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第二章:本編
21-カナタキリ は、道を知る
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「貴重だよ。次の査定面談の時に言うつもりだったけどね」
そう言って、マネージャーは僕に対する一般的な評価を教えてくれた。
「まずね、この会社って高卒専門卒大卒から採用してるんだけど、カナタ君と同期の子って何人居た?」
「えっと……なんかたくさん居ました」
女の人が少なくて、男の人が多かったのは良く覚えてる。
「その同期たち、何人残ってると思う?」
「わ……わかりません」
同期なんて言っても、入社時研修が終わったらみんなバラバラに配属されたし、連絡も取り合わないし、同期で集まるなんて事は一度も無かった。
「私も知らない」
マネージャーが胸張って答えた。
知らないのに聞いたの?
「けどね、少ないと思うよ。下手したらカナタ君だけかもね。それだけ離職率が高いの」
「え……じゃぁうちって人手不足なんですか?」
「正社員はね。現場はパート、アルバイト、派遣で回せるけど中枢は不足を感じている。だからね、正社員で10年勤続してるって貴重なの」
「はぁ……」
「だから、会社も離職者を留まらせようとダブルワークを認めたり、リターン制度を設け始めたでしょ?」
リターン制度と言うのは、一度理由があって退職した人も前回と同じ待遇で再雇用しますよって言う制度だ。
「しかも正社員が現場10年って、実はとても珍しい事なの。大卒、専門卒だと数年で管理や運営側に回るから。……高卒は、もう少し時間がかかるのだけど、結構現場のまま辞めちゃう子が多いのよね。もちろん長く勤めて管理運営に回った方も居るけど、少数でしかない。だから、カナタ君も珍しいの」
「はぁ」
「で、今はリーダーになってるし、希望があればカナタ君なら異動の推薦も出来る」
「えぇー……」
全然知らなかった。
このまま定年までビルや施設の清掃をするんだと思ってたよ。
「ちょっと厳しい事を言うけど、カナタ君は仕事に対して真面目で丁寧だけど、向上心はいまいちだなって思ってたの」
僕は無言で頷いた。上に行きたいって思った事が無いからね。その通りだ。
マネージャーも苦笑いしてる。
「でも、リーダーになってからは、周りを見るようになったし気遣いも出来るようになった。パートさんの環境を良くしようって頑張ってる。マネジメントも上手だと思う。人の上に立つようになって、特にコミュニケーション能力の成長を感じてるよ。だから今の貴方なら、希望があれば自信持って推薦状も書いてあげられる」
「えぇー……」
いっぱい褒められて身体がモゾモゾしちゃう。
「と、言う事を踏まえた上でね。改めてこれからの事を考えて欲しいって私は思ってる。ちょっと人事にも相談してみようか?今はうちの会社メインでダブルワークしてるでしょ?だから、もっと自由度の高い勤務形態にするとか……出来ないかな?誘われている方の勤務ってどんな感じ?月金の9時5時きっかりだったりする?そっちもさ、ちょっと詳しく聞いてみて欲しいな。お互い譲歩出来る所があれば、ダブルワークのままでいられるでしょ?」
マネージャーがどんどん提案してくれる。
す……凄い。
マネージャーの話を聞いてると、もしかしたらダブルワークのままでも良いかもって思えてきた。
僕が言われるまま、ウンウンと頷いてると、マネージャーが目を細めて笑った。
「私はね、貴方が会社の事が嫌になって、とか、もっと別のやりたい事が見つかって全力で向き合いたくて、って言うならね、引き止めない。でも、少しでも留まりたいと思ってくれているなら、この会社に居る方法を探して欲しいって思ってる」
「ありがとうございます」
マネージャーは凄い。悩んでいた事に少しだけ答えが出そうになってる。
取り敢えず、言われた通りにデイブさんにもっと詳しく聞いてみよう。
そう言って、マネージャーは僕に対する一般的な評価を教えてくれた。
「まずね、この会社って高卒専門卒大卒から採用してるんだけど、カナタ君と同期の子って何人居た?」
「えっと……なんかたくさん居ました」
女の人が少なくて、男の人が多かったのは良く覚えてる。
「その同期たち、何人残ってると思う?」
「わ……わかりません」
同期なんて言っても、入社時研修が終わったらみんなバラバラに配属されたし、連絡も取り合わないし、同期で集まるなんて事は一度も無かった。
「私も知らない」
マネージャーが胸張って答えた。
知らないのに聞いたの?
「けどね、少ないと思うよ。下手したらカナタ君だけかもね。それだけ離職率が高いの」
「え……じゃぁうちって人手不足なんですか?」
「正社員はね。現場はパート、アルバイト、派遣で回せるけど中枢は不足を感じている。だからね、正社員で10年勤続してるって貴重なの」
「はぁ……」
「だから、会社も離職者を留まらせようとダブルワークを認めたり、リターン制度を設け始めたでしょ?」
リターン制度と言うのは、一度理由があって退職した人も前回と同じ待遇で再雇用しますよって言う制度だ。
「しかも正社員が現場10年って、実はとても珍しい事なの。大卒、専門卒だと数年で管理や運営側に回るから。……高卒は、もう少し時間がかかるのだけど、結構現場のまま辞めちゃう子が多いのよね。もちろん長く勤めて管理運営に回った方も居るけど、少数でしかない。だから、カナタ君も珍しいの」
「はぁ」
「で、今はリーダーになってるし、希望があればカナタ君なら異動の推薦も出来る」
「えぇー……」
全然知らなかった。
このまま定年までビルや施設の清掃をするんだと思ってたよ。
「ちょっと厳しい事を言うけど、カナタ君は仕事に対して真面目で丁寧だけど、向上心はいまいちだなって思ってたの」
僕は無言で頷いた。上に行きたいって思った事が無いからね。その通りだ。
マネージャーも苦笑いしてる。
「でも、リーダーになってからは、周りを見るようになったし気遣いも出来るようになった。パートさんの環境を良くしようって頑張ってる。マネジメントも上手だと思う。人の上に立つようになって、特にコミュニケーション能力の成長を感じてるよ。だから今の貴方なら、希望があれば自信持って推薦状も書いてあげられる」
「えぇー……」
いっぱい褒められて身体がモゾモゾしちゃう。
「と、言う事を踏まえた上でね。改めてこれからの事を考えて欲しいって私は思ってる。ちょっと人事にも相談してみようか?今はうちの会社メインでダブルワークしてるでしょ?だから、もっと自由度の高い勤務形態にするとか……出来ないかな?誘われている方の勤務ってどんな感じ?月金の9時5時きっかりだったりする?そっちもさ、ちょっと詳しく聞いてみて欲しいな。お互い譲歩出来る所があれば、ダブルワークのままでいられるでしょ?」
マネージャーがどんどん提案してくれる。
す……凄い。
マネージャーの話を聞いてると、もしかしたらダブルワークのままでも良いかもって思えてきた。
僕が言われるまま、ウンウンと頷いてると、マネージャーが目を細めて笑った。
「私はね、貴方が会社の事が嫌になって、とか、もっと別のやりたい事が見つかって全力で向き合いたくて、って言うならね、引き止めない。でも、少しでも留まりたいと思ってくれているなら、この会社に居る方法を探して欲しいって思ってる」
「ありがとうございます」
マネージャーは凄い。悩んでいた事に少しだけ答えが出そうになってる。
取り敢えず、言われた通りにデイブさんにもっと詳しく聞いてみよう。
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