食べたい2人の気散事

黒川

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【おまけ】夢オチ案件 side:健人

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セルフ二次創作です。
何でも許せる方のみ、よろしくお願いします。


【地雷ワード】
男性妊娠可の世界  同性婚  攻視点  エチ無し
夢オチ


合わないなと思われましたら、ソッ閉じ下さいませ。




✂ーーーーーーーーーーーーーーーーー✂


朝。誰かの泣き声で目が覚めた。
幼い声。恐らく赤子?

声が聞こえる方向に首を動かすと、俺の恋人、ゆん君がモゾモゾと動いている。
そう言えば、泊まりに来てたっけ。
泣き声は、彼の先から聞こえる?
その先に目をやると、何故かベビーベッドが置いてあった。

え?

ベビーベッド?いつ俺の部屋に入れた?
上手く状況が飲み込めず、寝たまま思案していると、ゆん君が起き上がった。
視線の先は、ベビーベッド。


「おはよー。――。朝から泣くねぇ。オムツか?ミルクか?それとも暇になっちゃったか?」


ベビーベッドの中に話しかけている。


赤子、預かった記憶……無いんだけど……?


「ゆん君、……あの……おはよう……?」


恐る恐る、ゆん君に声をかけると、ちょうど赤子を抱き上げていた彼が、赤子ごと振り向いて、飛んでもない事を言った。


「あ、ほら。――。パパも起きたぞ。おはよー」


パ……パ……?


俺は、そのつもりは無かったが、後ろに倒れると同時に、2度寝した。別名、気絶とも言う。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「お、ほら。パパが起きた。――、挨拶しな」

再び目が覚めると、ゆん君が、抱いていた赤子を俺の腹の上に置いた。
……どう見ても赤子だ。
体を起こして赤子を横に抱き、まじまじと顔を見てると、頭の上から大きなあくびが聞こえた。

「ふわぁぁあ……昨日の夜勤よなき、なかなかでしたね。タットさんが急に寝落ちしちゃったの、俺も分かります。朝ごはん作ってきますので、その間――の世話、お願いしますね」

――、きっとこの赤子の名前なのだろう。でも、何故か聞き取れない。狼狽えつつも、ゆん君の指示に従った。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


赤子の世話の経験は無い。
無いはずなのだけど……

手が動く。

そして、この赤子、恐らく生まれてまだ間もない。体全体を支えてあげないと、ぐにゃぐにゃする。そんな赤子、抱っこした事が無いのに、何故か当然のように横に抱いたり、縦に抱いたり縦揺れ横揺れとあの手この手で流れるようにあやしている。

ゆん君は、その俺と赤子の様子を見て愛おしそうに笑っている。
目が合うと多幸感が生まれる。
本当に俺たちの子ども?


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


朝ごはんの支度も終わり、赤子をバウンサーに乗せ(いや、俺バウンサーなんて言葉知らない。なのにバウンサーなんて言ってる)、2人で食卓についた。

「今日は俺の姉ちゃんと兄ちゃんが手伝いに来てくれます。その間に寝溜めしましょうね」

そんな事を言いながら、ゆん君は、かなりのスピードで朝ごはんを平らげていた。
そんな早食いじゃ無かったはずなのに。

「ふぇぁぁ!!ふぇぇぁ!!」

「ほーら!キタキタキタ!!シッコか?ウンコか?パイか?暇になったか?どれだ??」

赤子の泣き声と同時に立ち上がるゆん君。

バウンサーに赤子を乗せたまま、股に鼻を近付けて匂いを嗅ぐ。その後にオムツをチェック。

「オムツよーっし!」

次にスマホで何かのアプリをチェック。

「あぁー。俺、朝方にパイあげてたっけ?記録に残ってるけど記憶無いわー!!」

なかなかのハイテンションで喋ってるのは、恐らく睡眠不足でハイになってるから?
俺も急いで朝ごはんをかき込んで、ゆん君の傍に行く。

「もし、オッパイ張ってないなら俺がミルクあげようか?」

ん?そんな事を言うつもりなんて全く無いセリフが出てきた。
ゆん君が、嬉しそうに笑った。

「俺が――に母乳あげます。なのでタットさんが朝ご飯の片付けをしてくれますか?」

「うん、分かった」

言われた通りに食器の片付けを始めた。

ゆん君は、床に座ってシャツのボタンを開き……赤子を胸元に近付けて……




鬼の形相!!鬼の形相してるっ!!!え?コレ大丈夫なの!?




「あ゛あ゛ーー!!乳首いっでぇぇぇ!!!!」

デスボイス!!デスボイスだ!!!こんなゆん君見たことない!!え?赤子に母乳与える姿ってこんな鬼の形相なの!?

