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前日譚、そして
前日譚4.バグ王、バグ王ってよォ……ちっとは、俺も……(騎士ウィル)
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諸事情で手を組むようになってから、導手が戦闘中に指示を出すときも、その向こうにユイの声がする。
大きな決断を迫られたときも、ユイが俺たちに何かを託すような気持ちが流れ込んでくる。
緊迫した状況でも、イマイチ緊張感が足りなくて、絶体絶命の時にも笑って、泣いて、喧しいユイ。
いちいち思い悩んでいることがバカみたいになるほど、底抜けに明るくて――俺たちバグウィルに無償の愛をくれるユイ。
……あ、いや。無償ではないか。
なんかよく〈課金〉がどうとか、わけわかんねえこと呟いてるもんな。
でもなんか、そんなくだらない、緊迫感のない彼女の存在が眩しくて、俺は彼女の声を――存在を探し続けた。
事件――アイツは〈イベント〉だかなんだか言っていたが――を解決してすぐに、〈召喚石〉で呼び出してくれたときは嬉しかったな。
ああそうだ。すげえ、嬉しかった。
なんか、わー! とか、ぎゃー! とか、キタコレ! とか大騒ぎしててよ。
なんだよその叫び声って笑いながらも、アイツの召喚にかける執念みたいなの感じてさ。……はは、俺、そんなにユイに必要とされてんだなって思うと、たまらなかった。
俺の魂をいくつも重ねてくような不思議な感覚も味わってよ?
……くっくっく、ああもう、召喚中のあいつ、馬鹿みたいに可愛くてよ。不思議な存在なんだよなあ。
そうだ。
導手という器に重なる、ユイ。
掴みたいのに掴めない。そんな存在に追いつきたくて、俺は彼女を主と定めた。
そう決めたことで、揺らぎ続けるアイツの存在を、この世界に繋ぎ止めようとしたのかもしれねえ。
『やっぱバグ王最強すぎだよね。はぁぁぁ、好き……!』
って、ほらよ。
やっぱユイはユイだわ。
戦闘中なのに、この緊迫感のなさだぜ?
クリティカルを放った王サマに向かって、まーたなんかいってら。
まだ戦闘中だってのに、王サマもピクって反応して、ユイの方に視線を向けてやがる。
でも、王サマの執着も、ここ最近ますます顕著になってるんだよな……。
ユイに執着しすぎ。女の趣味、同じすぎっだろ……まあ、アイツも俺だからしょうがねェんだけどよ。
結局は、底なしに信頼できる相手。そういうヤツを、俺たちは探してたんだよな。
で、ユイを見つけちまった。
『サービス終了かぁ……こんなバグ王見られるのも……ううっ……ぐすっ』
って!
……お、おい……ユイ!?
泣くな。泣くなってば。
つか、王サマじゃなくて、俺のことで泣けよ、せめて。
「はぁぁぁ……」
――サービス終了なあ?
それがここのところ、ユイから流れ込んでくる声の大半だ。
俺もユイによってこの時空に召喚されたわけだが、どうやらユイも、召喚に似た何らかの魔法で、この世界に、意識と声を繋げているっていうふうに俺は認識している。
で。どうもあと数日、っつーか明日? ……うん、明日にはその魔法が使えなくなるみたいなんだよな。
『この世界とお別れしなきゃいけない』――ユイははっきりとそう言っていたから、間違いないのだろう。
ったくよ。
底抜けに明るいのがテメエの長所だろうがよ。
泣いてんなよ。ばーか。
涙拭いてやれねェだろ。クソ。
そもそもな? 俺らが逃がすわけねェだろ。ナメんな、バグウィルをよォ。
ユイの存在が揺れて、薄くなったり濃くなったり――すぐ側にいる気配だけするのに、アンタ自身をいままで掴まえられなくて。でもそれは、ユイが揺れながらもこうして存在を感じさせてくれたから、手を出さなかっただけだ。
わかってんのか?
その声で、俺たちの名前を呼んで、好きだって言葉で何度も何度も伝えてくれたから、今の状態に甘んじてただけ。
それすらもできなくなると嘆いて、離れてくンだったらよォ――、
――逃がすわけ、ないよなあ???
ああそうだ、と、俺は笑う。
引っ張りこむしかねえ。
あいにく、俺らの城にはいにしえの召喚石がある。
俺ひとりじゃあムズいだろうが、俺3人いりゃあ、不可能じゃねえ。
つか、俺らの力を限界まで高めたのは、ユイ、テメエ自身だからな?
俺を含めて、いろんなヤツらをとことん召喚しておいて、テメエ自身は高みの見物とか思ってんじゃねェよなあ???
その存在丸ごと。
ぜってェ、こっちに引きずり込んでやる。
こちとらとっくに、その算段できあがってんだ。
ドカァーーーーン!!!
『キャー! バグ王かっこいい!!』
……。
……。
……クソッ。
あの王サマばっかかまってんじゃねェよ、馬鹿ユイ!
覚えてろよな。
アンタには、まず俺。
あんな後からきたヤツよりもよ? 俺だろ? なあ?
