地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました？

第一章：本編

26-カナタ キリ の、繋がり。

「離れたくない」ってしみじみ言うサガリ君を見たら、ちょっとだけ僕の決心が揺らいでしまった。
でも一緒に住むのは、やっぱり違う。
なので、僕たちは頻繁にお互いの家を行き来するようになった。
僕のアパートの合鍵も、サガリ君に渡した。サガリ君のマンションの合鍵は、既に渡されていたので返さずに持っている。
あとはスマホのGPSも僕のスマホだけ入れられていたんだけど、サガリ君と共有した。お互いがお互いの居場所を確認出来るんだって。

「重い？」

って聞かれたけど、お互いの居場所が分かるなら便利なんじゃないかな？
首をかしげながら「気にならないよ」って答えたら、サガリ君も僕と同じように首をかしげてた。

あと、サガリ君と一緒に過ごす時間が増えたせいか、1人でアパートに居ると寂しいって気持ちが出てきてしまった。
なんで今まで1人で暮らせていたんだろう？って不思議なくらい1人で居ると寂しく思う。
ラキちゃんの配信も1人で見るのが好きだったけど、今はサガリ君と一緒に見るのが1番楽しい。

ライブも、サガリ君と一緒に行くのが当たり前になった。
ラキちゃんが事務所に所属して初めての定期ライブで、今まで通りに高校時代から着てるシャツとパンツで行くつもりでいたら、サガリ君に怒られた。そしてまたサガリ君の実家に連れられて、また弟君の部屋でお下がりを……

「それ、俺ら絶対に着ねぇし、キリにやるよ」

貰っちゃった……なので、僕の服装がちょっとセンス良くなった。
ライブに行く時は必ずサガリ君と弟君のお下がりを着るようになった。
ヘアセットもサガリ君がやってくれるから、僕もちょっとだけ見た目がスッキリしてる。


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「あ、マチさんとキリさんだー。おひさですぅ」

「モッチさんお久しぶりです。今日も痛バ凄いね」

「ふふ……前回の缶バッチ枯らしましたからな……instaxチェキも無事3冊目に突入しましたぞ……」

モッチさんは、もともとSNSで相互フォローしてたラキちゃんファンだ。
サガリ君と僕が一緒にライブ会場に居た時に話しかけてくれた。
最近では会うと良く話をする。
バラバラとラキちゃんのintaxチェキアルバムを見せてくれるのも嬉しい。
僕はそこまで買えないからね。

そんなやり取りをしていると、また違うファンの子達も話しかけてくれる。と、言ってもモッチさん繋がりでどんどん広がってるだけなんだけどね。

1人でライブを見てた時、熱狂的なファンの人たちは怖いイメージがあったけど、話をしてみたら意外と話しやすい人たちだった。
あと、アフターに行く行かないは、みんな自由で参加しなくても特に何も言われる事は無かったし、次ライブに来た時も普通に話しかけてくれた。

……うーん、なんか僕は周りのファンの人たちに対して、勝手にイメージを決めつけてたみたい。
ファン同士で交流を持つって、意外と難しい事では無かったんだね。
ラキちゃんのライブ現場が、もっともっと楽しくなった。


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「じゃぁ、僕たち帰ります」

「今日もおつかれー！」

「またSNSで語ろうねっ！」

「次のライブでねー！」

みんなと思い思いに挨拶を交わす。
楽しかった……！ラキちゃんのキラキラなステージも特典会も楽しかったけど、ファンの人たちとのおしゃべりも、とてもとても楽しかった！

駅までの道のり、僕が機嫌良くラキちゃんの楽曲で鼻歌を歌ってたら、サガリ君がグッと肩を抱いてきた。