地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第二章:本編

19-マチナカサガリ は、挑まれる(が、可愛いだけ)

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デイブの誘いを断る意味が分からない。
だってそうだろ。
給料も労働環境も清掃会社より良くなる。
あっちは実力と結果重視だ。
学歴なんか見やしねぇ。
それでいてキリはデイブのお気に入りスタッフだろ?顧客ウケも良いと聞いてる。
さっさと決めちまえば良いのに、ずっと悩んでいる。

いつもだったら、俺がアレコレ言い包めて俺の都合の良い様にキリをコントロールするのだが、今回は出来そうにも無い。

こいつ、妙な所で強情なんだよな。
まだ付き合いたての頃もそうだった。
なし崩しに同棲に持ち掛けようとしたのに、頑として断りやがった。
普段なんて赤子の手を捻るより簡単に転がせられるって言うのに。

今回も、キリ自身が決めないと、何も進まない事になりそうだ。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


アイツが強情だったとしても、デイブの仕事を蹴る事は回避させたいと思う。
スキル維持のためにも、最低でも今まで通りの依頼は受けさせたいと思っている。
あわよくば転職なんだけどな。
なので、キリとは別にデイブから渡された業務内容と労働規約の素案を、俺なりに確認をした。

基本は海外からの観光客の通訳と案内。
ここは今まで通り。
企画と営業も書いてあるが、恐らくキリはそれには関わらないだろう。
関係するとすれば、イベント運営と事務回りって所か。
……アイツ、事務出来るか?
デイブの旅行代理店は、かなり偏った旅行プランを提供をしている。通常の観光場所の他に、日本アニメの舞台になった名所巡りだったり、アイドルライブ、2.5次元舞台にミュージカル、アニメや漫画の専門店への案内等など。

要はオタク文化に特化した旅行プランなのだ。

キリがオタクかと言うと、アニメや漫画に関しては、ほぼ一般人だ。アイドルも全般と言うよりラキ特化型。対バンやコラボで一緒になるアイドルも見ているが、ラキほどの熱量は無い。
そんなキリだが、一般的な観光地案内と解説は標準装備、対応は丁寧、移動はラキの現場通いと仕事の現場回りの経験を活かしてスムーズ、アニメと漫画には疎いがアイドル現場には強い。
と、得意ジャンルがあるため、ドルオタ観光客には評判が良いらしい。
何が仕事に活きてくるかなんて、分からないものだよな。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


「お前、どうするんだよ」

って事で、毎日の様にキリを追い詰めている。
どうするのか?と聞きながら、その言葉の裏には「いつ清掃会社を辞めるんだ?」と言う意味も含んでいる。

「まだ悩んでるんだよぅ。そんな急かさないでよ」

「誘いを断るメリットなんてあるか?収入増えるし確実にスキルアップもキャリアも積めるし転職にも有利になる。断ったらデメリットしか無ぇだろ」

「うぅー……!」

「お、唸った」

言葉では勝てないキリは、言い返せないと動物みたいな反応をする。
それを見たくて追い詰めているようなものだったりもするのだから、俺も大概だよな。
ご機嫌取りじゃないが、自然とキリの頭に手が伸びた。
艶のあるサラサラの髪の毛を撫でて感触を楽しめば、そのうちキリも目を細めて俺に擦り寄って来るのがセオリーなのだが…
上目遣いで、やたらと睨まれた。

なんだ?可愛いだけなんだが?
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