地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第二章 番外編 等

カナタ家は、長男を見限る

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※キリの母親が、ショートメールで絶縁宣言をした直後の話です



あんなに生意気に育つなんて、やはり長男なんて碌なものでは無かった。
幼い頃から厳しくしておいて良かった。
あれで長男だからと言って、私の両親が兄にしたように、ちやほやと育てていたら、とんでもないモンスターに成長する所だった。

カナタキリの実の母親は改めて思った。

親を敬う事も、妹や弟を思いやる気持ちも無い長男なんて家族ではない。
あれには、もう二度と家の敷居を跨がせてやるもんか。
長男だからと言って、ここの家を相続するなんて言い出した際にはお前にやるモノは1尾たりともないと言ってやろう。

そんな気持ちを、カナタキリの母親は抱いていた。
そして、自分の夫にもその旨を伝えた。
長男は、もうカナタ家の人間ではない。
あんな薄情で卑劣で思いやりの無い男は、我々の家族ではない、と。

そして、カナタキリの実の父親も妻の言葉を信じた。

やはり、長男なんて碌なものでは無かった。
下の2人が生まれてから、厳しくしておいて良かった。
あれで長男だからと、ちやほやと育てていたら今以上に薄情で手に負えない男に育っていただろう。
自分の兄の様に、両親が亡くなった後、遺産相続は遺言状にある通りだと、1円もこちらに寄越さなかった。
あのような事はさせてはいけない。
残せるものは、下の2人に全て残そう。
長男なんかに一銭も渡すものか。

キリの実の両親は、再度キリに対しての認識を共有した。
そして、それはそうと。
と、父親が口を開いた。

「あの2人はいつになったら仕事を始めるんだ?きちんと家に生活費は入れているのか?」

長女は短大を卒業した後、定職につかず、派遣だパートだと短期で職を変え、非正規雇用のまま実家暮らしを続けている。
いつだったか、父親から正規雇用で働かないのかと聞いた時に、

「だって結婚したら結局辞めるんだから、正社員でいる必要なんてないでしょ?」

と返事が来た。
その時は、近々結婚するのかと思い、まだ見ぬ未来の娘の配偶者を待っていたが、待てど暮らせどそんな話は出て来ず痺れを切らし、長女に聞いた。

「いつ結婚するんだ?」

するとどうだろう?
長女はヒステリックに金切り声を上げ、

「なんでお父さんにそんな事を言われなきゃいけないのよ!!」

と、ワンワン泣かれた。
とうに成人を過ぎた娘に、だ。
妻に聞けば、今まで付き合った事のある恋人とは一度も結婚の話は出た事が無く、今も婚活中ではあるが、思ったような人には出会えていないのだと。
そんな中で、聞いてしまったのだから、自分が悪いのだろう。
父親は、長女に謝罪をし、結婚がうまくいく事を願った。

次男は、そこまで偏差値は高くは無いが、一応名の知れた私立大学に入学し、卒業後は新卒でそこそこ有名な企業に入社し、そして半年で辞めた。

「先輩と上司がパワハラが酷い会社だ。クビじゃない。俺が見限ってやった。あんな会社すぐ潰れる」

等と言っていたが、詳細を聞けば極ありふれた指導や助言でしか無かった。
しかも次男が早々に退職した企業は、最近その業界ではかなり勢いのある会社だと経済誌に取り上げられていた。
色々と言いたい事もあったが、まだやり直しの聞く年齢だ。
直ぐに次を見つけるだろうと軽く考えていたが、一向に就職活動する気配が無い。

おまけに、長女はずっと自分の扶養に入っているし、次男も税金対策だと言って、扶養に入って来ようとしている。
一度抜けたのだから、自分でなんとかしろと言うが、

「仕事決まって無いんだから仕方ないじゃん」

と、税金を払う気配も無い。
いつまで2人の経済的に支えなくてはいけないのか?
そんな気持ちで妻に聞くも、

「知らないわよ。2人とも長男のせいでずっと不機嫌のままよ。会話なんて出来ないわ。生活費?そんなもの払う必要ないじゃない。私たちの子どもでしょ?」

と、聞くだけ無駄だった。
それならばと、

「なら、お前もフルタイムで働いてくれないか?今の収入で家族四人生活するには少し心許ないだろう?俺たちの老後の事もあるのだから」

妻は、結婚と同時に相談無く勝手に仕事を辞めた。
その後、子どもが3人生まれたので、専業主婦で居てもらって助かる部分もあったが、もう子どもたちは成人している。
自立してないとは言え、世話をする必要もない。
なのであれば、妻もパートでは無く、扶養を抜けて働いて欲しいところである、と考えての発言だった。

「私が?なんで働かなきゃいけないのよ。家事もあるのに。知ってる?家事って給与換算したらかなりの額になるのよ?」

だったらその額を資産に変えてくれ。
と、父親は思ったが、押し黙った。
妻も、子どもたちも、きっと何を言っても無駄なのだろう。
別に、心許ないだけで生活が出来ないわけではない。
今は定年後も働ける配慮もある。
ギリギリまで働けば、なんとかなるだろうし、それまでには長女も次男も家を出ているだろう。

父親は、妻にバレないようため息を吐いた。

こんな状況で、長男の世話まで出来るわけがない。
長男を家から追い出しておいて良かった。
負担が1人減るだけでも、十分だ。

できれば、長男の面倒ごとはこちらに持ってきて欲しくない。
妻の話を聞く限りは、長男もこの家には寄りつかなさそうだ。
それならば。

今、ここに居る家族を守る事だけ考えよう。
長男は、居なくていい。
自分たちにとって、必要無いのだから。

そう、カナタキリの実の父親は心に決めた。




------------



見限っているつもりですが、見限られているのはそちらですよ、って事で⋯⋯


知らぬが仏、なんて言葉が似合いますかね⋯⋯
彼らは彼らできっとコレが自分たちの最適解だと思って過ごすと思います。



BL大賞、お疲れ様でした。
投票頂きましたあなた様、更新を追ってくださったあなた様、本当にありがとうございます。
また、ぼちぼち番外編を投下します。
よろしくお願いします。
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感想 4

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