地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第二章:本編

22-マチナカサガリ は、道を知る

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実家でタケルと話が出来たせいか、気持ちがかなりスッキリとしている。痛い所も突かれたが、彼の言っている事は正論だった。
あの手この手で言い包めるのは控えておこう。

そうと決まれば晩飯の支度だな。
キリはすっかり俺の食事に慣らされている。
今だって現在進行系で俺はせっせとキリの胃袋を掴み続けている。
今夜はハッシュドビーフ。
時間があるので、のんびりと鍋をかき回し、キリの帰宅を待った。

キリが帰って来れば一番に夕飯のメニューを伝える。
嬉しいを全身で表す様に飛び跳ね、ラキの歌を口ずさんでいる。
案の定の態度で笑いが漏れた。

「んで?仕事、どーすんの?」

言い包める事は控えるが、結論は確認しておきたいので毎度のルーチンをこなす。
また要領を得ない返事が来るかと思ったが、今回は違った。

「ダブルワークのまま続けられないかな?って、会社とデイブさんに相談する」

「へぇ?」

いつもと違う返事。
キリにも心境の変化があったのだろうか。
進展のある回答に、思わず笑みがこぼれた。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


夕飯の支度を終え、2人で向かい合って食事を始めた。
メニューはハッシュドビーフにサラダ。
キリは白米にかけるのを好む。
なので俺も出す時は最初から皿に白米とハッシュドビーフを盛り付けている。
ワンプレートで済むから、洗う食器も少なくて済むのも利点だ。
しばらくキリの好きなように食事を進ませ、タイミングを見て先ほどの仕事の事を改めて聞いた。

「マネージャーに相談したら、もっと自由のきく勤務形態に出来ないか人事に聞いてみるって言ってくれたんだ。それと合わせて、デイブさんの所の勤務形態も詳しく聞いて、なんとかダブルワークのままで続けられないかな?って思ったんだ」

「へぇ?」

上司に相談したのか。
どちらも続けたそうにしていたキリには、良い考えだろう。
で、あれば俺もサポート出来る所はしていきたい。
こっちはデイブとの交渉が主になりそうだ。

「デイブの方は……相談より交渉した方が良いかもな。貴方の要望に応えますって言うより、ここまでなら出来ます。その範囲で仕事します、とかな」

「なるほど?」

キリが不思議そうな顔をしている。
それもそうか。
今まで転職を促すような事を言ってたからな。
アドバイスされるとは思っていなかったのだろう。

「サガリ君は、僕が今の会社を辞めさせたいんだよね?」

「どちらかと言えば辞めさせたいな」

それは今でも変わらない。

「でも、さっきは続けても良さそうなアドバイスくれたのは何で?」

タケルが言ってた「見守る事も大切」と言う言葉が脳裏を過った。
キリ自身がその気持ちを見つけたのであれば、俺もキリの気持ちを優先しようと思う。
が、その結論を出した経緯は少し気に食わない。

「お前の出した答えが建設的だったから。てかなんで相談相手が上司なんだよ。仕方ねぇっちゃ仕方ないけどよ」

何で上司に相談してるんだよ。
仕事の調整をつけたいのであれば、職場の人に相談するのが一番なのは分かっているが、……納得いかねぇ。

「キムラさんに話を聞いてもらったらね、マネージャーに相談したら?ってアドバイスくれたんだ」

「パートにも相談してるのかよ!」

「あ、うん。なんか話の流れでそうなった」

そこは俺で良かったじゃん!!
思わず語調も荒くなる。
キリは悪く無いっちゃ悪く無いが、納得いかねぇ。
と、あからさまに不機嫌な態度をとっているのに、キリはどこ吹く風だ。
最近のキリは俺の態度を良く見るようになった。何に対して腹を立てているのかを見極めるのが上手くなってきている。
最初の頃は、俺が不機嫌な態度を取ると何でもかんでも萎縮していたが、最近は萎縮すべき事案か、そうでないものかを瞬時に見極め、自分に帰属しない怒りの場合、軽くスルーされる事もある。
キリのクセに。

「まぁ、職場の勤務形態に口出しは出来ないから仕方ないか。じゃぁ、マネージャーから勤務形態の事で回答があったら俺に連携しろ。それを持って俺がデイブに交渉する」

「う、うん。そっちはお願い」

キリの英語レベルは、あくまで日常会話に困らないレベルだ。自身の利益を生むための交渉となると弱い。
なのでキリの労働条件を守るためにも、デイブの仕事は俺が間に入って交渉をしている。
キリはそれを申し訳なさそうにしているが、俺としては頼って貰えた方が安心だ。
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