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第一章 始まりは異世界転生。
11. シェリーの我が儘 ※ エディのお話
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「お前達、もう来ていたのか」
「父様!」
父様と補佐官のアンドリュー様が現れた。僕は父様に駆け寄って腕に抱き着くと、いつものように頭を撫でられ額にキスをされた。
「街はどうだったかい?・・・なんだ、目が赤いけど何があったんだ?父様に話してごらん」
「ひとりで通りに居たら変な人に絡まれて、通りがかったエドガー様が助けてくれたので大丈夫だったんだけど・・・」
「エドガー、何故逃げる?非番なのにエディを助けてくれたそうだな、感謝するぞ」
うわっ、もしかして言っちゃまずかったかな。その場にいた全員の顔色が変わっている。いつの間にかエドガー様が僕らから離れようとしていた。
父様は僕が泣いたら見逃さない。いつもなら僕を慰めた後にお菓子をくれたり、こっそりとお酒を飲ませてくれたりするんだけど、今日はこの後はどうなるのか予想がつかない。
「いえ、城下の治安を守るのは騎士団員の務めです」
「そうか、感心だな。今後の治安維持のために騎士団員の視点で、君にも今回の状況を聞こうとしようか。いいかな?」
「もちろんです!」
エドガー様は今までの陽気な雰囲気から一転して騎士団員らしく敬礼した。
「キース、お前がいて何故そうなった?エドガーが居合わせなかったら、どうなったのかも教えて貰おうか。それよりも何故このことを兄のお前からではなくエディから聞くことになってしまったのかな。庇護すべき弟を泣かすような目に合わせたことを残念に思うよ」
「申し訳ありません!」
「まあまあ、落ち着いてください団長。人目があるところで叱責するなんてあなたらしくもない。はい、話はまた後でしましょう」
補佐官のアンドリュー様が手をパンパンと叩きながら仲裁してくれた。父様も仕方なさそうに無言で頷いてくれて、なんとかこの場は収まりそうだ。
「久しぶりだね、ふたりとも。君達が来なくなって、みんな寂しい思いをしていたよ」
「こんにちは、アンドリュー様。僕達がここで遊んでお仕事の邪魔になっていませんでしたか?」
「そんなことないよ。特に団長とシェリーが鬱陶しい程に落ち込んで、彼らが私の仕事の邪魔になっていたからね」
訓練所では僕らが来る日はシェルドン殿下をシェリーと呼ぶようにとお触れが出ていた。たまに同席していた王太子妃のユアン様に対してもシェリーの母様だと思っていたので、気軽に話しかけて抱っこをして貰ったりと甘えていた。なんて恐れ多いことをしていたんだろうか。
「うん、今も落ち込んでいるよ。だからせめて、シェリーって呼んで欲しいな」
「分かったよ、シェリー」
ちょっと和みかけたけど、キース兄様は顔面蒼白で直立不動のままだった。ダニエル様が心配そうにそっと背中に手を回して、ジョイスとニールも無言で俯いている。
「父様、ごめんなさい。今日は僕が悪いんです。だから兄様を怒らないで」
僕のせいでみんなが怒られてしまうのが申し訳なくて、悲しくて涙がぽろぽろとこぼれた。僕は父様の胸に飛び込んで、泣いたまま見上げた。
「おや、団長が泣かせていますよ。ひどい父様ですね」
「・・・分かった、絶対に怒らない。だが、説明はしてもらうぞ。エドガー、お前もだ!」
会話の隙にエドガー様はまたしても消えようとしていた。殿下が笑いながら服の裾を掴んだ。幼馴染を逃がす気はないらしい。
アンドリュー様がいてくれてよかった。ちょっと毒舌気味だけど、優しくていつも僕らをかばってくれる。
「ああ、そうだ。タイラー公爵家から騎士団に差し入れを頂いたんだ。今日はノア様にはよくして頂いてとても感謝しているよ。ジョイス、ノア様にお伝え願うよ」
「はい。こちらこそ、今日は急にお邪魔してすみませんでした」
「いつでも来てくれたらいい。そうだ、今度はキースと基礎訓練に参加してみるか?」
「いいんですか!ありがとうございます!」
ジョイスは父様に誘われて嬉しそうにしている。いいなあ、僕も来たいなあ。
「団長、エディもでしょう?」
「もちろんだ、エディもキース達と一緒においで」
「はい!父様、アンドリュー様もありがとう!」
