3 / 5
3話
しおりを挟む
進は図書館でひと通り調べ物に区切りが着くと自動ドアを潜り、
帰路に着いた。
〈これで思うように力が使えるはず…〉
そう考えながら帰る道を歩いていくと
突如、携帯のバイブ音がジーンズの
ポケットから鳴り響いた。
「早速か…」
携帯を再びポケットに仕舞うとリュックサックから黒いコートを取り出し、
羽織りがならバック片手に駆け出した。
◆
「ふぅ」
仁は書き終わった原稿を保存すると
身体を伸ばした。
ガチャっと音がすると野上が自分の席
向かっていた。
丁度いい今日あったこと含めて嫌味を
言ってやろう。
自分でも悪い笑顔しているのがわかった
もう抑える気もない。
横にいる舞が苦笑いしながら、見ていたが止めはしなかった。
仁はズカズカと編集長の席の前に歩いていくと、
「やってくれたなぁコノヤロウ!」
「へっ?」
「へっ?じゃあねぇわ!
全く収穫ない上に書かせるとかバカか
あんたは!」
「あ~ごめんごめん」
ヘラヘラと野上は笑っている。
「本当、何回目ですか!無茶ぶり言うのも!」
「本当ににごめんって~ただの興味心
だったんだ~ハメようとは断じてしてないからさぁ~」
「無茶ぶりはいいとしてもJKにいい歳したおっさんを合わせに行くのは辞めてくださいよ!
もうこれっきりにしたいんですから!」
流石に危ない橋を渡るのはこれっきりにしたい。
警察の世話になるなんてごめんだ。
「本当にに悪かったって今日1杯奢るからさ」
この言葉に食いついた薫が
「それホント~?」
とニヤニヤしながら顔を出している。
ナイスタイミングだ。
「そうですよ~責めてもう1人分位奢って貰わないと誠意が感じられないですからねぇ~」
「ぐ、」
効果覿面だったらしく、
「わかったよ奢ればいいんでしょ奢れば」と不服そうな顔で言った。
「ジンジンやるぅ♬︎」
「かおるっちもぉ~」と気色悪い声を
2人で上げながらハイタッチすると、
早々に自分の荷物を片付け、居酒屋に
繰り出す準備を進めた。
◆
「さぁ~で飲むわよ~!」
薫は早く退社出来たことと奢りで
いつも以上にはしゃいでいる。
「なんでこうなった…」
「自業自得ですよ」
「まさか薫ちゃんも乗っかるとは思わないじゃん」
「そりゃそうですけど」
ここまで不服そうな顔をする野上も珍しい。
よっぽどこの事が効いているみたいだ。
「まぁ今日ぐらいは腹括ってください」
「そーそー!また今度うちらが奢ってあげるからさ♪」
「期待はしときますよ」
苦笑いで野上が言う。
こうやって3人で飲みに行くのも久しぶりだ。
「顔、ニヤケてますよ」
「へ?」
どうやら腐れ縁の飲みに胸を踊らせているのはお互い様らしい。
野上も少し緩んだ顔持ちだった。
本当に一瞬だった。
その悲劇が起きたのは
「え?」
野上の首と身体は
誰もが理解する前に
1本の直線により離れた。
一瞬の出来事すぎて何がなんだか分からなかった。
だが目の前にいるどう見ても普通じゃない男がゆらりと身体をこちらに向けた。
目は焦点が定まっておらず、
口元はまるで三日月のように歪んでいた
「なにしてんの!はやく逃げるよ!」
薫のその言葉で正気が戻った仁は強引に
手を引っ張られその男から離れた。
目撃した人達も悲鳴を上げながら、蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。
「なんですか!あれ!急になんなんですか!」
「私だって知りたいわよ!
急に走って来たと思ったら野上さんが
殺されてたんだから!」
本当にに意味が分からない異常事態だ。
後ろを振り返るとまるで獣のように、
男はぐちゃぐちゃながらも刀状に変形した右腕を掲げながら追いかけてくる。
ヤバすぎる。
「やべっ!?」
足元にある段差に引っかかり、転んでしまった。
「仁くん!!」
気を違えた男は
〈Ksyoooooooooooo!!!!!!!!!!〉と言う
咆哮を上げながら、
意味のわからない形状の右腕を振りかざして来る。
〔終わった〕
そう思い、目をつぶった。
ガギィン!
