地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

文字の大きさ
66 / 200
第一章:本編

33-カナタ キリ は、懐に入る。

何度かラキちゃんのイベントやライブに行くにつれて、何故かミシナミさんとも仲良くなった。
ミシナミさんは、ラキちゃんが所属している芸能事務所の社員なんだって。
アイドル現場って、アイドルに憧れて現場に足を運ぶタイプの子も居るらしくて、スカウトするには良い場所らしい。
あくまでも、ミシナミさんの経験上の話とは言ってたけど。

「で、マチキリ君の気はいつ変わるのかな?」

ミシナミさんは、サガリ君と僕をセットで呼ぶし、会う度に挨拶するみたいにスカウトしてくるし、名刺のデザインが変わると毎回くれる。
僕の周りのラキちゃんファン達の間では、このやり取りはお馴染みになってるみたいだし、ミシナミさんも断られる事を分かって聞いてくる。

「んもぅ、僕はラキちゃんの推し活と仕事で精一杯だし、何度も言いますが芸能界には興味無いんですよぅ」

ミシナミさんにも慣れたお陰で、かなりハッキリと言えるようになった。

「他当たってください」

サガリ君も容赦ない。
それでもミシナミさんは楽しそうに笑ってた。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


「アイツ、絶対に面白がってるよな」

ライブの帰り、勿論ミシナミさんにはスカウトされたし、ナントカマークが名刺に付いたからと新しい名刺も貰った。

「なんか、憎めないよね。ミシナミさんて」

僕がまだ陰キャ丸出しで断っていた時、ミシナミさんが、

「君もアイドルになればそのうちラキと同じステージに上がれるし、なんらツーマンとかコラボも出来るんじゃない?どう?魅力的でしょ?」

と、ラキちゃんの名前を出てきたものだから、僕は一瞬だけ脳内でステージでラキちゃんと僕が一緒になって歌って踊る姿を想像してしまった。
当然ながら僕はなんて恐れ多い事を想像してしまったのだろうと両手で顔を隠して「無理……無理です……余計に無理……」と恐怖で泣いてしまった。

オタク、感情昂ると直ぐ泣くからね。

その姿にミシナミさんがドン引いちゃったみたいで、ちょっと強引な感じから、態度が優しくなった。
それから、だんだん慣れて今みたいな気軽な会話が出来るようになったんだ。

「毎回声をかけてくれるけど、真剣味は無いよね。おはよーって言うノリとおなじに芸能界どう?って言ってる感じ」

「それな」

ふふっと、2人で笑う。

「もっと可愛い子をスカウトすればいいのにね」

ファンの中には、ラキちゃんみたいなアイドルになりたいって努力している子だって居るはず。
毎回断っている僕なんかに声かけるより、そう言う子に声かければいいのに。

「あの現場で言ったらキリより可愛いやついねーだろ。せいぜいラキくらいじゃねーの?」

「へ……えへへ」

相変わらずサガリ君は僕のことを可愛いと言ってくれる。
他の人からも言われるし、ミシナミさんのスカウトの事を考えたら、自覚みたいなものが芽生えてきた。
なので、僕も自分のことを可愛いと少し思うようになってきた。

「あ、あのサガリ君」

「あ?」

「えっと……僕ってそんなに可愛いかな?」

もう一度聞きたくて尋ねちゃう。
しつこかったかな?

「…………」

サガリ君の事だから直ぐにでも「かわいい」と返してくれると思ったのに、無言だった。
あ、あれ? もしかして変な事聞いちゃったのかな? そう思い不安になっていると、サガリ君が急に僕の頭を撫でてくれた。

「え? あの……」

「可愛いよ」

「っ!?」

サガリ君に改めて言われ顔が真っ赤になる僕。
自分が分かるタイミングで反応があれば大丈夫なのだけど、今回みたいに少しでもズレると、不意打ちみたいな気持ちになっちゃって顔が赤くなっちゃうんだよね。

「サガリ君……」

「ん?」

「あ、ありがとう」

「うん」

このやり取りだって自分で聞いといて……って思うけど、「可愛い」と言われたらなるべく「ありがとう」って言えるようになってきた。
これは職場のパートさんのおかげでもある。

「サガリ君はさ、本当に芸能界には興味ないの?こんなにカッコイイんだったら目指してもいいのにって僕は思うんだけど」

「興味無ぇかな。ラキを推すのは好きだけど、同じ土俵に立ちたいと思わない。あとは……キリを磨くのに忙しいし?」

サガリ君はニヤっと笑って僕の肩を抱いた。
ぐぬ、と言葉を詰まらせていると、今度はサガリ君が僕に聞いてきた。

「キリこそどうなんだよ?ミシナミさん、態度は軽率だけど多分キリには本気だと思う。じゃなきゃ毎回誘って来ねぇだろ」

「うーん……僕も考えた事無かったし、これからも無いかな。ラキちゃんは客席から見るのが1番可愛い」

それに僕の見た目がスッキリしたのはサガリ君のおかげだし、サガリ君に出会わなければ僕はきっとミシナミさんの目に止まらなかった筈だ。
だから……

「僕はこれからもラキちゃんを応援して、その隣にサガリ君が居てくれたら充分に幸せだな」

今の気持ちをサガリ君に伝えた。

「 ……そ、そうか」

「うん。だからこれからも一緒にラキちゃんを応援しよ?」

「お、おう……」

僕の生活にラキちゃんが居て、サガリ君が居る。
ちょっと前までは僕の楽しみは、ラキちゃん一色だったけど、そこにサガリ君と出会って推し活もプライベートももっともっと楽しくなった。
ずっとことまま続けばいいのになぁ。

「だからね、これからもサガリ君は僕の隣に居てね?」

僕にしては、かなり強気な言い方になってしまったけど……

「じゃぁ、キリもずっとオレの傍に居ろよ?」

サガリ君も笑って僕に言ってくれた。
最初は、話しかけられて怖いなと思う事もあったけど、今はサガリ君に話しかけられて良かったと思ってる。
サガリ君と出会った事で、僕はたくさんの経験をした。
これからも、たくさんの楽しいとか嬉しいを、サガリ君と一緒に過ごせたらいいなって、改めて思った。

勿論、ラキちゃんの推し活もねっ!

僕が笑うと、サガリ君もフワッと笑って僕の頭を撫でてくれた。




おしまい
感想 4

あなたにおすすめの小説

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~

みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。 成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪ イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい

夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れています。ニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが…… ◆いつもハート、エール、しおりをありがとうございます。冒頭暗いのに耐えて読んでくれてありがとうございました。いつもながら感謝です。 ◆お友達の花々緒さんが、表紙絵描いて下さりました。可愛いニャリスと、悩ましげなラクロア様。 ◆これもいつか続きを書きたいです、猫の日にちょっとだけ続きを書いたのだけど、また直して投稿します。

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。 完結しました!ありがとうございました。

姉が結婚式から逃げ出したので、身代わりにヤクザの嫁になりました

拓海のり
BL
芳原暖斗(はると)は学校の文化祭の都合で姉の結婚式に遅れた。会場に行ってみると姉も両親もいなくて相手の男が身代わりになれと言う。とても断れる雰囲気ではなくて結婚式を挙げた暖斗だったがそのまま男の家に引き摺られて──。 昔書いたお話です。殆んど直していません。やくざ、カップル続々がダメな方はブラウザバックお願いします。やおいファンタジーなので細かい事はお許しください。よろしくお願いします。 タイトルを変えてみました。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。