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りり

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第一章ルーカスage16

第二話ルーカスの諸事情②発覚

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あれから僕は無事に仕事を見つけて
今では五個ほど掛け持っている

それに、自慢じゃないけど朝三時から夜中の一時まで休みなく働いている

アルには何度となく

「もうやめた方がいい。」

「やっぱり俺も働く。」

「顔色が悪い。兄さんが心配だ。」

などと、言ってきたけどそれを何度も無視してきた僕にはもう弱音を吐く資格がない

だから、多少体調が悪い日も頑張って働いた

僕が仕事をしなくなったらみんなが困るから頑張った

アルには決してこんな事をさせないように

だからその無理が祟ったんだと思う









僕は16歳になった今日、余命を申告された



今日もいつも通り仕事場に行って働いていた

今日行った場所は借金がある前から働いていたお店でほとんどの人が顔馴染みの方だった

そんな人達と仕事をしていたときに僕は倒れた

急に目眩がして目の前が真っ暗になって、気付いたときには僕は伯爵家の自室にいた

目を開けたらアルが居て、涙目でこっちを見ていたもんだからたいそう驚いて飛び起きてしまった

そっとアルにベットに戻されたけど

アルは僕のことをギュウっと抱きしめて

「兄さんの馬鹿!俺がどんだけ心配したか分かってんのか?!俺のために働いてくれてるのは知ってるから強くやめろとも言えねえし…」

と、最後の方は鼻声でそういった

僕は無言でアルの頭をなでた

こういう時どうするのが正解が分からないから

しばらくしたら、アルは僕から手を離してお医者様を呼びに行った




そうして連れてこられた僕の主治医に余命を宣告されたってわけ・・・

主治医の女の人が僕の体を隅々まで見ていくうちに顔色が悪くなっていくのを見て不安になった僕はアルを急いで退室させたからアルにはバレていない

よかった

アルにバレていたらこれからずっと病人ベット生活確定だったから

あっさりしているように思うかもしれないけど
僕も全くこんなこと信じていない

自分が病気だって事を信じたいと思う人はいないと思う    たぶん

僕の病気は今まで五人ほどしかかかったことのないもので治療法もないらしい

今はそんなに症状が現れてないけど重くなると

「倦怠感」

「吐き気」

「自害衝動」

「記憶混濁」

 最悪、「死」

が待ち受けているんだそう

アルはこのことを知らない

両親ももちろんしらない

家族には絶対にこのことを隠し通す

僕をあんなに大切に育ててくれた家族には知られたくない

僕が汚れたなんて知られたら家族に見放されてしまうから

心配、いや、迷惑もかけたくない

傷つけたくない

僕は家族を傷つけないためならなんだって出来る

そのために僕が汚れ、傷つこうとも




絶対にバレないようにしよう!と決心した僕は
とてつもなく大事な人物を忘れていた

まあ、焦っていたから仕方ないけど…
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