地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第一章:本編

1-カナタ キリ は、夢を見る。

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ヒラヒラ、ふわふわ、キラキラ。
そんな形容が良く似合う。
僕のタカラモノ。
出会いは本当に些細な出来事だった。
そこに、彼女が居ただけ。
彼女は、ステージの上から、大輪の花が咲いたような、華やかな笑顔を向けてくれた。



その瞬間、僕は…………



▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


僕の名前はカナタ キリ、社会人8年目の26歳。
8年同じ会社で働き続けたって、高卒の給料なんてたかが知れてる。
そんなワーキングプアな僕だけど、なんとか正社員として頑張ってる。
その、頑張りの源は、僕が1番に推してる地下アイドルのおかげだ。

彼女の名前は「ヒラキ ラキ」
自己紹介キャッチコピーは「キミにキラッキラのラッキーをあげる!」
その言葉通り、僕は彼女を推し始めてからずっとキラッキラでラッキーな日々を送っている。
彼女はメディアにこそ、ほとんど露出しないけど、ライブでのパフォーマンスは最高にワクワクする。ダンスも歌も、他のアイドルなんて目じゃないくらい上手い。
見た目だってそうだ。
メディアにバンバン露出しているアイドルより、ずっとずっと可愛い。
と、僕は思っている。

そんな子がいるから、僕は毎日頑張れているんだ。
彼女と共に人生を歩んでいると言っても過言ではない。

僕は今日も今日とて、ラキちゃんの定期ライブに足を運ぶ。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


最前は怖い。
だってトップオタとか、最前管理とか言われている熱狂的なファンが固めている。
僕もそれなりにラキちゃんファンの古参だけど、最前に居る人達に比べれば、歴は浅い。
なので、僕はだいたい真ん中の列あたりに場所を取って彼女のステージを見ている。
コールも口上もフリも慣れたもんだ。
たまにくれるラキちゃんのファンサが嬉しくて、その時は変な声が漏れてしまう。
恥ずかしい。
ライブ後の特典会、グッズ購入で少しの間だけ、お話出来るシステムがある。
僕も漏れなく、その特典会にあやかる。

ラキちゃんの記憶力は凄い。
ファンの顔も名前もすぐに覚えてしまう。
僕も光栄な事に、ラキちゃんにファンの1人として覚えてもらっている。

「キリ君、今日もありがとう。ステージから見えてたよ」

こうやって、ファンを一人一人見てくれる所も大好きだ。

「僕もずっとラキちゃんを見てました」

オタクって会話が噛み合わない。でも、そんなコミュ障な僕の返しでも、ラキちゃんはニコっと笑って特典として最後に握手をしてくれる。

「ありがとう。また、ライブも見に来てね」

僕はブンブン勢いよく頷いて、スタッフさんから剥がされた。

興奮の余韻を残したまま、僕は家路に向かった。
こんな幸せな気持ちをくれるラキちゃんは凄い。
僕はスキップしながら自宅に帰り、また次のライブまで現実にもどるのだった。
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