び……。やや考えて、リヒトは思い付きを言う。
「あー、『たかいたかい』とか?」
「ああ、こうか?」
無骨なクマがいきなり幼子を掴み上げ、片手で高く放り上げる。
余計な事を言ったとすぐ後悔したリヒトだったが、放り投げられたガレス皇子は大喜び。落下して無事東の宮の腕に収まると、もう一度やれとねだる。
「俺の知ってる『たかいたかい』と違いますけど、物凄く高いですけどそれで宜しいです。ずっと地面にお下ろしにならないで下さい」
「分かった」
そして、流石の東の宮も腕が重くなる程の回数「たかいたかい」を繰り返したガレス皇子は、リヒトがこんがり焼いて骨を取ってほぐしてやった蛇を食べ、今は東の宮の膝で丸くなってクウクウ寝ている。
「動くと大泣きしますよ」
リヒトに脅されて、東の宮は大いに困惑するのだった。
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