俺が呆然と見てると、それに気付いたゆん君が、鬼の形相のまま

「姉ちゃんが3ヶ月位で授乳に適した鋼鉄の乳首が出来上がるって言ってました!それまでの辛抱です!!」

と叫んでる。
痛いのか……なんか、授乳って母親と赤子の和やかなコミュニケーションみたいなイメージがあった分、ショックと言うか……

無言で俺は食器を洗い続けた。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


どうやら俺たちは、結婚をし、ゆん君が妊娠、出産。現在2人して産休を取っているみたいだ。
午前中に、ゆん君のお姉さんとお兄さんが来て、家事と育児のバトンタッチ。

「姉ちゃん兄ちゃんありがとー!寝てていい?タットさんと一緒に寝てていい?タットさんも俺と同じか、それ以上に寝てないんだよ」

「私等に任せて、ゆっくりしてなさい。あなた達の赤ちゃんの世話が出来るなんて、ご褒美でしかないわよ」

「昼ごはんも、夜ごはんも俺たちが作っておくから、今日は何もしないで大丈夫だよ」

「姉ちゃん…兄ちゃん……好き……」

「「はいっ!裕也の好き頂きましたー!!」」

ドヤ顔で、2人が俺の方を見てくる。
あ、なるほど。俺の立場って、まだこんな感じなんだ。

「タットさんの事は愛してるよ。――も愛してる」

ゆん君が言ってくれたので、俺は2人に、

「はい、ゆん君の愛してる頂きました」

とニッコリと笑って言い返した。
2人は、もの凄く悔しそうな顔をしてたけど、ゆん君が「大人気ないよ。俺らもう結婚してるの」と、追い打ちをかけてた。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「あっふ……」

寝室はダブルベッド。え?ダブルベッド?買い替えたんだ?
その、ダブルベッドで大きな欠伸をしつつ、2人で横になった。
とても、とても不思議な時間を過ごしている。

「姉ちゃんと兄ちゃんなら心配しないで任せて大丈夫です」
「心配なんてしてないよ。ゆん君のお姉さんお兄さんだもん」
「信用して貰えて、嬉しいです」

ゆん君が体を密着させてきたので、俺も彼を抱き込んだ。

「寝れる?」

「一瞬で」

「だよねぇ」

「束の間の休息ですが」

「甘えようね」

軽く、唇にキスをして、2人で眠りについた。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


……


…………


………………


目が覚めると、横には熟睡してる同棲中の恋人、裕也が居た。

凄い夢だったな。結婚して子どもまで産まれてる世界なんて。
――、結局あの赤子の名前は分からないままだけど、それで良かった。名前を呼んでたら、今とても寂しくなってしまいそうだから。

に、しても。ゆん君、タットさん呼びも懐かしかったな。今はお互いに下の名前で呼びあってるから、夢の中の記憶が色んな時代と混在しちゃったかな?

でも、こんな夢を見たのも、恐らく義兄夫婦の所に4人目の赤ちゃんが産まれたので、先日会いに行ったのが原因だろう。裕也は「産まれて間もない赤ちゃんに会いに行くなんて」と躊躇っていたが、義姉さんたってのお願いである事を伝えたら、納得してくれた。

そして始まった、彼の育児無双。
生後2ヶ月だと言ってた赤子を、慣れた手つきで抱っこし、あやしていた。
そして、上3人の子ども達のフォローも忘れない。むしろ積極的に3人と遊び、甥っ子たちに気に入られていた。
イロトリでの経験が生かされてる。

帰りなんて大騒ぎだ。

「やだ!ゆう君ともっと遊ぶ!」
「今度いつ来るの?明日?」
「ゆうや君帰っちゃやだぁぁぁ!!!」

大モテ。
これには義兄さんも義姉さんも苦笑いしていた。

「あの、騒がせちゃってすみません」

彼は恐縮していたけど、義姉さんはとても嬉しそうにしていた。


「また2人で遊びに来てね」


と。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


しばらく、昨日あった出来事と、やけにリアルだった夢を反芻していたら、裕也の目が開いた。目覚めたみたい。

「おはよう」

声をかけると、ゆっくりと横を向いて

「おはようございます」

と、返事をしてくれた。

「健人さん、なんか嬉しそうな顔してますね」

「そんな顔してる?」

「はい。なんだか楽しそうにも見えます」

「ふふ……そうかも?」

「なにか、ありましたか?」

「んーん。何も無いんだけどね、面白い夢を見てね。荒唐無稽なんだけど、聞いてくれる?」

「ぜひ」

俺は、さっきまで見ていた夢を、彼に話し始めた。



おしまい

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ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
大丈夫ですか?
まだついて来られますか?
大丈夫な猛者さま、あともう2話ほど、悪ふざけにお付き合い下さいませ(あっ、ここから先は進捗ゼロです)
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