まるで金属がぶつかるような鈍い音が
辺り一体に鳴り響いた。
不思議なことに痛みは全くなかった。
「間に合った!」
顔を上げるとそこには男の右腕を
受け止めたひとつの人影があった。
よく見てみるとその顔はまるで
ヒーローのような仮面に包まれていた。
帰路に着いた。
〈これで思うように力が使えるはず…〉
そう考えながら帰る道を歩いていくと
突如、携帯のバイブ音がジーンズの
ポケットから鳴り響いた。
「早速か…」
携帯を再びポケットに仕舞うとリュックサックから黒いコートを取り出し、
羽織りがならバック片手に駆け出した。
◆
「ふぅ」
仁は書き終わった原稿を保存すると
身体を伸ばした。
ガチャっと音がすると野上が自分の席
向かっていた。
丁度いい今日あったこと含めて嫌味を
言ってやろう。
自分でも悪い笑顔しているのがわかった
もう抑える気もない。
横にいる舞が苦笑いしながら、見ていたが止めはしなかった。
仁はズカズカと編集長の席の前に歩いていくと、
「やってくれたなぁコノヤロウ!」
「へっ?」
「へっ?じゃあねぇわ!
全く収穫ない上に書かせるとかバカか
あんたは!」
「あ~ごめんごめん」
ヘラヘラと野上は笑っている。
「本当、何回目ですか!無茶ぶり言うのも!」
「本当ににごめんって~ただの興味心
だったんだ~ハメようとは断じてしてないからさぁ~」
「無茶ぶりはいいとしてもJKにいい歳したおっさんを合わせに行くのは辞めてくださいよ!
もうこれっきりにしたいんですから!」
流石に危ない橋を渡るのはこれっきりにしたい。
警察の世話になるなんてごめんだ。
「本当にに悪かったって今日1杯奢るからさ」
この言葉に食いついた薫が
「それホント~?」
とニヤニヤしながら顔を出している。
ナイスタイミングだ。
「そうですよ~責めてもう1人分位奢って貰わないと誠意が感じられないですからねぇ~」
「ぐ、」
効果覿面だったらしく、
「わかったよ奢ればいいんでしょ奢れば」と不服そうな顔で言った。
「ジンジンやるぅ♬︎」
「かおるっちもぉ~」と気色悪い声を
2人で上げながらハイタッチすると、
早々に自分の荷物を片付け、居酒屋に
繰り出す準備を進めた。
◆
「さぁ~で飲むわよ~!」
薫は早く退社出来たことと奢りで
いつも以上にはしゃいでいる。
「なんでこうなった…」
「自業自得ですよ」
「まさか薫ちゃんも乗っかるとは思わないじゃん」
「そりゃそうですけど」
ここまで不服そうな顔をする野上も珍しい。
よっぽどこの事が効いているみたいだ。
「まぁ今日ぐらいは腹括ってください」
「そーそー!また今度うちらが奢ってあげるからさ♪」
「期待はしときますよ」
苦笑いで野上が言う。
こうやって3人で飲みに行くのも久しぶりだ。
「顔、ニヤケてますよ」
「へ?」
どうやら腐れ縁の飲みに胸を踊らせているのはお互い様らしい。
野上も少し緩んだ顔持ちだった。
本当に一瞬だった。
その悲劇が起きたのは
「え?」
野上の首と身体は
誰もが理解する前に
1本の直線により離れた。
一瞬の出来事すぎて何がなんだか分からなかった。
だが目の前にいるどう見ても普通じゃない男がゆらりと身体をこちらに向けた。
目は焦点が定まっておらず、
口元はまるで三日月のように歪んでいた
「なにしてんの!はやく逃げるよ!」
薫のその言葉で正気が戻った仁は強引に
手を引っ張られその男から離れた。
目撃した人達も悲鳴を上げながら、蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。
「なんですか!あれ!急になんなんですか!」
「私だって知りたいわよ!
急に走って来たと思ったら野上さんが
殺されてたんだから!」
本当にに意味が分からない異常事態だ。
後ろを振り返るとまるで獣のように、
男はぐちゃぐちゃながらも刀状に変形した右腕を掲げながら追いかけてくる。
ヤバすぎる。
「やべっ!?」
足元にある段差に引っかかり、転んでしまった。
「仁くん!!」
気を違えた男は
〈Ksyoooooooooooo!!!!!!!!!!〉と言う
咆哮を上げながら、
意味のわからない形状の右腕を振りかざして来る。
〔終わった〕
そう思い、目をつぶった。
ガギィン!
まるで金属がぶつかるような鈍い音が
辺り一体に鳴り響いた。
不思議なことに痛みは全くなかった。
「間に合った!」
顔を上げるとそこには男の右腕を
受け止めたひとつの人影があった。
よく見てみるとその顔はまるで
ヒーローのような仮面に包まれていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる