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24 女子から、逃げる、俺。
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なんだかんだタットさんとの交流は続き、怒涛の5月を乗り越え、ゆるーく6月を過ごし、大学の期末試験を乗り越えたら、夏季休暇が到来した。
けれど、俺の場合は、休暇中の集中講義をいくつか取っているので、完全な休みになるのは、夏季休暇から3週間ほど経過し、集中講義の最後の日の翌日、要するに明日からだ。
集中講義は、在籍してる学部の講義と言うより、資格取得を目的としたものが多い。取れる資格だったり、気になる資格は、極力取っておこうと、可能な限り受講をしていた。
正直、就職したい業種もまだそこまで明確にはなっておらず、このままイロトリに就職するのもいいなぁと緩く考えてるのだが、おそらくユネさんは許さないし、そもそもイロトリだけでは生活は出来ないだろう。ユネさんがもっと営業時間を増やしてくれればなんとかなりそうではあるのだけど、多分無いな。
取得していた集中講義が全て終わり、ようやく俺の夏季休暇が始まる。清々しい気持ちで、いつも通りにタタンとノートと資料をまとめカバンに突っ込んだ。
この後は、午後からイロトリのバイトがラストまである。まだ午前中なので昼ごはんをどこで食べようかと、ワクワクしながら教室を出ようとしたらスマホがブブブと鳴った。
『講義最終日おつかれさま!このあとバイトだよね?昼ごはん一緒に食べる時間あるかな?』
タットさんからだった。
バイトの時間まで余裕はあったのでタタタとリズムよく返事を送る。
『14時からなので結構時間あります。ご飯一緒に食べたいです。どこで待ち合わせますか?』
そのメッセージは送ると同時に既読が付き、すぐにタットさんから電話がかかってきた。
「はい」
電話に出ると、いつもの機嫌の良い声が聞こえた。
「ゆん君?ふふっ、おつかれさまー。大学の近くまで来てるって言ったら引く?」
「全く。むしろ来て頂いて申し訳ないです。今日は仕事ではないのですか?」
「そんな事言わないで。俺が好きでやってるだけだから。仕事は休みなんだ。先週夜間作業が入ってね、その振替」
前に聞いた、タットさんのお仕事。システム系のお仕事で、数ヶ月に1回、メンテナンスで夜通しの作業があるらしい。
「あぁ、だったら俺も今日バイト入れなければ良かったなぁ。そしたらタットさんと平日に遊べたのに……」
電話越しで「んぐっ!」と声を耐える音が聞こえる。俺は少しだけ良い気分になり、声が張った。
「とりあえず、ダッシュでそっちに向かいますので、今どこに居るのか教えてください」
急に声がデカくなってしまったので、周囲に居た学生達にも振り返られるがお構い無しだ。聞けば大学最寄り駅近くのカフェに居るとのこと。電話を終わらせ、雑にリュックを背負って講義室を出ようとした。
「相原先輩!私達も一緒はダメですか?」
キィンと耳を刺す様な甲高い声と、引っ張られるシャツの裾。声の主の方を振り返れば、数人の女子達がいつの間にか俺の傍に固まっていた。
代表っぽい女子が俺のシャツの裾を掴んでた。掴まれる意味が分からない。さっきまで高揚してた気分が一気に下降した。
「やだ。ぼく用事ある」
シャツの裾を露骨に引っ張って女子の手から離す。女子は「キャッ」とか言ってよろめいていたけど、最初に掴んだのはそっちだし俺は許可をしてない。
「だから!そこに私たちも入れてください!」
今度は別の女子が追撃してきた。しかも俺は早くタットさんに会うべく、ジリジリとその女子達から離れようとしてるのに、向こうは向こうでジリジリと俺に近づいてくる。素直に怖い。
「やだ!!」
割と大きい声で拒否って踵を返してダッシュで講義室を出る。その後も走ってはいけない廊下を走り、そのまま最寄りの駅まで走った。
鍛えてるので、最寄り駅位の距離なら息切れは起こらない。とは言え季節は夏。
代謝の良い俺の身体は全身汗びっしょりになってしまった。
