地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第一章:本編

12-カナタ キリ の、困惑。

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告白みたいなやり取りをした後はもう怒涛だった。
今までマチ君の部屋に遊びに行くと、ベタベタするクリームを塗りたくられてたけど、全然比べ物にならなかった。

「キリ、俺んちの合鍵。しばらくは俺のマンションに住め。徹底管理だ」

「キリ、シフト表出せ。スケジュール把握したい」

「キリ、スマホにGPS入れろ。夕飯の支度の都合もあるから居場所を把握したい」

「キリ、給与明細見せろ。生活費と趣味の配分がおかし過ぎんだよ」

「キリ、昼の弁当。キチンと食えよ?」

全部マチ君に管理されている。
これでマチ君がとんでもない詐欺師だったら、今ごろいっぱい借金を作らされて、臓器3つくらい売り飛ばされていそうな勢いだ。
もちろん、そんな事は無いけど。

むしろ凄く快適。
ご飯は3食マチ君の美味しい手料理だし、仕事のスケジュールも管理してくれるし、なんなら次のシフトの希望を出す時も相談に乗ってくれる。
お金の事も「手取り少なっ!」て驚かれたけど、そんな少ない中で僕が苦にならないギリギリのラインでラキちゃん費を見直してくれた。
おかげで少し服も買い足せそう。

あと、マチ君自身の事もたくさん知ることができた。
通っている大学は、高卒の僕でも「この大学は、本当に頭の良い人しか入れない」って知ってるくらい有名な所。
実家がとっても裕福。
このマンションも賃貸じゃなくて、ご両親の持ち物なんだって。
しかも、マチ君の大学入学に合わせて通いやすい場所を買ったとかなんとか。
マチ君のバイトは家庭教師。
頭のいい人にしか出来ないバイトだ。
主にオンラインでやっていて、良く部屋から誰かと会話している声が聞こえる。

あと投資がどうのって言ってたけど、僕には内容が難し過ぎた。
そんな知らなかったマチ君のアレコレを知って、僕とレベルが違い過ぎて気後れする事もあるけど、生活面では、整理整頓が苦手だったり、洗濯物を溜めがちだったり、洋服を畳むのを面倒臭がったり……人間らしい一面も知れたので親近感もある。
気後れと親近感でプラマイゼロかな?
なんてね。

あとは遊びに来る時だけだった体や髪に塗り込まれるクリームが、毎日朝と夜に増えた事だけは、未だ慣れないけど、随分と僕の生活レベルは上がってしまった。


故に……、キチンと元の生活に戻れるかが、今の僕の悩みだ。
こんなに心地好い生活を知ってしまったら、僕はあのボロアパートに戻れるのか心配になってしまう。
大丈夫かなぁ?

僕がマチ君のマンションにお世話になるのは、次のラキちゃんのライブまで。
……だよね?だってラキちゃんの為に僕の見た目を変えるって言ってたんだし。

実は、次のラキちゃんのライブまでの期間は、いつもより間が空く。
定期ライブもしばらく休演。
理由は、次のライブがラキちゃんのアイドル5周年記念になるから、たくさんの準備が必要らしい。
ライブ会場も、いつもと違う。
有名ホテルのホールを貸し切って、ライブと言うか……イベントと言えばいいのかな?
ファンミーティングをするんだって。
もちろん、歌もうたうよ。
チケットの価格設定もかなり高め。
けど払う価値はあるから、今から凄く楽しみ!
マチ君は、そのイベントまでに僕を美少年に仕上げる……んだよね?多分。
でも美少年て……
僕は改めて自分の顔を見る。
確かにマチ君の美味しくて栄養満点のご飯で、全体的にプックリしてきたけど……鏡の中にいるのは、美少年じゃなくて少し肌ツヤの良くなったプックリした僕だけだった。
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