地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第一章:本編

11-マチナカ サガリ の、確信。

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「……僕、太ったよね?」

ラキのライブ後、2人で駅に向かって歩いてる最中に聞かれた。
ようやく自覚が出てきたか。

「もともとガリガリだったんだし、いんじゃね?」

俺としては、あとせめて4キロくらい太らせたい。脂肪じゃなくて筋肉で。
仕事上、体を動かしてるだろうしライブでもかなり激しく動いているから体力はあると思うんだよな。そこに体重が乗っかれば、そのうち筋肉も付くと俺は目論んでるのだが……
キリは服のサイズが変わってしまうのが嫌なのか、うーうー唸ってる。
いやそれ高校の時に買ったやつって言ってたじゃん。もう元取れてるって。
ポスポスと、モコモコな髪の毛を撫でる。この髪型もどうにかしたい。

「キリ、人間見た目じゃないって言うけど、見た目も大事だぜ?」

今まで外見の事は何も言わなかったが、キリの素体を知れば、ヲチスレの嘲笑を見れば、磨いてみたいと欲が出てしまった。

「いいの!僕はラキちゃんに全てを捧げてるから自分の容姿は関係ないもん!」

そう言うと思った。

「……あー、気に障ったならゴメン、謝る。でもさ、ファンはアイドルの鏡って言うだろ?キリはラキの古参ファンで、彼女のオキニじゃん。少し自分を良く見せてもいいんじゃないか?あと多分ラキも喜ぶ」

そう。
特典会で、ラキとたまにキリの話をするのだが、彼女はキリを「あの子は原石」としきりに言う。
俺も同感なので深く頷く。
そんな事もあって、キリは彼女のオキニである事は見て当然のはずなのだが、

「え?オキニ?誰が?」

自覚が無かったらしい。
脳内お花畑じゃ気づけないか。

「キリだよ。明らかにファンサ多いだろ?SNSのラキの反応だって段違いだし」

説明してやっても、

「そんなのマチ君の勘違いだよ。ラキちゃんはみんな平等に接してくれているよ」

お花畑は皆平等って思いがちだもんな。

「って、思ってるのは恐らくキリと……他のラキのオキニくらいだろうな。ラキの好みって分かりやすいぜ?フワフワした全肯定の脳内お花畑ばっかだ」

「誰?それ」

「キリの事だよ」

本当に気付いてないのが面白い。
思わずニヤついてしまった。

「信じられない」

どっちを?とは聞かなかったが、これ以上は水掛け論にしかならなさそうなので切り上げる。
本題はここから。

「じゃぁ信じなくていいや。で、話戻すけどさ、キリはさ、素質あると俺は思ってるんだよ。磨いたら美少年になる」

そう伝え、俺に見た目のプロデュースをさせて欲しいとお願いをしたのだが……歯切れの悪いキリを説得しようと躍起になっていたら……言い方が……「キリが初めて」とか「ラキよりキリ」とか口から出てきて……

「やべ、告ってるみたいだったな」

口説く時の常套句みたいで、急に恥ずかしくなり顔が熱くなった。
キリも顔真っ赤で、お互い真っ赤。
もう告白じゃん。

「で?返事は?」

これも。
緊張しながら返事を待つと、キリも迷っているようではあったが、結局、

「よろしくおねがいします……」

と、俺に頭を下げていた。
容姿のプロデュースの返事なのか、告白紛いへの返事なのか、聞くのは止めた。
ここで曖昧にしておけば、後でどうにでも言いくるめられるしな。
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