魔法の数字

初昔 茶ノ介

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1章:魔法学園入学

寮長さん

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ゴウくんと合流した後、ハナちゃんとレインを探しつつとりあえず寮に向かうが、けっきょく2人を見つけることができず、寮に到着したのだった。

「あいつら…どこまで行ったんだ?」

「さぁな。リン、女子寮はあっちだ」

魔法学園の寮は男子と女子に別れており、女子は男子寮に用があれば入ることができるが、男子は女子寮に入ることができず、用がある場合は女子寮の寮長さんに呼んでもらうしかないらしい。

「うん…」

とりあえず私はクロくん達と別れて女子寮に向かった。
そういえばママに『女子寮の先輩方とは仲良くしなきゃダメよ?まずはしっかり挨拶からね!』って言われてたんだった。
とりあえずすれ違う人に挨拶しなきゃ…。

そんなことを考えていると向こうから先輩らしき女の人が3人歩いてきた。

「こ、こんにちわ…」

「あら、礼儀正しい子ね。こんにちは」

「あなた、今年入学の子?」

「可愛いっ!わんちゃん頭に乗せて!」

「え、えっと…」

急にたくさん声をかけられてプチパニックになってしまった。

「えと…もしかして迷子かな?」

「そ、そうじゃなくて…」

「違うの?」

「あの…その…ママに……先輩方には…挨拶して…仲良くって…言われたから…」

私はもじもじしながら言うと、それを聞いた3人の先輩は笑いだした。

「あははは!そっかそっか。それじゃあ仲良くしないとね!私は高等部1年のユウよ」

「私はマナ、よろしくね。それでこっちが…」

「はいはーい!マチだよー!」

「えと…リン・セルフィアです…この子はチキンです」

「リンちゃんかぁ!それにチキンって…ぶふっ!」

マチ先輩がチキンの名前を聞いて笑い出した。

「こら、マチ…ごめんなさい。この子騒がしい子で。あ、私達のことは好きに呼んでいいから」

「えと…ユウ…お姉さん?」

「はうっ!」

私が上を向いてユウお姉さんって言うと急に胸を押さえて倒れこんだ。

「ゆ、ユウお姉さん…?大丈夫…?お胸…痛い?」

「だ、大丈夫よ…リンちゃんの可愛さに…つい胸が…」

「リ、リンちゃーん。私のことはマナお姉ちゃんって呼んでほしいなぁ…なんて」

「マナ…お姉ちゃん?」

「はうあっ…」

マナお姉ちゃんもユウお姉さんみたいに倒れこんだ。

「か、可愛いすぎるわ!」
「がまんできない!」

そう言ってユウお姉さんとマナお姉ちゃんが私を抱っこする。

「はぁ…私、妹が欲しかったのよ…それなのにうちは弟ばっかり!」

「私も末っ子だから、下の妹弟が欲しかったの!」

2人のお姉ちゃんが私を撫で回したりしているとマチさんが呆れ顔になって止めに入る。

「ほらほら2人とも、お姉ちゃん気分で嬉しいのはわかるけどそろそろ行かないとさ」

「はっ…そうだったわ…」

「うぅ…まだリンちゃんといたいのに…」

お姉さん方は私をおろした。

「リンちゃん、私達そろそろ行かないといけないから、今度会ったらお茶でもしましょうね」

「バイバイリンちゃん!」

そう言ってお姉さん方は手を振りながら歩いていった。

その後も数人の先輩方に挨拶をしたが、あんなに話をしたのはお姉さん方だけだった。

しばらく歩いて寮につき、寮長さんのところへ行く。
寮長室と書かれた部屋の前についたが、どうしていいかわからずしばらく悩んでいた。

「どうしたの?寮長室に何か御用?」

「ひぅ…!」

急に後ろから声をかけられて振り返るとエプロンをつけたツインテールの12歳くらいの女の子がいた。

「えと…こんにちわ」

「あら、ご丁寧にどうも、こんにちは、それで、寮長室に何か御用かしら?」

「私…新入生で…その…えっと…」

「あ、新入生さんかぁ。それじゃあ今日からこの寮に住むんだね。こっちにおいで」

「え…?あの…」

その女の子は寮長室にノックもせずに入っていき、私も恐る恐るその後をついていく。

「まーまーそこに座って」

「はぁ…」

とりあえず私はその子の言う通りソファに腰をかけ、その子も向かいのソファに座った。

「あなたのお名前は?」

「リン・セルフィア…です」

「セルフィア!?もしかしてお母さんの名前はリーネですか!?」

「え……?は、はい…」

「そっかそっか!確かに髪の跳ね方とか口もととかそっくり!」

「あ、あの…ママとは…」

「ん?あぁ、まだ自己紹介してなかったね。私の名前はティルナ・ティリス。この女子寮の寮長よ。それとリーネ先輩の1つ下の後輩だったんだ」

「え…えぇ…!?」

ママは今26歳だからこの人は今25歳!?この見た目で!?

「あぁ、不思議に思うのもしょうがないよね。この見た目、実は魔法の失敗で呪いにかかっちゃってさ。おかげで背も伸びないし不便だよまったく…。」

そ、そんなことが…。
色々なことが一気に入ってきてまたしてもプチパニックになった。

「まぁ、とりあえずは部屋に案内するから、ついてきて」

「は、はい…」

寮長さんに案内されて、私はこれからお世話になる部屋へついた。
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