アンドリュー様って本当にいい人だ。鬼畜ドSって団員に陰で言われているそうだけど、全くそう思えない。
「いいね、その日に私もご一緒したいな」
「でしたら予定や公務もありますから、みなさんがシェリーの訓練日に合わせて下さい。それ以外の希望は全て却下します。そうですねえ、四人も指導するには人員が足りないので、その日はエドガーに面倒を見て貰いましょうか。来週からでいいですか?明日までには勤務のシフトを組み直しますから、エドガーは朝一に執務室に確認に来るように」
ごめん、前言撤回します。なんだか噂は当たっているんじゃないかという気がしてきた。
「アンドリュー、ありがとう」
「あなた方のせいでいつも要らない仕事が増えるんですよ?」
「そうだね、いつも助かっているよ」
ああ、殿下相手にも容赦がない。不敬罪に当たらないんだろうか。
「ごめんなさい、エドガー様」
「いいよ、君に会えるんだからそのくらいお安い御用だ」
やばい、ジョイスが怒りそうだ。僕は慌てて父様から離れてジョイスの腕に手を回した。
「ジョイス、これから毎週一緒に来れるね。怒っちゃダメだよ、ほらまた眉間に皺ができているよ」
眉間を指で撫でてジョイスの瞳を覗き込むと、嬉しそうな顔で指を掴まれてそのまま手を握り締められた。
「子離れより、親離れが先でしたね。せめて目の届くところでと、年頃の子を持つ父親の苦悩が窺えます」
うんうんと頷きながらのアンドリュー様の発言に、ダニエル様とニールの肩が震えていた。吹き出しそうなのを我慢しているみたいだけど、何がそんなに面白いんだろうか。
今回の事件の報告は人目があるので詳細は団長室でということになった。そこになぜかシェリーまで同席していた。僕らを心配してというより野次馬じゃないだろうか。
団長室の隣の応接室に通され席に着くと、いきなりダニエル様とニールが事の始まりは自分達だと告白を始めた。
リリスの店にはキース兄様は反対していたけど、自分達の我儘で行くことになったので責任は自分達にあると頭を下げて謝罪した。
ダニエル様は自分がふたりの性の話をしたためにキース兄様が自分につきっきりなってしまったことまでも話してしまった。
それを父様とアンドリュー様は表情一つ変えずに聞いていた。
本当に気まずい。父様に買いに行ったのがバレたのがとても恥ずかしくて逃げたい。
エドガー様が逃げようとしたのはこの状況を察していたからかな。上司とその子供のこんな話に巻き込まれるのは気まずくて辛いよね。
「それでも止めるべきでしたが、兄としてエディの側から離れるべきではありませんでした」
「謝罪はあとで聞こう。出来事を順に話すように」
はい、と僕は手を挙げると、父様が頷いたので事の顛末を話し出した。
「僕が店の外や通りに居た猫を触りたくなって、ひとりで店の外に出てしまいました。追い掛けているうちに店から離れたところに来てしまったんです。そこに30歳半ばの小太りの人が、『君、ひとりなの?さっきあの店から出てきたよね。暇ならこれから俺とどう?』
って声を掛けられて、暇でもひとりでもないって言ったのに『そういわずに、ちょっとそこでお茶だけでもいいから』って手首を掴もうとして来たんです。そこにエドガー様が助けに入ってくれて、そのあと直ぐに皆が来てくれました」
僕は今日の出来事を思い出しながら話していると、その時の恐怖が少し蘇って声がだんだんと小さくなっていくのが分かった。本当に助かって良かった。
「エドガー、それで合っているか?」
「はい。エディの言う通りの年齢で、服装からは裕福な商人か役人のようでした。騎士団の紋章の入った腕輪を見せたら大人しく引き下がりましたから、ある程度の学や見識があると思います」
「そうか。では、次は?」
キース兄様が手を挙げて立ち上がった。
「まず一番に私が報告しなかったことをお詫びいたします。リリスの店に行って、エディから目を離してしまいました。気が付いて店を出て、ジョイスの先導でピアスに掛けてあった追跡魔法で行き先を追いました。エディに追いついた時には、すでに不審者の姿はなくエドガーとエディが通りにいました」
「分かった。キース、座れ」
キース兄様は父様の言葉に素直に従った。その後はジョイスも同じように経緯を聞かれ、僕とエドガー様は不審者の容姿と人相を詳しく聞かれた。似た事例を起こした前科者や報告がないか確認するそうだ。
