地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました？

第一章：本編

25-マチナカ サガリ は、離れ難い。

「んんぅー！」

と言う、キリのうめき声で目が覚めた。
うるせぇ。
抱いていた両腕と絡ませていた両足に力を入れて動けないように拘束する。てか、ずっとキリを抱いて寝てたのか。
収まりいいな。

「キリ、うるせぇ」

寝起きの不機嫌で文句を言ってみたが、キリはいつもみたいにオドオドとすることも無く、普通に挨拶をしてきた。

「おはよう、サガリ君」

「はよ」

機嫌は良さそうだ。
時計を見れば朝と言うにはかなり遅めの時間。
キリにシフト調整させておいて良かった。
今日もゆっくり出来そうだ。


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キリ的には、起きたら直ぐにアパートに戻りたかったみたいだが、色々言いくるめて夕方にさせた。

本当は、まだ居て欲しかったんだけどな……

でも昨日の今日なので、念の為帰るまではベッドでゆっくりさせた。
飯は俺が作ったし、食べさせてやった。「あーん」てヤツだ。キリも疑問に思わず口を開けてるのが何か面白かったな。
随分と信用してくれたもんだ。

アパートには1人で帰るつもりだったみたいだが、俺もついて行く事にした。
体調が心配だった事もあるが、全体的に雰囲気がヤバかった。
まず見た目がもう美少年そのものなので人目に着く。
だいぶ目立つだろう。
それに加えて昨夜のSEXの名残だ。
変に色気を飛ばしてる。
トドメに昨夜のラキのゲリラ配信を見逃したショックが追加され、足元がフラついている。
美少年の、ふらついた色気。
こんなもん野に放したら、いつ襲われてもおかしくないだろ。

「いろいろフワフワしてる。全身花畑にしか見えねー。色んな意味で危ないから俺も行く」

半ば無理やりついて行き、帰路中もゲリラ配信見逃したショックが抜け切れていないのか、俺も少し気まずくなった。
ラキはライブやイベント後はゲリラ配信しがちだって事は俺も知っていた。
だから本来だったら、それを優先させた方が良かったのだろうが……俺の欲の方が勝ってしまった……

「あの……まぁ、悪かったよ……ラキの配信見逃したのは、その……謝る……ごめん……」

キリがどれだけ彼女の事を応援してるかなんて分かってる。
なのでここは素直に謝罪をしておいた。
そう言えば俺、心からの謝罪したのって久しぶりかも？
過去付き合った相手に謝った記憶が無い。

キリは、俺の謝罪に対してフォローをしてくれた。
見逃したショックと言うより、昨日の出来事全体に対して感情が迷子になってたみたいだった。

そりゃ……そうか。


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キリのアパートに到着すると、俺も部屋に上がらせて貰った。
不動産会社のサイトで間取りはチェック済だが、実物も見てみたかった。
……思った以上に狭い。
凄いな。ここに高校卒業からずっと住んでるのか。
ソファもクッションも見当たらず、すわる場所が分からなかったので、とりあえずベッドに座った。
改めて辺りを見回し、

「すげぇな、この部屋。情報で見るよりずっと狭い……」

思わず呟いてしまった。

「え？」

キリが聞き返してきたので、取り繕う。

「あぁ、世間一般的な広さってこう言うものなのかって話だ」

「あー、6畳って言われても想像つかないもんね」

「そう言う事」

よし、誤魔化せた。
まだキリとそこまで親しくなかった時に色々調べていた情報が時々こうやって口に出てしまう。気を付けないと。
幸い、キリは気にする様子もなかったので、俺はベッドの上でキリの荷物の片付けを眺めていた。

一通り終わったみたいなので、キリに手招きをする。疑う事も無く、俺に近付いてくるキリ。
部屋も狭いから、距離なんてあっと言う間だ。
コレは……

「でも狭いっていいな。必然的にくっつくしか無い」

そう言ってキリを抱き締めると、当たり前と言わんばかりに抱き返してくれた。
うん、狭い空間もいいな。
俺のマンションだと距離がもどかしい時もあった。
でもここはすぐだ。
壁が薄いのが難点だが、広さはちょうどいい。
なんて考えていたら、キリが上を向いて唇をツンと突き出してきた。
かわいい。
触れるだけのキスをすれば、ヘラっと幸せそうに笑いやがる。

「あ゛ー……」

思わずため息を漏らし、

「離れたくねぇ……」

本音が零れた。