地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました？

第二章：本編

30-カナタキリ は、言えない

妹に電話を切られた後、ホッとため息をついた。
これで、もうおしまいで良いんだよね？
もう架かって来ない、よね？

改めて思ったけど、僕の家族って少しおかしいのかも知れない。
……じゃぁ、その家族と血が繋がっている僕もおかしいのかな？
僕は、人を悪く言うのは好きじゃないし、あの2人みたいな態度を取ることは出来ないし、そもそもそんな事はしたくない。
でも、血が繋がっている家族なのだから、僕にも2人みたいな性格になる可能性も、ある？

サガリ君は、僕の家族の事を良く言わない。
だから、僕もサガリ君に嫌われる可能性は……ある？
そこまで考えたら、すごく悲しくなってボロボロと目から涙が大量に流れて来た。

「キリ？」

サガリ君が僕の涙を指で拭ってくれる。
そもそも、サガリ君はとても優秀な人で格好良くて頼りになって何でも出来るスーパーマンで、でも家族の前だと少し子どもっぽくなる可愛い人で、家族仲がとても良い。
そんな絵に描いた様な素敵な人が、何で僕と一緒に居るんだろう？
女の人でも、男の人でも、僕なんかよりずっとずっと優秀で綺麗で可愛くてカッコイイ人だって、サガリ君なら選び放題なのに。
なんでサガリ君は僕と一緒に居てくれるんだろう？
もしかして、僕ってサガリ君の側に居ない方が良いんじゃないかな？
そんな事を考え始めたら、涙が止まらなくなってしまった。

「サガリ君……ごめん……ごめんね……僕の家族がごめんね……僕なんかが……ごめん……ね……」

「キリ、なんか、なんて言うな。アレとお前は全然違う。違うんだよ」

ギューて、キツく痛いくらいにサガリ君は抱き締めてくれた。
僕も指が赤くなるくらいサガリ君にしがみつく。
離れたくない。
離さないで欲しい。
でも僕なんかがサガリ君の側に居たら、また迷惑かけちゃう？サガリ君はもっと素敵な人と一緒に居るべき？

でも、離れたくない。

「サガリ君、好き。大好き。……でも……サガリ君が……もし……あの……」

その先が言えない。
嫌になったら僕の事は気にしないで捨てていいよ、別れようねって言いたいのに。
言わなきゃいけないのに。
言葉が出ない。
出さなきゃ、伝えなきゃって口を開くのに、パクパクするだけで声が出ない。

「キリ、また変な思考してるだろ？心配するな。俺がお前の家族を理由に嫌いになることは無ぇよ。好きだから。これからもずっと好きだよ」

止まらない涙はそのままで、サガリ君はムチューてしっかりとくっつく様にキスをしてくれた。
エッチなキスじゃなくて、安心出来るようなキスだ。
僕もスリスリと唇を擦りつける。

いいのかな？
サガリ君は、僕のままでいいのかな？
他の素敵な人じゃなくていいのかな？
そんな事が頭を過ぎるけど、

「サガリ君、好きだよ」

好きな気持ちは、どうにも出来なかった。


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「キリ、好きだよ。愛してる」

「僕も好き。大好き。サガリ君の事を愛してるよ」

お互いの気持ちを確かめ合うように、抱き合ってキスをする。
エッチな気持ちにはなれないけど、存在を確かめるように、サガリ君の体中を手のひらで弄まさぐった。
大きくて逞しくて、僕を包み込んでくれる、大好きな体。
スキンシップが気持ち良くて安心するって発見出来たのは、サガリ君のおかげだ。
存分に触った後、僕は体を小さく丸めてサガリ君の胸の中にスッポリと収まった。
安心するポジション。
ほぅ、とため息を吐くと、頭の上から、

「満足したか？」

と、サガリ君の心地よい声がした。