魔法の数字

初昔 茶ノ介

文字の大きさ
10 / 70
1章:魔法学園入学

サプライズ

しおりを挟む
私の退院から1ヵ月。
今日はママと一緒に珍しく港へ買い物にきていた。

「ママ…今日はなんで…港?」

「今日は港に王都からの船がついて、珍しいものがたくさん来るんですって!なんだか面白そうじゃない?」

そんな理由か…。
王都は私達の村から船で行くことができる。
私も昔行ったことあるらしいけど、流石に2歳の時のことはあやふやでどんなところかは覚えていない。

でも、王都からの商品というのはちょっと気になる。

「さて、まずはせっかく港に来たんだからお魚を買わなきゃね!」

私達はとりあえず魚を買いにいく。

「へい!いらっしゃい!」

「……!」

私はつい魚屋さんの勢いに驚いてママの後ろに隠れた。

「こんにちは。ほら、リンちゃんも」

「こ、こんにち…わ…」

「ごめんなさい、この子人見知りで」

「そいつは申し訳ないねぇ、びっくりさせちまったかな。こんにちは、お嬢ちゃん。奥さん、今日は新鮮なサーラがはいってるよ!」

「サーラ…うん、それじゃあそれを3つください」

「まいど!」

私は違和感を覚えてママに聞くべく、ママの服を引っ張った。

「ママ…どうして…3つ…?」

「え?あー…実はママ、サーラが大好きだからもう一つ食べたいなぁって」

「ふぅ…ん」

そんなにママはサーラ好きだったかな…?
まぁ、いいか。

「へい奥さん!サーラ3つ!150イニスだよ!」

「はーい、ありがとう」

「まいどありがとうございやす!」

ママはお金を払ってサーラを受け取り私達は魚屋さんを後にした。

「あ、そろそろ船がつく頃ね。リンちゃん、せっかくだから船を見に行きましょうか!」

「うん…」

王都からの船は大きくてかっこいい(ママ談)らしいので見に行くことにした。
船乗り場には既に王都の船を見ようとたくさんの人がいた。
私は人混みが苦手なのでついママの手を握ってしまった。

「人…たくさん…怖い…」

「ふふふ、そうね。それじゃあしっかり手を握って離れないようにしないとね」

「うん…」

ママと話をしていると周りがざわつき初め、海の方を見ると船が見えた。
まだ遠くて大きさがよくわからない。

「楽しみね、リンちゃん」

「うん…」

ママの顔色がいつもより赤い気がする。

「ママ…体調…良くない?」

「え?どうして?普通に元気よ?」

「顔…赤いから…」

「や、やだっ!」

ママはそう言うと手を繋いでいない方の手でパタパタと仰ぎはじめた。
人混みで暑いのかな…。

気がつくと船がもう目の前にあった。

「おっきい…」

私の体なんて豆粒に思えるんじゃないかと言うほどの船。

「ほんとにね。あ、人が降りてくるわよ」

船から橋のようなものがかかり、荷物を持った人たちが降りてきた。

「……え?」

船の中から出てくる人の中に薄れる記憶にいる人が…。

「パ…パ……?」

瞬きを何回繰り返しても目の前にいる人が消えることはなかった。

「リーネ!リン!」

その人は手を上げながら私達に近づいてくる。ママと私の名前を呼んでくれている。

「パパ!」

私は目の前にいる会いたかった人へ飛び込んだ。
その人は私を受け止めてくれた。

「リン!大きくなったな!」

「パパ…パパ…!」

私の目から涙がたくさん溢れてくる。
あんなに会いたくて、声を聞きたかったパパが私のすぐ近くにいる。

「あなた、おかえりなさい」

「あぁ、リーネ。ただいま」

パパはママも抱きしめてキスをした。
パパ…だいたん…。

「でも…パパ…お仕事は…?」

「リンが怪我をしたってのに仕事なんかやってられんよ。聞いてすぐに飛んできたんだが…1ヵ月もかかっちゃってな…ごめんな。」

「ううん…嬉しい…パパありがと…」

私は目の前にいるパパを再びギュッと抱きしめた。
するとパパが私をそのまま抱っこしてくれた。

「さて、帰るか!」

「うん!」

そのまま私達3人でいろんな話をしながら家までの帰路についた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

スキル【ファミレス】を使っていたら伝説になりました。

キンモクセイ
ファンタジー
スキル「ファミレス」を手にした。 ハズレスキルかと思い、主人公の思うがまま行動している。 そんな時に1人の少女と出会い、運命が変わる。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...