地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第二章:本編

39-カナタキリ の、驚き

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チケットはあっさり取れた。
しかも番号もかなり早い。
最前に行けそうな番号だ。
こう言うのを肩透かしって言うんだっけ?
これなら日帰りで行けそうな場所もまだ買えそうな気がする。
売れ行きは好調だけど、今までみたいなすぐにソールドアウトしちゃうような事は無かった。
今回は、沖縄から北関東までのチケット販売だった。東京神奈川千葉埼玉は入ってなくて後半の販売で、東京と神奈川は抽選。

そう言えば、ここの区切りでファンたちがちょっと論争してたのも面白かった。
炎上とは違うんだけど、埼玉は北関東に含んでいいだろ、とか、千葉と埼玉は前半の販売に入れても良くないか?とか。
なんだろ?主に埼玉住みの人と千葉住みの人が言い合っていたな。
それをラキちゃんが『喧嘩は止めなさいw仲良くしなさい』って言ったらパタっと止んだのも面白い流れだった。
サガリ君が千葉と埼玉のお家芸だって言ってたのも面白かったな。
それはそうと、北関東だったら日帰りで行けるよね……どうしようかな?休み合うかな?


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


なんて、プライベートはラキちゃん一色に染まろうとし始めていたら、サガリ君から、と言うか、サガリ君のお母さんが相談したい事があると言われて、仕事が休みの日に、サガリ君と一緒にお母さんに会いに行った。
サガリ君の実家は、僕の実家よりずっと大きくて立派で綺麗な家だ。
そして、サガリ君のお母さんも、とても綺麗で素敵な人だ。
そんなお母さんが僕に何の用だろう?

サガリ君の実家に到着すると、お母さんがニコニコしながら出迎えてくれた。

「サガリもキリちゃんもいらっしゃい。待ってたのよぉ~」

いつも思うんだけど、サガリ君のお母さんの話し方って語尾にハートが見えそうなくらいご機嫌なんだよね。
僕の事をちゃん付けで呼ぶんだけど、ちょっと恥ずかしい。

「おじゃまします」

初めて会った時は、ビックリして上手く話せなかったけど、今は大丈夫。挨拶もきちんと出来た。
サガリ君に案内されながら、リビングに行くと、お父さんとタケル君も揃ってた。
家族総出だ。

お父さんはゆっくりこっちを見ながら「いらっしゃい」って穏やかに言ってくれるし、タケル君は「兄さん、キリ君待ってたよー!」って元気に声をかけてくれた。
うん、相変わらず家族仲良しだなぁ。
うちとは大違いだ。
でも何でみんな揃ってるんだろ?

進められるまま、サガリ君と2人並んでソファに座ると、お母さんがお茶とお菓子を出してくれた。
きっとお菓子はタケル君が作ったやつだ。
白くてフワフワでコロンとしたメレンゲがお皿に盛られている。

「タケルのメレンゲよ?キリちゃんが好きだからって、昨日から仕込んでたのよ」

だって。

「好きです。タケル君ありがとう」

僕がお礼を言うと、タケル君も「どういたしまして」と、ニコニコで応えてくれた。

お茶とお菓子が揃って、お母さんも座ると、マチナカ家全員と僕、と言う奇妙な集まりが出来た。

お母さんが、コホンと一つ咳をしてから、僕を見る。

「キリちゃん、急な相談なんだけど、うちの子にならない?」

「え!?」

何を言われたのか、ちょっと理解が出来なかった。
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