地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第二章:本編

19-カナタキリ は、詰められる

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デイブさんのお誘いは魅力的だと思う。
賃金の事も話に出ていたのだけど、今のお給料と比較すると良くなる。
でも、その分責任も重たくなる。
けど、デイブさんが日本に来てやろうとしている事は、僕も興味があるしやってみたいと思う。
でも、僕に出来るだけの力があるかと言うと、自信は無い。
けど、……でも、……けど、の繰り返し。

うぅーん……答えが出ないっっ!!


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


「悩みごとですか?……ご家族の事ですか?」

仕事の休憩中、パートのキムラさんが心配するように僕の顔を覗き込んできた。
どうも仕事に影響が出てたみたい。
ミスはしてない筈だけど、態度に出てたのかな?
キムラさんは、色々と僕の事を気にかけてくれているパートさんだ。
僕と家族の関係も心配してくれて、連絡先も交換してくれた優しい人。
だから、つい甘えて相談をしてしまった。

「家族……は、特に何も無いです。あの……僕、ダブルワークしてるのですが、本格的に働いてくれないかって声をかけてくれて。僕も興味がある分野なので、どうしようか迷ってるんです」

「え?って事はカナタさん、この会社辞めちゃう可能性があるって事ですか!?」

キムラさんがだいぶビックリしている。

「そう、かも知れないです。でも、僕この会社にも愛着があるんです。仕事も嫌いじゃないですし、せっかくチームリーダーにもなれたんだし、辞めるのも勿体ないなぁって思ってて。どっちつかずなんですよね」

そっか。
僕はどっちも手放したくないから迷ってるのか。
キムラさんに話したら、ちょっとだけ気持ちの整理が出来たかも。
勝手に納得出来て、ふふって笑顔が漏れたら、キムラさんの頬がプックリと膨らんでいた。

「辞めないでください。コレは私のワガママなんで聞き流してくれて良いですけど、私はカナタさんに辞めて欲しくないです」

「えぇ~……?……そっかぁ~……」

「私、カナタさんと一緒にお仕事するのが好きです」

「僕も、キムラさんと一緒にお仕事するのは好きです」

へへっと、2人で笑い合う。
誰かに好感を持たれるって擽ったい。

「とは言っても、カナタさんの人生はカナタさんのモノなので、私がどうこう言ってたとしても、ご自身の最良の選択をしてくださいね。悩むなら話も聞きます」

「ありがとうございます」

ただの仕事仲間なのに、ここまで言ってくれるなんて。
僕はとても恵まれてる。
結論は出ていないけど、まだ時間はあるし、もう少し悩もうっと。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


なんて、思ってた事もありました。

「お前、どうするんだよ」

もうっ!毎日サガリ君が答えを求めて来るっ!
まだ先の話なのに。
サガリ君は今の会社を辞めてデイブさんの仕事一本にして欲しいって思ってる派。
だから「どうするの?」って聞いておきながら、「いつ辞めるんだ?」って聞いているようなものなんだ。

「まだ悩んでるんだよぅ。そんな急かさないでよ」

「誘いを断るメリットなんてあるか?収入増えるし確実にスキルアップもキャリアも積めるし転職にも有利になる。断ったらデメリットしか無ぇだろ」

「うぅー……!」

「お、唸った」

よしよし、ってサガリ君が僕の頭を撫でてくる。
こうやって優しくしてくれるから、ついサガリ君の言うままに動いちゃいがちなんだけど、今回は違う。
仕事をするって大事だからね。
なんて言ったって、ラキちゃんを推すための資金がそこで生まれるんだからね。
慎重に考えて動くからね!
僕は頭を撫でられながら、サガリ君の事を睨んだ。
あ、別に嫌いになったとかじゃないよ。
勝負だっ!!負けないっ!!て気持ちの睨みだからね。
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