地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第一章:本編

3-カナタ キリ は、望まない。

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今日は待ちに待ったラキちゃんの定期ライブの日だ!長かった……ライブまで長かったなぁ。
もちろん、SNSは頻繁に投稿してくれるし、動画配信も定期的に出してくれるから、毎日ラキちゃんに囲まれて幸せだけど、僕の一番好きなラキちゃんは、ステージに立ってキラキラと輝いている姿だ。
実際に会いに行くに勝るものは無い。

開場時間に合わせて、いつものライブ会場に到着する。
楽しみだなぁ。
中に入れば前列の方では、古参のファン達がペンライトを用意したり、ファン同士大きな声で会話をしてたり、既に大いに盛り上がっている。
相変わらず僕にとっては怖い集団。
なのでいつも通り、僕は真ん中辺りで場所を確保した。ステージから少し距離があるけど、僕にとっては丁度いい位置だ。
周りを見渡しても、だいたい大人しそうな、僕みたいな陰キャっぽい人たちが固まっている。この空間も安心する。
……と、ふと横を見たら、見たことの無い男性ファンが立っていた。
対バンだから他の出演者のファンかな?
背が高くてイケメン。
服装もオシャレでなんか高そう。
あといい匂いする。
気付かれないように、こっそり盗み見たつもりだったけど、がっつり目が合ってしまった。

「誰推しですか?」

僕としては、すぐさま目を逸らして1人の世界に浸りたかったのに、イケメンはコミュ力もイケメンなのか、陰キャな僕に笑顔で話しかけてきた。
僕は話しかけられるなんて思ってなくて、ビックリしてしまい、吃りながらも、

「ひひひひヒラキ……ラキちゃんのファンで……す……」

ボソボソと俯いて答えた。
僕の悪いクセ、俯いてボソボソ喋るからみんな聞き取れないんだ。

「あー、ラキ可愛いよね。俺もラキ推し。隣が同担でラッキー。さすがキラッキラッキー。今日はよろしく」

イケメンはラキちゃん推しだった。
しかも僕の言葉を聞き取ってた。
凄い……思わず顔を上げて彼の事を見ると、とても輝いていた……のは、ライブ開始の照明の効果だったみたい。
ソレを抜きにしても十分イケメンだったけどね。
ドーン!と言う大きなオケと共に、最初のアイドルが登場した。
イケメンには、もう聞こえないのは分かってるけど「楽しもうね」と早口で伝えてステージに顔を向けた。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


「はぅ……」

ライブが終わると、僕はいつも通り余韻に浸った。ラキちゃんのステージを反芻しながら、グッズを購入。ラキちゃんは今日も最高に可愛かった……
グッズ特典のお喋りが出来るブースに並んでいると、後ろから声をかけられた。
さっきのイケメンだ。

「こんなに分かりやすく放心してる人、初めて見た。大丈夫?水飲む?」

イケメンのコミュ力怖い。
僕は振り向いて勢い良く首を振る。
その後も、色々イケメンに話しかけられて、最終的にはSNSのアカウントをフォローし合った。

「キリ君、マチ君とおともだちになったの?これからもファン同士も仲良くしてね」

僕らのやり取りが見えてたのか、ラキちゃんとのお喋りでイケメン君と仲良くするように言われた。

「うん。ラキちゃん応援してたら友だち増えるなんてラッキーだよね!」

僕の気持ち的には微妙だけど、ラキちゃんに言われたら仲良くしなくちゃ。
僕は「マチナカ」と名乗ったイケメン君と、お友だちになってしまった……
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