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第一章:本編
3-マチナカ サガリ は、望み通り。
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ラキの定期ライブの日、俺はいつもより身だしなみに気を使った。分かる人には分かる程度のデザインをしたハイブラに身を包んで、天然素材の香水をつける。スンと鼻をならすと柑橘系の香りが抜けた。
この程度なら周りに迷惑かからないだろう。
髪の毛は柔らかめのワックスで無造作っぽくまとめる。
ギラギラより、自然ぽく。
姿見で自分の格好を確認、まぁまぁってところだな。
開場時間に合わせてライブ会場に到着。今日は対バンだから客入りも多い。前方は既に固定の古参で埋まっていた。もともと後方でのんびり見ていた俺には関係の無い位置。
普段であればいつもの様に後方で場所を取るのだが、今日は違う。真ん中あたり、まばらに場所を取ってるファンを見渡す。
……見つけた。
俺はさり気なく彼の隣に立った。
まだそこまで人が集まってない場所に、まぁまぁ近い位置で立たれたら人は気になるイキモノで、彼もチラチラと俺の方を見てきた。
……いいね、典型的な陰キャの態度だ。
俺はガッツリ顔を彼に向けて話しかける。
「誰推しですか?」
知ってるけどね。
彼は話しかけられると思ってなかったのか、面白いくらいにキョドっていた。
「ひひひひヒラキ……ラキちゃんのファンで……す……」
あー、聞こえない。でも彼がラキ推しなのは知ってるので勝手に話を進める。
「あー、ラキ可愛いよね。俺もラキ推し。隣が同担でラッキー。さすがキラッキラッキー。今日はよろしく」
と、そのタイミングでライブが始まった。大きな音と一緒に最初のアイドルがステージに出てくる。
彼は推し以外のアイドルには、どう反応するのだろうかと見れば、ステージに顔を向け、ニコニコと笑顔でペンライトを振っていた。
「ミッッキュン!ラッブラブあっいっしってっるぅぅぅ!!!!」
うわぁ……ラキ以外も推してるのか。
と、思っていたが、出てきた演者は、ラキと良く共演してる女性アイドルだった。
だからか。
俺は、ステージを見つつも、ずっと彼の事を観察していた。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
いやぁー、面白かった。
限界オタクの反応は何故にこんなにも面白いのだろう?
「はぅ……」
と、ライブ終了後、両手で頬を抑えながら余韻に浸ってる彼を見つめる。
俺が彼の後をついて行ってるのなんて気づいていないだろう。
そっちの方が都合良いんだけど。
彼の後ろに並んでグッズを購入し、そのまま彼の後を追い、特典の会話ブースに並ぶ。
順番が来るまで、しばらくかかりそうだったので話しかける。
「こんなに分かりやすく放心してる人、初めて見た。大丈夫?水飲む?」
未開封のペットボトルを取り出してみたが、勢い良く首を横に振られた。
まぁ、そう言う反応になるよな。
とは言っても、彼も律儀な性格で、俺が話しかけるとキョドりながらも一所懸命コミュニケーションを取ってくれる。……人が苦手って言うより、接し方が分からないって感じだろうか?
最後は、今回の目的だった彼とSNSで相互フォローし合った。
「キリ?」
「うん、僕の本名。マチ君は?」
「苗字がマチナカだから、マチ」
「そっかぁ、これからよろしくね」
彼は全くよろしくしたそうでは無い態度だったけど、俺は満足した。
この程度なら周りに迷惑かからないだろう。
髪の毛は柔らかめのワックスで無造作っぽくまとめる。
ギラギラより、自然ぽく。
姿見で自分の格好を確認、まぁまぁってところだな。
開場時間に合わせてライブ会場に到着。今日は対バンだから客入りも多い。前方は既に固定の古参で埋まっていた。もともと後方でのんびり見ていた俺には関係の無い位置。
普段であればいつもの様に後方で場所を取るのだが、今日は違う。真ん中あたり、まばらに場所を取ってるファンを見渡す。
……見つけた。
俺はさり気なく彼の隣に立った。
まだそこまで人が集まってない場所に、まぁまぁ近い位置で立たれたら人は気になるイキモノで、彼もチラチラと俺の方を見てきた。
……いいね、典型的な陰キャの態度だ。
俺はガッツリ顔を彼に向けて話しかける。
「誰推しですか?」
知ってるけどね。
彼は話しかけられると思ってなかったのか、面白いくらいにキョドっていた。
「ひひひひヒラキ……ラキちゃんのファンで……す……」
あー、聞こえない。でも彼がラキ推しなのは知ってるので勝手に話を進める。
「あー、ラキ可愛いよね。俺もラキ推し。隣が同担でラッキー。さすがキラッキラッキー。今日はよろしく」
と、そのタイミングでライブが始まった。大きな音と一緒に最初のアイドルがステージに出てくる。
彼は推し以外のアイドルには、どう反応するのだろうかと見れば、ステージに顔を向け、ニコニコと笑顔でペンライトを振っていた。
「ミッッキュン!ラッブラブあっいっしってっるぅぅぅ!!!!」
うわぁ……ラキ以外も推してるのか。
と、思っていたが、出てきた演者は、ラキと良く共演してる女性アイドルだった。
だからか。
俺は、ステージを見つつも、ずっと彼の事を観察していた。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
いやぁー、面白かった。
限界オタクの反応は何故にこんなにも面白いのだろう?
「はぅ……」
と、ライブ終了後、両手で頬を抑えながら余韻に浸ってる彼を見つめる。
俺が彼の後をついて行ってるのなんて気づいていないだろう。
そっちの方が都合良いんだけど。
彼の後ろに並んでグッズを購入し、そのまま彼の後を追い、特典の会話ブースに並ぶ。
順番が来るまで、しばらくかかりそうだったので話しかける。
「こんなに分かりやすく放心してる人、初めて見た。大丈夫?水飲む?」
未開封のペットボトルを取り出してみたが、勢い良く首を横に振られた。
まぁ、そう言う反応になるよな。
とは言っても、彼も律儀な性格で、俺が話しかけるとキョドりながらも一所懸命コミュニケーションを取ってくれる。……人が苦手って言うより、接し方が分からないって感じだろうか?
最後は、今回の目的だった彼とSNSで相互フォローし合った。
「キリ?」
「うん、僕の本名。マチ君は?」
「苗字がマチナカだから、マチ」
「そっかぁ、これからよろしくね」
彼は全くよろしくしたそうでは無い態度だったけど、俺は満足した。
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