魔法の数字

初昔 茶ノ介

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1章:魔法学園入学

初めての魔法

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私はハナちゃんの10分の教えのもとなんとかやり方だけ覚えてゴウくんの前に立っていた。

「それで、できるようになったのか?」

クロくんがハナちゃんに聞くとハナちゃんは少しまゆを潜めて答える。

「やり方は教えたけど…リンの魔力量とかもわからないし、そもそも魔筆を使ったことないリンは魔力の込め方とかもできるかどうか…」

この世界にある『魔筆まひつ』と呼ばれる道具は魔力を使って空中に光の文字をかける道具だ。
この世界で暮らす人なら必ず1本は持っているものだが、必ず6歳になってからという制限があった。
魔筆を使うことでその色で得意な魔力の属性を、濃さで魔力量を知ることができる。
ゴウくんとハナちゃんは前の魔法教室で先生のものを借りて自分の大体の魔力量と属性を知っているらしい。

「おいおい、そんなんで勝てんのかよ?」

「あんたがけしかけたんじゃない!」

「たぶん…大丈夫……?」

「リン、語尾に?がついてるぞ」

「ま、いいや。とりあえず始めようぜ」

そう言ってゴウくんと私は川のほうを向く。

「クロ~合図頼む」

「はぁ…しかたないな。それでは、始め!」

クロくんの合図でゴウくんがすぐに地面に式を立てる。

「火よ、かの炎神よ。我に力を…」

なるほど…これが詠唱…。
式を立てる時に詠唱を唱えることで威力をあげることができるとさっきハナちゃんが教えてくれた。
詠唱の言葉は決まりがなく、だいたいの人が魔法を教えてくれた人と同じものを使ったりするらしい。
しかし、言葉の中にその魔法を司るものが入っていれば詠唱となるらしいので自分で作ることもでき、長ければ長いほど威力が上がるらしい。


火玉ひだま!」

ゴウくんの言葉とともに『3-1-1=1』の文字が光り、赤色の魔法陣が展開して火の玉が飛び出す。
しかし木に届くか届かないかくらいのところで火の玉は消えた。

「ちっ、もう少し威力がいるか…」

そう言ってまたゴウくんは式を展開する。

「リン!リンも早く式を立てないと!」

ハナちゃんに言われて私もはっとしてそこら辺に落ちていた枝を拾う。

『火魔法の展開には解を1にするの。リンの魔力量がわからないからまずは適当に詠唱をするといいわ。それでその詠唱が終わる前に書ききれるだけのリンができる難しい式を書くの。書く数字に魔力を込めながらね』

詠唱…。そういえば前に夢で見た世界でてれび?っていう板の中にいた魔法使いの男の子が火の魔法を使ってたっけ…。
それを真似したらできるかも。

私は記憶にある言葉を思い出し数字を書く。

『いい?魔法を使うので大切なのはイメージよ。魔法の現れ方が人それぞれ違うのはイメージを現実にするからなんだって。だから思いっきりすごい火魔法をイメージするの!』

うん…大丈夫だよ…ハナちゃん。

「我、地獄の業火をもって彼の者に制裁を加えんとする者…廻れ、踊れ、焼き尽くせ…悪しきものに永遠なる炎をもって裁きを……ヘルフレイム!」

私の地面に書いた『(1000-500)÷(250×2)=1』の式から強い光が飛び出し目標の木の下に魔法陣が展開し、黒い炎の柱が立った。

「は……?」
「え…?」
「な……」

みんな驚いて声が出ないようだった。
正直私も驚いている。まさかこんなにおっきな柱になるとは…。
しばらくしてそれが消えると目標の木だけでなく炎の範囲にあったものが跡形もなく炭になっていた。

「え、えっと…勝者、リン」

「やったぁ…?」

クロくんの勝者の宣言を聞いてとりあえず私は喜んで?おいた。
あまりにもあっけなく終わったためちょっと拍子抜けしたのかもしれない。

「す、すごいわ!リン!あなた天才だったのね!」

「ハナちゃん…痛い…」

ハナちゃんが私に抱きついてぴょんぴょん跳ねるが、体が痛い…。

「あぁ、ごめんなさい!でもほんとにすごいよ!まさか急に四等式を立てるなんて!しかも詠唱もあんな複雑なものだし!もう私感動しちゃった!」

ハナちゃんが感動している中、クロくんが私に近づいてきた。

「リン…今のはどうやった…?」

「どう……?ハナちゃんの……言う通りにした…」

「ハナ、お前リンに何を教えたんだ?」

「私が教えたのは詠唱の説明と魔力の込め方くらいよ?」

「じゃあこれは…」

「リンの才能よ!魔法の天才!」

「う、嘘だ…まさか俺がリンなんかに…」

はしゃいでるハナちゃんの奥にまだ現実を見れてないゴウくんがいた。

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