タットさんが待ってるカフェに入る前に、タオルで汗を拭って、清涼シートでサッパリさせる。いつだって清潔感大事。汗で張り付いたシャツはご愛嬌にしてもらおう。
もう着替えはバイト用のシャツしかないのだ。
けれど、俺の場合は、休暇中の集中講義をいくつか取っているので、完全な休みになるのは、夏季休暇から3週間ほど経過し、集中講義の最後の日の翌日、要するに明日からだ。
集中講義は、在籍してる学部の講義と言うより、資格取得を目的としたものが多い。取れる資格だったり、気になる資格は、極力取っておこうと、可能な限り受講をしていた。
正直、就職したい業種もまだそこまで明確にはなっておらず、このままイロトリに就職するのもいいなぁと緩く考えてるのだが、おそらくユネさんは許さないし、そもそもイロトリだけでは生活は出来ないだろう。ユネさんがもっと営業時間を増やしてくれればなんとかなりそうではあるのだけど、多分無いな。
取得していた集中講義が全て終わり、ようやく俺の夏季休暇が始まる。清々しい気持ちで、いつも通りにタタンとノートと資料をまとめカバンに突っ込んだ。
この後は、午後からイロトリのバイトがラストまである。まだ午前中なので昼ごはんをどこで食べようかと、ワクワクしながら教室を出ようとしたらスマホがブブブと鳴った。
『講義最終日おつかれさま!このあとバイトだよね?昼ごはん一緒に食べる時間あるかな?』
タットさんからだった。
バイトの時間まで余裕はあったのでタタタとリズムよく返事を送る。
『14時からなので結構時間あります。ご飯一緒に食べたいです。どこで待ち合わせますか?』
そのメッセージは送ると同時に既読が付き、すぐにタットさんから電話がかかってきた。
「はい」
電話に出ると、いつもの機嫌の良い声が聞こえた。
「ゆん君?ふふっ、おつかれさまー。大学の近くまで来てるって言ったら引く?」
「全く。むしろ来て頂いて申し訳ないです。今日は仕事ではないのですか?」
「そんな事言わないで。俺が好きでやってるだけだから。仕事は休みなんだ。先週夜間作業が入ってね、その振替」
前に聞いた、タットさんのお仕事。システム系のお仕事で、数ヶ月に1回、メンテナンスで夜通しの作業があるらしい。
「あぁ、だったら俺も今日バイト入れなければ良かったなぁ。そしたらタットさんと平日に遊べたのに……」
電話越しで「んぐっ!」と声を耐える音が聞こえる。俺は少しだけ良い気分になり、声が張った。
「とりあえず、ダッシュでそっちに向かいますので、今どこに居るのか教えてください」
急に声がデカくなってしまったので、周囲に居た学生達にも振り返られるがお構い無しだ。聞けば大学最寄り駅近くのカフェに居るとのこと。電話を終わらせ、雑にリュックを背負って講義室を出ようとした。
「相原先輩!私達も一緒はダメですか?」
キィンと耳を刺す様な甲高い声と、引っ張られるシャツの裾。声の主の方を振り返れば、数人の女子達がいつの間にか俺の傍に固まっていた。
代表っぽい女子が俺のシャツの裾を掴んでた。掴まれる意味が分からない。さっきまで高揚してた気分が一気に下降した。
「やだ。ぼく用事ある」
シャツの裾を露骨に引っ張って女子の手から離す。女子は「キャッ」とか言ってよろめいていたけど、最初に掴んだのはそっちだし俺は許可をしてない。
「だから!そこに私たちも入れてください!」
今度は別の女子が追撃してきた。しかも俺は早くタットさんに会うべく、ジリジリとその女子達から離れようとしてるのに、向こうは向こうでジリジリと俺に近づいてくる。素直に怖い。
「やだ!!」
割と大きい声で拒否って踵を返してダッシュで講義室を出る。その後も走ってはいけない廊下を走り、そのまま最寄りの駅まで走った。
鍛えてるので、最寄り駅位の距離なら息切れは起こらない。とは言え季節は夏。
代謝の良い俺の身体は全身汗びっしょりになってしまった。
タットさんが待ってるカフェに入る前に、タオルで汗を拭って、清涼シートでサッパリさせる。いつだって清潔感大事。汗で張り付いたシャツはご愛嬌にしてもらおう。
もう着替えはバイト用のシャツしかないのだ。
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