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「あーん」
なぜか超絶人気俳優・白瀬洸の膝の上で、すっ裸のまま餌付けされているオレ。
……オレ、自分で食べられるし。
しゃっ、しゃっとスプーンに手を伸ばすも、洸はそれらをひょいとかわし、オレの腹に巻きつけていた腕に、ぐぐぐっと力を込めてくる。
ぐ……苦しい……!
「いたずらっ子だね、ミケは。また……躾が必要かな?」
「ぴっ!」
オレは洸の腕の中で、ぷるぷると震える。
「……いい子」
そう言うと、洸は容赦なくスプーンをオレの口へと押し込んできた。
ぱくり。
むしゃむしゃ。
「美味しい?」
「…………」
洸は、テレビで見たことがあるような、ふわっふわのオムライスをもう一口すくい、満足げに細めた目でオレをじっと見つめてくる。
「……もっと食べようね。はい、あーん」
ぱくり。
むしゃむしゃ。
「ふふ……いい子」
そう言いながら、洸の指先がオレの喉をくすぐるように撫でてくる。
「…………」
オレ……諦めたわけじゃない。
逃走も、闘争も、いったん保留にしてるだけ。
そう――これは体力温存。
逃走も、闘争も、絶対やってやる!
「そうだ、今日はこれから仕事だから、マネージャーも来るし。この服……」
そう言って洸が広げたのは、オレでも知ってる高級ブランドのおしゃれなパーカーとハーフパンツ。
が!!!
なにげにパーカーをよく見ると――
「ひっ……!」
ど真ん中に、赤い油性マーカーでバカでかく。
まるで血で書かれたような滲んだ字で、『ミケ』と書かれていた。
(呪いの血塗りパーカー……!)
恐る恐るパンツも見ると――
「ひっ……!!」
そこには、『ミケ』の文字が百回近く……まるで呪詛のように繰り返し書き込まれていた。
(怨念の丑の刻参りパンツ……!)
オレが顔を引きつらせていると、洸はキラキラと微笑んだ。
けれど、その瞳の奥は暗く淀み、底なしの闇が潜んでいた。
その淀んだ目で、オレを――じっと、捉えてくる。
「ミケが迷子になっても……必ず……すぐに見つけてあげられるようにね」
(怖い……怖い……怖い……!)
オレ、何か悪いことした?
ただ、小さな幸せのために社畜として、必死に生きてきただけじゃなかった……?
服を着たい、着たくてしょうがない……でも、これだけは着たくない!
そう頭の中でぐるぐる考えているうちに、洸は容赦なくオレに血塗りパーカーをかぶせ、丑の刻パンツをはかせてきた。
生地はさすが高級なだけあって、驚くほど柔らかくて肌に吸いつくような感触がした。
けれど、鼻先をかすめるインクの匂いと、呪いのような文字の羅列が、オレの背筋をぞくりと震わせた。
洸が熱っぽい視線を、オレの呪いの上下に這わせてくる。
「うん、よく似合ってる……」
ちゅっ……と、オレの首すじに、熱を残すようなキスを落としてきた。
そして、笑顔のまま部屋を出ていく。
その笑顔は――底なしの狂気を孕んでいた。
なぜか超絶人気俳優・白瀬洸の膝の上で、すっ裸のまま餌付けされているオレ。
……オレ、自分で食べられるし。
しゃっ、しゃっとスプーンに手を伸ばすも、洸はそれらをひょいとかわし、オレの腹に巻きつけていた腕に、ぐぐぐっと力を込めてくる。
ぐ……苦しい……!
「いたずらっ子だね、ミケは。また……躾が必要かな?」
「ぴっ!」
オレは洸の腕の中で、ぷるぷると震える。
「……いい子」
そう言うと、洸は容赦なくスプーンをオレの口へと押し込んできた。
ぱくり。
むしゃむしゃ。
「美味しい?」
「…………」
洸は、テレビで見たことがあるような、ふわっふわのオムライスをもう一口すくい、満足げに細めた目でオレをじっと見つめてくる。
「……もっと食べようね。はい、あーん」
ぱくり。
むしゃむしゃ。
「ふふ……いい子」
そう言いながら、洸の指先がオレの喉をくすぐるように撫でてくる。
「…………」
オレ……諦めたわけじゃない。
逃走も、闘争も、いったん保留にしてるだけ。
そう――これは体力温存。
逃走も、闘争も、絶対やってやる!
「そうだ、今日はこれから仕事だから、マネージャーも来るし。この服……」
そう言って洸が広げたのは、オレでも知ってる高級ブランドのおしゃれなパーカーとハーフパンツ。
が!!!
なにげにパーカーをよく見ると――
「ひっ……!」
ど真ん中に、赤い油性マーカーでバカでかく。
まるで血で書かれたような滲んだ字で、『ミケ』と書かれていた。
(呪いの血塗りパーカー……!)
恐る恐るパンツも見ると――
「ひっ……!!」
そこには、『ミケ』の文字が百回近く……まるで呪詛のように繰り返し書き込まれていた。
(怨念の丑の刻参りパンツ……!)
オレが顔を引きつらせていると、洸はキラキラと微笑んだ。
けれど、その瞳の奥は暗く淀み、底なしの闇が潜んでいた。
その淀んだ目で、オレを――じっと、捉えてくる。
「ミケが迷子になっても……必ず……すぐに見つけてあげられるようにね」
(怖い……怖い……怖い……!)
オレ、何か悪いことした?
ただ、小さな幸せのために社畜として、必死に生きてきただけじゃなかった……?
服を着たい、着たくてしょうがない……でも、これだけは着たくない!
そう頭の中でぐるぐる考えているうちに、洸は容赦なくオレに血塗りパーカーをかぶせ、丑の刻パンツをはかせてきた。
生地はさすが高級なだけあって、驚くほど柔らかくて肌に吸いつくような感触がした。
けれど、鼻先をかすめるインクの匂いと、呪いのような文字の羅列が、オレの背筋をぞくりと震わせた。
洸が熱っぽい視線を、オレの呪いの上下に這わせてくる。
「うん、よく似合ってる……」
ちゅっ……と、オレの首すじに、熱を残すようなキスを落としてきた。
そして、笑顔のまま部屋を出ていく。
その笑顔は――底なしの狂気を孕んでいた。
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