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第一章:本編
29-マチナカ サガリ の、攻戦。
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マジでコイツ仕事辞めねぇかな。
そんな事を考えながらキリの情報で登録した転職サイトを眺めている。
そもそも他業種の居る現場で働くとか無理があるんだよ。
企業内で働け。大きな会社ならパワハラセクハラ等の内部通報制度があるはずだ。
けど他の企業と関わるとどうしても上下関係が出来てしまう。
今回は上手く会社が動いてくれたみたいだが、異動等で現場が変わってしまえば、同じ事が起こらないとは言いきれない。
なのでキリの経歴で面接が受けられ、かつ人とあまり関わりを持たなさそうな企業ばかりを探していた。
本人は自分が高卒であることを気にしていたが、今の勤め先のネームバリューと勤続年数を加味すればそこまで気にする経歴では無い筈だ。
「キリ、ここどうだ?」
転職サイトからオススメされた企業の中で、今の条件より良さそうな所を勧める。
「んもーぉ!!しないっっ!!転職しないよ!?」
「じゃぁ、仕事辞めて結婚する?俺の奥さんになってよ」
早く同性婚も認められる国になって欲しい。
俺が総理大臣になるか。
そんなアホな事が頭を過ぎる。
「出来ないっ!今の日本じゃ男同士で結婚出来ないっ!たとえ結婚しても僕は働くからね!?」
「お。法的な所しか否定しねぇのクるな。確かにこのご時世共働きの方がいいか。俺の奥さんは働き者で嬉しいよ」
冗談で言ったつもりだが、キリは嫌がるワケではなく、法的に無理な事しか言ってこなかった。
しかも共働き希望か……一瞬で2人一緒に通勤し、帰りも待ち合わせて一緒に同じマンションに帰ると言う、幸せな生活が脳内を過ぎった。
キリの頭を撫でながらニヤニヤしてしまった。
が、転職は早急過ぎた。
もう少しジワジワと攻めていこう。
「じゃぁ、ここのサイトは保険で残して今回は見送るわ」
いつでも転職サポートが出来るように情報だけは収集しておく。
「本当は退会して欲しいんだけど……」
モジモジと手をすり合わせながらお願いされたが、そこは言いくるめる事にした。
「いやキリ、お前の会社だって今後どうなるか分からないだろ?選択肢を広げる事も大事だって」
「……そういうものなの?」
「そんなモンだろ。それに今の時代ずっと同じ会社に居られる保証なんてどこにも無ぇんだから」
昔は定年まで同じ会社で働く事がある程度約束されていたし、それが当たり前だった。
でも今はそうじゃない。
だからこその選択肢だと言えば、キリは顔を俯かせてしまった。
8年も同じ会社で働いているんだ。思うところがあったのだろう。
でも落ち込ませたくて言ったワケではない。
慰める……ってワケでは無いが、あやす様に優しく頭を叩く。
「……俺の奥さんになる?」
この流れで頷いてくれねぇかなと期待を込めてみたが、
「なれないでしょ」
即答だった。
こんだけ囲ってんだから楽な方に流されてもいい筈なのに、コイツは自分の意志を持ち続けるんだよ。
「流されなかったか……」
思い通りに事が運ばなかったので、こっそり舌打ちをした。
そんな事を考えながらキリの情報で登録した転職サイトを眺めている。
そもそも他業種の居る現場で働くとか無理があるんだよ。
企業内で働け。大きな会社ならパワハラセクハラ等の内部通報制度があるはずだ。
けど他の企業と関わるとどうしても上下関係が出来てしまう。
今回は上手く会社が動いてくれたみたいだが、異動等で現場が変わってしまえば、同じ事が起こらないとは言いきれない。
なのでキリの経歴で面接が受けられ、かつ人とあまり関わりを持たなさそうな企業ばかりを探していた。
本人は自分が高卒であることを気にしていたが、今の勤め先のネームバリューと勤続年数を加味すればそこまで気にする経歴では無い筈だ。
「キリ、ここどうだ?」
転職サイトからオススメされた企業の中で、今の条件より良さそうな所を勧める。
「んもーぉ!!しないっっ!!転職しないよ!?」
「じゃぁ、仕事辞めて結婚する?俺の奥さんになってよ」
早く同性婚も認められる国になって欲しい。
俺が総理大臣になるか。
そんなアホな事が頭を過ぎる。
「出来ないっ!今の日本じゃ男同士で結婚出来ないっ!たとえ結婚しても僕は働くからね!?」
「お。法的な所しか否定しねぇのクるな。確かにこのご時世共働きの方がいいか。俺の奥さんは働き者で嬉しいよ」
冗談で言ったつもりだが、キリは嫌がるワケではなく、法的に無理な事しか言ってこなかった。
しかも共働き希望か……一瞬で2人一緒に通勤し、帰りも待ち合わせて一緒に同じマンションに帰ると言う、幸せな生活が脳内を過ぎった。
キリの頭を撫でながらニヤニヤしてしまった。
が、転職は早急過ぎた。
もう少しジワジワと攻めていこう。
「じゃぁ、ここのサイトは保険で残して今回は見送るわ」
いつでも転職サポートが出来るように情報だけは収集しておく。
「本当は退会して欲しいんだけど……」
モジモジと手をすり合わせながらお願いされたが、そこは言いくるめる事にした。
「いやキリ、お前の会社だって今後どうなるか分からないだろ?選択肢を広げる事も大事だって」
「……そういうものなの?」
「そんなモンだろ。それに今の時代ずっと同じ会社に居られる保証なんてどこにも無ぇんだから」
昔は定年まで同じ会社で働く事がある程度約束されていたし、それが当たり前だった。
でも今はそうじゃない。
だからこその選択肢だと言えば、キリは顔を俯かせてしまった。
8年も同じ会社で働いているんだ。思うところがあったのだろう。
でも落ち込ませたくて言ったワケではない。
慰める……ってワケでは無いが、あやす様に優しく頭を叩く。
「……俺の奥さんになる?」
この流れで頷いてくれねぇかなと期待を込めてみたが、
「なれないでしょ」
即答だった。
こんだけ囲ってんだから楽な方に流されてもいい筈なのに、コイツは自分の意志を持ち続けるんだよ。
「流されなかったか……」
思い通りに事が運ばなかったので、こっそり舌打ちをした。
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