地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

文字の大きさ
16 / 190
第一章:本編

8-マチナカ サガリ は、限界オタク。

しおりを挟む
「マチ君、限界オタクみたいだね」

お前のせいだろ。
とは言わないけど。
キリや現場のドルオタ達がこういう仕草をするのを冷めた目で見ていたが、こういう事か、理解した。

「あー……たった今、限界オタクになったわ俺」

キリのな。
ラキのじゃねーから。
とは言わないけど(2回目)

「そっかぁー、ようこそ!こちら側へ!もっと推し活が楽しくなるね」

「あー、な」

ニコニコと笑ってやんの。
普段は陰キャのクセに、慣れるとこんなに表情が出るものなのか。
キリは、普段の食生活が貧しいせいか体型はガリガリだ。髪の毛もいつ美容院に行ったんだ?と思うくらいもっさりしていて前髪で目が隠れている典型的な陰キャの格好をしている。


だから、気づきにくいんだよ。


意外と目が大きくてまつ毛が長かったり、鼻筋通ってて形が綺麗だったり、唇は小さくぷっくりと膨れて熟れた果実みたいだったり……そう、良く言えば美少女系。

……なんて事に気付いてしまい、思わず苦笑いした。
そんな俺の心中を知ってか知らずか、
キリは調子に乗って2曲目を歌い出した。
俺も料理しながらコールする。
なんだコレ楽しいかよ。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


「ふふんふんふん~♪」

機嫌良く鼻歌を歌いながら片付けをしているキリを横目に出来上がったメニューをテーブルに置いていく。
今日のメインはタレに漬け込んでおいたスペアリブ、副菜はサラダ、かぼちゃのポタージュスープ。
貧相な食事しかしてないだろうキリには肉の塊はインパクトあるはずだ。

思った通り、彼はスペアリブに釘付けになっている。
任せていた部屋の片付けも、かなり綺麗になっていた。

「僕が手伝えること、ある?」

そう申し出てくれたが、丁重に断わって座らせた。

「家にある食材で作ったから、そんな洒落たモンは作ってねーけど、肉は正義だろ?」

ニヤっと笑って余裕を見せてみたけど、半分嘘で半分事実。
最近は、キリがSNSで俺が作った飯に反応してくれるから、予定無くてもキリに食わせたいメニューを作りがちになっていたので、そこそこ洒落込んでいる。

ついでに、ラキに仲良しアピールするために肉の上で2人でピースして写真に撮った。
あとでタグ#キラッキラッキー付けして投稿してやる。
前回の特典会のマウント返しだ。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


2人で食事をすれば、キリはいちいち感動してくれた。
胃袋は掴めそうだな。
食事が終わる頃には、

「マチ君てナニモノなの?」

なんて聞かれたけど、学生でしかない。
そんな普通の答えをしたが、向こうは納得してなかった。

「違う、そうじゃない。なんでハタチそこそこの男の子がこんな料理上手なの!?美味しいっ!すごく美味しいよ!あとオシャレ!すごくオシャレ!あとお家もなんかお金持ちみたいだし!」

「あー、実家は確かに金持ちだな。それとは別に俺も資産運用してるけど。料理は趣味みたいなもんだし、これくらい普通だろ」

そう、俺にとっては「普通」だが……過去の知人友人達の反応を思い出して補足した。

「あー、キリからしたら普通じゃないかも知れないけど、俺はずっとこの生活だったからコレが普通なんだよ」

「そっか……マチ君的にはコレが普通なんだね。なんか住む世界が違うって感じ……」

羨望と嫉妬。
俺の普通を羨ましがる人間は何人と見てきた。
キリも結局あいつらと一緒かと心の中で溜息を吐く。

すると、キリは俺の想像の斜め上の思考に進んだ。

「だからこそ、全然接点の無い僕たちが、ラキちゃん推してる事で出会ったって思うと、なんか不思議な感じがする」

「お?……確かにな……うん……まぁ……」

これは……

「そう思うと、ラキちゃんって本当にラッキーの女神だなって改めて思うよ!あ、マチ君にとってラッキーかは分からないけど。僕はマチ君に出会えてラッキーだなって思ったよ」

もっさりした髪の毛から見える目を細めて、キリはニッコリと笑っていた。嘘も建前もない真っ直ぐな言葉のせいで俺はまた、限界オタクみたいなポーズになっていた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

辺境の酒場で育った少年が、美貌の伯爵にとろけるほど愛されるまで

月ノ江リオ
BL
◆ウィリアム邸でのひだまり家族な子育て編 始動。不器用な父と、懐いた子どもと愛される十五歳の青年と……な第二部追加◆断章は残酷描写があるので、ご注意ください◆ 辺境の酒場で育った十三歳の少年ノアは、八歳年上の若き伯爵ユリウスに見初められ肌を重ねる。 けれど、それは一時の戯れに過ぎなかった。 孤独を抱えた伯爵は女性関係において奔放でありながら、幼い息子を育てる父でもあった。 年齢差、身分差、そして心の距離。 不安定だった二人の関係は年月を経て、やがて蜜月へと移り変わり、交差していく想いは複雑な運命の糸をも巻き込んでいく。 ■執筆過程の一部にchatGPT、Claude、Grok BateなどのAIを使用しています。 使用後には、加筆・修正を加えています。 利用規約、出力した文章の著作権に関しては以下のURLをご参照ください。 ■GPT https://openai.com/policies/terms-of-use ■Claude https://www.anthropic.com/legal/archive/18e81a24-b05e-4bb5-98cc-f96bb54e558b ■Grok Bate https://grok-ai.app/jp/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%A6%8F%E7%B4%84/

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

【完結】おじさんダンジョン配信者ですが、S級探索者の騎士を助けたら妙に懐かれてしまいました

大河
BL
世界を変えた「ダンジョン」出現から30年── かつて一線で活躍した元探索者・レイジ(42)は、今や東京の片隅で地味な初心者向け配信を続ける"おじさん配信者"。安物機材、スポンサーゼロ、視聴者数も控えめ。華やかな人気配信者とは対照的だが、その真摯な解説は密かに「信頼できる初心者向け動画」として評価されていた。 そんな平穏な日常が一変する。ダンジョン中層に災厄級モンスターが突如出現、人気配信パーティが全滅の危機に!迷わず単身で救助に向かうレイジ。絶体絶命のピンチを救ったのは、国家直属のS級騎士・ソウマだった。 冷静沈着、美形かつ最強。誰もが憧れる騎士の青年は、なぜかレイジを見た瞬間に顔を赤らめて……? 若き美貌の騎士×地味なおじさん配信者のバディが織りなす、年の差、立場の差、すべてを越えて始まる予想外の恋の物語。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

処理中です...