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始まり
狂信者達
しおりを挟む「……」
私は今現在呑気に学園に来た事とあの時イザナくんに詳しく聞かなかった事について後悔している。何故ならば。
「あの子がイザナ様と婚約者となった子よ!!」
(婚約者じゃなくて婚約者候補なんですけど~!)
っと、修正を入れ鋭い視線とヒソヒソ話を受けてながら思っていた。大体イザナ様ってなんなんだろうか。イザナくんは顔綺麗だしファンクラブでも居てもおかしくないけど、先程から男女関係なく殺意を向けてくるのはファンクラブ会員というより狂信者みたいな……なーんてただの高校生が教祖様みたいなわけないか。
「でも、これは刺されそ……わっ!」
「っと」
怖い視線を向ける人にチラリと見ると睨まれ、ビクッと体が揺れ倒れそうになると前から来た逞しい腕に支えられた。
「すみませんよそ見をしていて……」
「君ってすぐぶつかってくるね」
「え? あ……」
顔を上げるとこの前男子生徒に絡まれていた時に助けてくれた高等部の人だった。
「ありがとうございます」
「ん」
「……? あの?」
立たせてくれた彼は私をじーっと見つめる。眼鏡から瞳は余り見えないがなんだか見られるのは慣れてなく困り呼びかける。
「君が誘の婚約者候補ねー」
「!!」
この人にも候補なのを知られていて興味で見られていたのに気付き、私は嫌な気持ちになり去ろうと隣を通り過ぎようとすると。
「ちょっと俺と話しない? 別に悪いコトはしないし」
「! 結構です! 私用事が……」
「一人で居たら刺されるかもよ? 誘って男女共に狂信者が多いからさ」
「それはそうかもですが……ん? 誘?」
彼が誘と呼び捨てしたのに気付き固まり彼を見る。相変わらず眼鏡の奥にある瞳から感情は読めない。
「貴方……イザナくんと知り合いですか?」
「知り合いつーか……深く知り合っている仲?」
「え?」
(深く知り合っている仲ってどんな仲?)
よくわからなくて首を傾けると、彼はにっこりと口元を笑わせる。
「いいからさ。あっちで話さね? あ、俺の名前は日下浅葱」
「日下さん?」
「えー誘はくん付けなのに俺は苗字?」
「……」
無言で手を払い、逃げようとしたが叶わず彼はへらへら笑ったままだ。これは言わないと離してくれないやつだ。
「……浅葱さん」
「まぁ。それでいいか。じゃあ、ひなちゃんこっちに……」
「コイツに……触れてるんじゃねぇ」
「え……」
浅葱さんに手を引かれこの場から離れようとした瞬間に、開いた片方の手を掴まれ後ろに引き寄せられた。ふわり香る匂いはいつものいい匂い。
「誘!」
「イザナくん?」
イザナくんが現れると浅葱さんは嬉しそうに楽しそうに近寄る。パッとイザナくんは私の手を離すと浅葱さんを睨みつける。
「お前何で中等部の方に居るんだよ」
「え? そんなの誘わかっているでしょ?」
「……」
「お前に会いに来たんだよ」
「! 消えろ」
イザナくんを引き寄せ、耳元で囁いた浅葱さんに殴ろうとするが避ける。それを不機嫌そうな表情で追いかける。どうやら知り合い同士のようだ。
(本当にイザナくんの知り合いだったんだ……そして仲は……)
追いかけっこしている二人を見て私はまた首を傾げた。仲はいいのかよくわからない。
(視線が二人にいっている間に教室に逃げよう)
そして、今日は友達と一緒に居よう。机の中とかどうなっているか怖いけどなるようになるしか……。
「甘泉陽菜」
「え?」
視線が二人にいっており、自分は逃げれると思っていたのにそんな事なかったようだ。何人もの男女が私の前に立ち言う。
「ちょっと言い?」
絶対ちょっとじゃ済まないやつを。
***
「単刀直入に言う。イザナ様と婚約者解消してちょうだい」
自分も出来るなら婚約者解消したい。けど、父との承諾してしまったからそれは難しい話になってしまった。
「その……したいのは山々なんですが私も……」
「何出来ない理由あるのか?」
「その……」
男子生徒が詰め寄ってくる。大人数だけで怖いのに男もいると更に怖い。というか、何故男も居るんだろう。
「親が決めたことで私だけの問題じゃなくてですね。それは貴方達もわかりませんか?」
「うっさい。いいから婚約者解消しろ」
(話聞く気ないのか……)
面倒だし怖いのもある。だけど、その前に何故こんなにイザナくんがいいんだろうって思った。だって、婚約者候補の家に行く前にヤる最低男だし。どうせ嫌な事されるならば聞いてみるか。私は諦めると怖さも何もかもなるのかもしれない。
