地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第二章:本編

2-マチナカサガリ の、2年間

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そんな生活をしばらく続けていたら、ある程度英語を聞き取れるようになった。
なので、これもうちの親仕込みなのだが、今度は教材の他に英語圏の子ども向けアニメを見せた。子猿と黄色い帽子を被ったオッサンのアニメだ。単純な話なので、キリも字幕無しでも時々クスクスと笑ってた。
タケルが遊びに来た時は、タケルも日常会話なら難なく話せるので、3人で英語で会話する事もあった。
ありとあらゆる手でキリを英語環境に置いていたら、本人も自信が付いたみたいで英語に対する苦手意識は無くなったように見えた。

そんなキリの俺ら以外との初めての英会話実践は、ラキのライブ会場だった。
ラキはこの2年でまた成長し、海外からの評価も高くなっていた。そのお陰で、ライブの客層も割とグローバルになっている。
そんなライブ会場で、キリが1人の外国人に話しかけられた。最初は狼狽えていたものの上手く対応していたと思う。
無理そうだったらフォローに入ろうと見ていたが、杞憂で終わった。
しかもその外国人と一緒に物販に並び、英語で談笑している。流石にその会話には俺も入ったが、熱量としてはキリと外国人の方が合ったみたいで、ほぼ2人で盛り上がっていた。
Daveデイブと名乗った彼は、自国と日本限定で旅行代理店のような仕事を本業とは別に片手間にやっているらしく、先の出会いでキリを気に入り、個別に都内限定で観光の案内役を有償で依頼し始めた。
ちなみにデイブからの依頼窓口は俺にしている。
最初無償でやらせようとしてたからな?日本人だからといってそんな善意があると思うなよと圧をかけたら、以降は適正価格を提示するようになった。
日本語だとしどろもどろになりがちなキリだが、英語だと決まったフレーズが自分の中にあるおかげか、かなりはっきりと受け答えしている。外国人観光客からのウケも良く、デイブもキリの人柄や対応力を気に入っていた。
そのキリの力を形にすべく、専門資格を取ることをアドバイスし、英語以外にも必要とされる地歴と文化を学ばせた。
こっちは完全に学校の勉強みたいな学習方法だったので、本人もかなり苦労していたが、タケルが遊びに来れば一緒にテキストを開き、俺もそこに混ざり、3人で英会話を始めたり……なんてしてたら、キリは一発で通訳案内士に受かった。
ついでに俺とタケルも受かったが、ここは当然だな。
今の時代、通訳案内士の資格を持たなくても通訳も観光案内も出来るが、自分の価値を提示する一つの目安になるだろう。

コレはキリの転職のためでもある。

俺はまだ諦めていない。
2年前に登録した転職サイトも退会せずに残している。
キリは未だ飽きもせず、清掃会社でせっせと安月給で働いている。副業でデイブの依頼を受けているが収入は微々たるものだ。
以前、リーダーに昇格して給料も上がったと喜んでいたが、同年代の平均年収に比べればまだまだワーキングプアの域だ。
デイブの依頼だって定期的にあるわけでもない。
今のスキルと経験が活かせて、かつ今より収入の良い会社に転職させるのが、俺の今のところの課題だ。

大学を卒業して社会人になってしまうと、今までみたいな時間の確保は難しくなるだろう。
そうなるとキリの世話も今まで通りとはいかないのも目に見えている。
もう同棲は出来てるので、会えずにすれ違う事は無いが、想定出来るリスクは今のうちに回避していきたい。
最悪なケースにならないよう気を付けるつもりだし、使えるものは何でも使うつもりだ。
ヤツを手放すつもりは全くない。
俺の傍に居ることが当たり前であると今後も刷り込み続けていく。
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