地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

文字の大きさ
84 / 190
第一章:番外編 等

CandyRing Partyは終わらない。3

しおりを挟む
【キリside】※視点が交互します


「だからね、今回はヒラキラキさんの曲は封印するよ。キリ君はこの曲聴いたことある?」

ぐぬぬ。
気付いたら動画撮影が始まってしまった。
仕方ないよ。相手はサガリ君と弟君だもん。
僕がこの2人に勝てるわけがない。
あれよあれよと話が進んでいく。
しかもラキちゃんの曲は使わないんだって。
弟君のスマホから流れてきた曲は、CandyRing Partyでもアイドルたちがパフォーマンスしていた曲だった。
ラキちゃんは今回セトリの都合上出られなかったんだよね。

「『ミニマム男子は恋をする』。うん、知ってる。キャンステの女の子アイドルたちが男装して踊ってた曲だ」

僕が知ってるって言うと、弟君はニンマリと笑った。

「正確には、コンカフェ『Candy Milk』のライブパフォーマンス定番曲だね。キリ君、キャンミは知らない?」

キャンステがコンセプトカフェから始まって、芸能事務所も立ち上げた事は知ってるけど、キャンステ以外のお店の事は良く分からなかった。僕が首を傾げていると、弟君は僕を見て「かわいい~~っっっ」って、⋯⋯犬猫とか?見てる人の顔になっていた。
手がワキワキしてるから、頭でも撫でられるのかな?って思ってソッと撫でやすいように少しだけ頭を下げたんだけど、グイッてサガリ君に後ろから抱き込まれてしまった。

「あぁっ!兄さん酷いっ!今キリ君自分から俺の方に来てくれてたよね!?」

「だからこっちに寄せたんだよ。お前キリの頭撫でようとしただろ?」

「当たり前じゃん!!」

「駄目に決まってんだろ」

「ケチ!!」

「何とでも言え。てか、早く撮れ」

「横暴だぁー!キリ君こんな兄さんでいいの?俺の方がもっと優しいと思うよ?」

って言われてもなぁ。
弟君が優しい事は僕も知ってる。
けど「こんな兄さんでいいのか?」って聞かれたけど、ちょっと怖くて強引な所も含めて僕の好きなサガリ君だからね。

僕は、うんって頷いて抱き込んでくれているサガリ君の腕をギュッと掴んだ。
僕からはサガリ君がどんな顔をしているか、見えないけど弟君が、

「兄さん⋯⋯その顔、キリ君に見せない方がいいよ⋯⋯」

って、何とも言えない表情で呟いたから、振り向いてサガリ君の顔を見ようとしたんだけど、手で目隠しされちゃった。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


【サガリside】

タケルが動画撮影に指定した曲は、コンカフェの方のキャンステの姉妹店である、小柄な男子が給仕する「Candy Milkキャンディミルク」の定番パフォーマンス曲だった。
ある程度公式の要項と俺の要望を説明したら、彼なりに色々と調べて考えてくれたらしい。
餅は餅屋と言うように、動画作成を得意としている弟に全てを任せた。

その定番曲は、小柄な男子がありのままで恋愛したいと言うコンセプトで作られている。基本キャンミのスタッフたちがパフォーマンスするための曲なのだが、キャンステの合同ライブでは、女性アイドルたちが男装してパフォーマンスをすることもある。割と人気のある曲だ。
今回のCandyRing Partyでは、セトリの都合でラキはメンバーに入って無かったが小柄な女性アイドルたちが男装してパフォーマンスをしていた。後のSNSでラキファンから「見たかった」と投稿があったり、本人も乗り気な発言をしていたので、選曲としてはアリなのかも知れない。

タケルがキリに曲を聴かせて説明していると、やつの顔が脂下がった。たまにあるんだよな、キリの反応でコイツの表情がおかしくなる事が。タケルはキリの頭を撫でようとし、キリも撫でられようと頭を下げたので阻止するためにキリを抱き込んだ。
触らせるものか。

「あぁっ!兄さん酷いっ!今キリ君自分から俺の方に来てくれてたよね!?」

「だからこっちに寄せたんだよ。お前キリの頭撫でようとしただろ?」

「当たり前じゃん!!」

「駄目に決まってんだろ」

「ケチ!!」

「何とでも言え。てか、早く撮れ」

「横暴だぁー!キリ君こんな兄さんでいいの?俺の方がもっと優しいと思うよ?」

コイツの恋愛遍歴を知る限りでは男が対象になった事は無いはずなんだが、相手はキリだ。油断は出来ない。
まぁ、タケルがどれだけキリにアプローチしたとしてもキリは俺を選ぶ事くらい分かってるがな。
案の定、キリはタケルの問いに無言で頷き、俺の腕にしがみついた。

分かっていた。分かっていたいた結果だが顔の筋肉が緩む。ついでに「お前が俺に張り合おうなんざ百年早ぇんだよ」と言わんばかりにドヤってやろうかと思ったが上手く表情が作れなかった。

「兄さん⋯⋯その顔、キリ君に見せない方がいいよ⋯⋯」

タケルが言ってきたが、そんなもん俺が一番理解している。首を捻って俺の顔を見ようとしたキリの目を咄嗟に隠してやった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

辺境の酒場で育った少年が、美貌の伯爵にとろけるほど愛されるまで

月ノ江リオ
BL
◆ウィリアム邸でのひだまり家族な子育て編 始動。不器用な父と、懐いた子どもと愛される十五歳の青年と……な第二部追加◆断章は残酷描写があるので、ご注意ください◆ 辺境の酒場で育った十三歳の少年ノアは、八歳年上の若き伯爵ユリウスに見初められ肌を重ねる。 けれど、それは一時の戯れに過ぎなかった。 孤独を抱えた伯爵は女性関係において奔放でありながら、幼い息子を育てる父でもあった。 年齢差、身分差、そして心の距離。 不安定だった二人の関係は年月を経て、やがて蜜月へと移り変わり、交差していく想いは複雑な運命の糸をも巻き込んでいく。 ■執筆過程の一部にchatGPT、Claude、Grok BateなどのAIを使用しています。 使用後には、加筆・修正を加えています。 利用規約、出力した文章の著作権に関しては以下のURLをご参照ください。 ■GPT https://openai.com/policies/terms-of-use ■Claude https://www.anthropic.com/legal/archive/18e81a24-b05e-4bb5-98cc-f96bb54e558b ■Grok Bate https://grok-ai.app/jp/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%A6%8F%E7%B4%84/

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

【完結】おじさんダンジョン配信者ですが、S級探索者の騎士を助けたら妙に懐かれてしまいました

大河
BL
世界を変えた「ダンジョン」出現から30年── かつて一線で活躍した元探索者・レイジ(42)は、今や東京の片隅で地味な初心者向け配信を続ける"おじさん配信者"。安物機材、スポンサーゼロ、視聴者数も控えめ。華やかな人気配信者とは対照的だが、その真摯な解説は密かに「信頼できる初心者向け動画」として評価されていた。 そんな平穏な日常が一変する。ダンジョン中層に災厄級モンスターが突如出現、人気配信パーティが全滅の危機に!迷わず単身で救助に向かうレイジ。絶体絶命のピンチを救ったのは、国家直属のS級騎士・ソウマだった。 冷静沈着、美形かつ最強。誰もが憧れる騎士の青年は、なぜかレイジを見た瞬間に顔を赤らめて……? 若き美貌の騎士×地味なおじさん配信者のバディが織りなす、年の差、立場の差、すべてを越えて始まる予想外の恋の物語。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

処理中です...