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しおりを挟む転生してから三日後――私は、魔法学院の門をくぐった。
名門・アステリア魔法学院。王都でも指折りの由緒ある学院であり、貴族の子弟の多くがここで“教育”という名の選別を受ける。
「レティシア・フローレンスさんですね? ええと……初等課程、特別補欠枠の……」
受付嬢の口元が、ほんのわずかに引きつったのを私は見逃さなかった。
ふん、まあ無理もない。魔力量“C-ランク”の補欠入学。履歴だけ見れば、奇跡的なギリギリ合格。いや、もはや“慈善事業”と言ってもいい。
でも――
(それがどうした、って話よね)
私は、制服のスカートをひらりと揺らして教室へと歩を進めた。
◆ ◆ ◆
「魔法を使うには、たくさんの魔力が必要――そう思っている者も多いだろう。だが、本当に大事なのは“術式”だ」
最初の授業は、魔法の理論について。教えているのは、少し偉そうな中年の先生。名前はカイゼル先生。
教室の生徒たちは、みんなまじめに話を聞いていたけれど――
(ふうん……やっぱりこの世界の魔法、だいぶ時代遅れね)
私は、こっそりノートに新しい魔法の仕組みをメモしていた。もっと効率のいい方法があるのに、この世界ではまだ誰も気づいていないらしい。
すると突然、
「レティシア・フローレンス嬢。キミ、答えてみなさい」
やられた。先生は“できなさそうな子”をわざと指した。どうせ答えられないだろうと思っているのだ。
――でも、甘く見てもらっては困る。
「はい、わかります」
私はすっと立ち上がり、はっきりと答えた。
「魔法を2つ重ねて使うときは、タイミングをそろえるのが大事です。魔力を無理に使うより、魔法の流れをきれいにつなげたほうが安定します。教科書にはその方法が書いてないですけど、もっといいやり方、ありますよ」
「なっ……!」
先生の顔が真っ赤になった。生徒たちがざわざわし始める。
「すごい……なんであの子、そんなこと知ってるの?」
「落ちこぼれじゃなかったの……?」
私は何も言わず、静かに席に戻った。
――これで、最初の印象はちょっと変わったはず。
目立つつもりはなかったけど、やっぱり“黙って”はいられなかった。
鏡の前でウィンクしたあの日のように、私の逆転劇はもう始まっている。
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