「貴方達は彼のどこが好きなんですか?」
「はぁ?」
「だって今までの感じだと最低男ですよね?」
顔は綺麗なだけだ。まぁ、気紛れで優しいとこもあるけども。
「どこが好きか?」
「そんなの!」
「はい」
「全て」
「……はい?」
何言っているんだこの人達はって意味で問いかけた。彼らは目をキラキラと輝かせ、口を開く。
「まず顔付きはすらりとした輪郭に長いまつ毛にある妖艶な瞳にニヤリと笑う整った唇」
「まずは!?」
「そして性格は誰にも乱されず自由気ままで好きに行動し、気紛れで触れたのは最後……二度と絶対に」
「わかりましたから!」
一人が語ると他の人が賛同し次々言っていく。本当に好きなようだ。男も言っていたから恐ろしい人だ。
「わかった? じゃあ解消しろ」
「あ、結局そうなるんですよね……」
親に言っても無理だろうしどうすればいいのかと考える。彼らは睨む視線に怯えず考えるが思いつかない。その間に男がチっと舌打ちしたと思うと私の手首を掴んだ。
「何を……!?」
「俺はイザナ様が婚約者居るって考えただけで嫌なんだ! 解消してくれないならイザナ様が触れただろうコイツを……」
「なっ!?」
その発言に自分が何されるか気付き、青くなる。浅葱さんが狂信者っていっていた理由がわかる。確かにこの人達危ない。
「離して」
「いいだろアンタだけがイザナ様のなんだから」
「っ……! 貴方達いい加減にして下さい!!」
顔が近付いてきて私は力一杯急所を蹴った。男は痛そうに座り込む姿を見て、私は勢いで言う。
「そんな事してみてください……! 貴方達皆……」
「何よ」
「父に言って退学にさせ社会的に抹消しますよ」
「!?」
「!!」
「っぷは!」
いつも以上に危ない時だっていうのに、手段が思いつかずよく使う手を言うと驚いた顔と笑った声が聞こえた。笑った声が誰なのかわからず振り返るとそこには。
「あははは! ひなちゃん、君……こんな時だってのに冷静……ほんと君は……」
「浅葱さん?」
浅葱さんが居た。手に携帯を持ち眼鏡を上にあげ目をこすって涙を拭っている。
「浅葱笑っている場合じゃねぇよ」
「あ、そうね」
後ろからイザナくんも現れ、つまらなさそうに私の前に立つ人達を見る。
「本当お前等は俺が好きだな~? そんな事してもお前達のもんにはならねぇのにさ」
「誘?」
「言っとくがコイツ……甘泉陽菜は」
「わっ!」
イザナくんが私の手首を引っ張り、肩を引き寄せる。
「婚約者候補だが俺はただの候補でこれまで通り自由で縛られるつもりはない」
「つまり?」
「つまり好きに動くしヤりてーっと思ったらこいつ以外抱くって事だな」
(本当に最低だなこの人……)
婚約者候補なの解消できるならしたい。いらないがいるなら誠実で自分一筋な人がいい。
「だが私達はイザナ様に婚約者って肩書きあるのが……」
「え? よくね?」
「?」
「人のモノに手を出してるっていうの背徳感あっていいじゃん」
「!!」
(この人と永遠に分かり合えない……)
とりあえず近くに居るが今すぐ離れたい。
「ですが……」
「あれれ? まだ言う事あるの? じゃあ、先程発言内容理事長とかに出そうかな~」
「なっ」
浅葱さんはスッと携帯を取り出す。そこにはボイスレコーダーの録音中と出ていて。
「認めて二度と彼女に手を出さない事。じゃないと彼女が言った通り社会的抹消されちゃうよ?」
にっこりと脅すと、青ざめた顔をし慌てた様子で狂信者達は走り去って行った。
「言ったな」
「離して下さい」
「お?」
引き寄せられていた手をパッと離せさせる。イザナくんは面白そうな顔で私を見る。
「なんだよ助けてやったのに」
「貴方とは分かり合える気がないのがわかりました」
「なんだ? じゃあ、お前の父との交渉のはやめるのか?」
「う……」
(それはそうなんだけど……)
浮気してもいいっていう思考の自分全く違う考えの人をかえないとならないのは大変で、今回ので続けるか悩む。
「まぁまぁ、そういうのは後で考えればいいじゃん」
「浅葱さん?」
「意外に君なら誘をかえること出来るかもしんないし」
「え?」
(この人私と父がした交渉内容知ってる……?)
何故知っているのかっと聞く前に彼の口元が笑う。
「そして正式の婚約者は誘じゃなくてもいい」
「え?」
「なぁ、ひなちゃん」
「はい?」
「俺、君が気に入っちゃった」
「え……」
「だからさ……」
私の手を浅葱さんが取る。
「君の婚約者候補になるな」
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