俺だって、ぜってえ、わからせてやる。クソッ……。
…………俺だって戦えんだぜ?
ほら。俺にやらせろよ? なあ……???
大きな決断を迫られたときも、ユイが俺たちに何かを託すような気持ちが流れ込んでくる。
緊迫した状況でも、イマイチ緊張感が足りなくて、絶体絶命の時にも笑って、泣いて、喧しいユイ。
いちいち思い悩んでいることがバカみたいになるほど、底抜けに明るくて――俺たちバグウィルに無償の愛をくれるユイ。
……あ、いや。無償ではないか。
なんかよく〈課金〉がどうとか、わけわかんねえこと呟いてるもんな。
でもなんか、そんなくだらない、緊迫感のない彼女の存在が眩しくて、俺は彼女の声を――存在を探し続けた。
事件――アイツは〈イベント〉だかなんだか言っていたが――を解決してすぐに、〈召喚石〉で呼び出してくれたときは嬉しかったな。
ああそうだ。すげえ、嬉しかった。
なんか、わー! とか、ぎゃー! とか、キタコレ! とか大騒ぎしててよ。
なんだよその叫び声って笑いながらも、アイツの召喚にかける執念みたいなの感じてさ。……はは、俺、そんなにユイに必要とされてんだなって思うと、たまらなかった。
俺の魂をいくつも重ねてくような不思議な感覚も味わってよ?
……くっくっく、ああもう、召喚中のあいつ、馬鹿みたいに可愛くてよ。不思議な存在なんだよなあ。
そうだ。
導手という器に重なる、ユイ。
掴みたいのに掴めない。そんな存在に追いつきたくて、俺は彼女を主と定めた。
そう決めたことで、揺らぎ続けるアイツの存在を、この世界に繋ぎ止めようとしたのかもしれねえ。
『やっぱバグ王最強すぎだよね。はぁぁぁ、好き……!』
って、ほらよ。
やっぱユイはユイだわ。
戦闘中なのに、この緊迫感のなさだぜ?
クリティカルを放った王サマに向かって、まーたなんかいってら。
まだ戦闘中だってのに、王サマもピクって反応して、ユイの方に視線を向けてやがる。
でも、王サマの執着も、ここ最近ますます顕著になってるんだよな……。
ユイに執着しすぎ。女の趣味、同じすぎっだろ……まあ、アイツも俺だからしょうがねェんだけどよ。
結局は、底なしに信頼できる相手。そういうヤツを、俺たちは探してたんだよな。
で、ユイを見つけちまった。
『サービス終了かぁ……こんなバグ王見られるのも……ううっ……ぐすっ』
って!
……お、おい……ユイ!?
泣くな。泣くなってば。
つか、王サマじゃなくて、俺のことで泣けよ、せめて。
「はぁぁぁ……」
――サービス終了なあ?
それがここのところ、ユイから流れ込んでくる声の大半だ。
俺もユイによってこの時空に召喚されたわけだが、どうやらユイも、召喚に似た何らかの魔法で、この世界に、意識と声を繋げているっていうふうに俺は認識している。
で。どうもあと数日、っつーか明日? ……うん、明日にはその魔法が使えなくなるみたいなんだよな。
『この世界とお別れしなきゃいけない』――ユイははっきりとそう言っていたから、間違いないのだろう。
ったくよ。
底抜けに明るいのがテメエの長所だろうがよ。
泣いてんなよ。ばーか。
涙拭いてやれねェだろ。クソ。
そもそもな? 俺らが逃がすわけねェだろ。ナメんな、バグウィルをよォ。
ユイの存在が揺れて、薄くなったり濃くなったり――すぐ側にいる気配だけするのに、アンタ自身をいままで掴まえられなくて。でもそれは、ユイが揺れながらもこうして存在を感じさせてくれたから、手を出さなかっただけだ。
わかってんのか?
その声で、俺たちの名前を呼んで、好きだって言葉で何度も何度も伝えてくれたから、今の状態に甘んじてただけ。
それすらもできなくなると嘆いて、離れてくンだったらよォ――、
――逃がすわけ、ないよなあ???
ああそうだ、と、俺は笑う。
引っ張りこむしかねえ。
あいにく、俺らの城にはいにしえの召喚石がある。
俺ひとりじゃあムズいだろうが、俺3人いりゃあ、不可能じゃねえ。
つか、俺らの力を限界まで高めたのは、ユイ、テメエ自身だからな?
俺を含めて、いろんなヤツらをとことん召喚しておいて、テメエ自身は高みの見物とか思ってんじゃねェよなあ???
その存在丸ごと。
ぜってェ、こっちに引きずり込んでやる。
こちとらとっくに、その算段できあがってんだ。
ドカァーーーーン!!!
『キャー! バグ王かっこいい!!』
……。
……。
……クソッ。
あの王サマばっかかまってんじゃねェよ、馬鹿ユイ!
覚えてろよな。
アンタには、まず俺。
あんな後からきたヤツよりもよ? 俺だろ? なあ?
俺だって、ぜってえ、わからせてやる。クソッ……。
…………俺だって戦えんだぜ?
ほら。俺にやらせろよ? なあ……???
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