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第14羽 恋もスイーツもあま~い
しおりを挟む合宿二日目の午後。
「今日は部活体験の日です! 異文化交流の一環として、それぞれのクラブ活動に参加してもらいまーす!」
如月先生の声が、キャンプ場の朝に響いた。
部活体験……?
てっきり自然探索とかやるのかと思っていたわたしは、思わず首を傾げる。
でも、さすが異世界合同の交流合宿。
文化も違えば、体験も違う。
案内されたのは、森の奥に設営された、仮設の「料理部ブース」だった。
「ようこそ、料理部へーっ! 今日は人間文化の代表、“スイーツ”をテーマにしまーす!」
如月先生はノリノリだった。
私、料理なんてしたことないよ……。
「対決、形式でいこうか。エルフの王チーム VS 竜人の王チーム。テーマは“とっておきの甘いもの”!」
軽やかに現れたのは、ロイくん。それと、みほ。
ロイくんのピンクエプロン姿がまぶしい。
「対決!? えっ、わたしが出るの?」
突然の展開にあたふたしていると、シウくんがスッと前に出て言った。
「……出る。俺と、一色で。竜人の王チームとして。」
「し、シウくん!?」
わたしの手を取るその顔は、なんだかいつもより真剣。
でも、ちょっとだけ楽しそうでもある。
えっ、でも、でも……。
そういえば、シウくんって料理できるのかな。
「……シウくん、料理できるの……?」
「……甘いものは好きじゃない。でも、“作る”のは、別だ。」
ぐっ、と拳を握る彼に、なぜかキュンとした。
料理スタート。
エルフの王チームは、定番のホットケーキやパフェを準備中。
「わたしたちは、どうする……?」
「……“ルラの実の蜜煮”をベースにした、風の花のゼリー。竜の国の伝統菓子だ。」
材料を手際よく並べるシウくん。
その姿に、料理部の女子たちがざわざわしている。
「かっこいい……」
「エプロン姿……反則じゃない……?」
たしかに、似合ってる……!
混ぜる、溶かす、冷やす――段取りよく進んでいくその様子は、まるで魔法みたいだった。
「一色、そこのボウルを取ってくれ。」
「は、はい!」
す、すごい。シウくんのこんな一面があったんだ……。
手際よく進んでいく、その姿を見ることしか私はできなかった。
「み、みほ! これでいいのかい?」
「ロイくん、違うよー!」
楽しそうに料理をするエルフの王チームが見えた。
相変わらず、みほは料理も上手だもんね。
ロイくんは……料理は苦手みたい。
「味見するか?」
「えっ……いいの? じゃ、ちょっとだけ……」
シウくんの突然の味見。
ドキドキ。どんな味がするんだろう……。
ゼリーをすくったスプーンを、そっと口に運ぶ。
「――おいしい……! やさしい甘さ……風の香りがする……!」
まるで森そのものを食べてるみたいな、不思議な感覚。
その感動を伝えると、シウくんはほんのすこしだけ、微笑んだ。
「お前がそう言うなら、いい出来だな。」
なにその笑顔反則……!
そしていよいよ、審査タイム!
エルフの王チームの王道パフェも人気だったけど、わたしたちの「異世界ゼリー」は、なんと――。
「優勝、竜の王チームーっ!」
歓声と拍手に包まれた瞬間、わたしとシウくんは目を合わせた。
「やったね……!」
「ああ。……お前の反応が、一番の調味料だった。」
さらりと、そんな甘いこと言わないで……!
スイーツより、心臓にくるんだから――っ!
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