「運がよかったとしか言えないな。未遂で終わったと喜んではいけないことだ。キースとエディ、今日のことは帰ってから話そう」
はい、とふたりで頷いた。きっと帰ったら母様にも怒られるよね。
アンドリュー様が僕らの報告を書類にまとめ、父様はそれに手早くサインをしてファイルに挟んだ。
「毎年、新入生が入学する前後には、早朝や夕方は城下町を定期的に騎士団が警ら致します。それでもやはり盗難や傷害事件は起きますので気を付けて下さいね」
「はい、分かりました」
僕らが神妙に頷いて反省していると父様は無言で頷いて全員の顔を見渡した。
調書が終わったのでこれからシェリーへのしごきが始まるので見学しましょうと笑顔のアンドリュー様に促されて、僕らは剣技場へと移動することになった。
「あの・・・考えなしで喜んでいたんですけど、僕が参加したら脚を引っ張るだけで、騎士団員の方や騎士科の方にも公私混同の依怙贔屓と気分が悪いんじゃないんでしょうか」
僕は心配になったことを父様とアンドリュー様に聞いてみた。アディに周りには相談しろと言われたので、僕ひとりじゃ分からないことは何でも聞くことにした。
その質問にはアンドリュー様が答えてくれた。
「ああ、そのためのシェリーです。シェルドン殿下の希望でそうなったんですから、誰も文句は言えないでしょう。きっとそれを言うであろう新参者へのフォローもエドガーにお願いしようと思います。殿下の側近候補としての役目を頑張っていただきましょう。あと、試しに騎士科の新入生から授業の一環として交代制で受け入れることにしたんですよ。若いうちから求められるレベルを体現して貰おうと言う目的です。その中にあなた方が増えたとすれば大したことじゃありませんから。殿下に言いにくければ、まず私に相談してください。それをシェリーに振るかは状況次第ですけどね」
「私の我が儘なら何も言えないね。それでも誰かに何か言われたら私に言うがいいよ」
ええ?それってその人の将来というか、生命の危機にさらされるんじゃないのかな?
「私としては使えるものは使ったら良い派なので、それは最後の切り札と言わずにちゃんと使って下さい。騎士団としてよりも、シェルドン殿下の意向としての方がこちらも楽なところがありますから」
「そうそう、いつもは聞き分けのいい良い王子なんだからこの位はね」
「なら、早く婚約者を決めるんだな」
「ひどいな、エドガー。父が即位するならそれまでに決めるよ」
シェリーの婚約者や側室候補と噂される方々は、きれいだけどちょっと怖い人が多いので苦手だ。その中の誰かから決まったら、今まで通りに話すのは難しいかもしれないな。
剣技場ではシェリーとジョイスとキース兄様の順で父様が稽古をつけた。僕は屋敷に帰れば稽古をつけて貰える日なので参加しなかった。
タイラー公爵家からの差し入れのお酒が騎士団員に振る舞われ、それを目当てに続々と集まるギャラリーの前で剣を振るう勇気がなかったのもあるけれど。
「エディ、やっぱりお前の父上はすごいな。あれだけ殿下の相手をした後でも息も乱れないし」
キース兄様と交代したジョイスが僕の隣に座った。
「ジョイスもすごいよ」
「そうか?でもお前にそう言われたらお世辞でも嬉しい」
「お世辞じゃないよ。僕はここでみんなの前で稽古をつけて貰えるほど上手くないし体力もないもの。まだ人前に出る勇気がないよ。これで騎士科志望とか甘ちゃんだよね。でも、愚痴っても仕方ないから、これから出来ることから頑張るよ」
ジョイスは僕の頭を撫でて、そっと髪にキスをしてきた。背中から腰に手を回されて、僕はそのままジョイスにもたれかかった。
「俺達も頑張ろうな」
「うん」
「その・・ピアスの件だけど、怒っていないか?勝手に追跡魔法を掛けて、それを黙っていたんだから・・・」
「なんで?おかげで直ぐに来てもらえたし。もしも、エドガー様が居合わせなくて、ピアスの魔法がなければ僕はここに居ないと思うよ。ありがとう、ジョイス。毎日、着けるね」
僕はありがとうの意味を込めて頬にキスをすると、ジョイスはしばらく硬直していた。家族にするのと同じようにキスをしたのが拙かったのかな。
「ごめん、家族にするみたいにしちゃった」
「やった!ああ、もう何でもいいよ。家族としてでも、お前が俺にキスしてくれるなんて」
ジョイスはガッツポーズを取ると、僕の頬に優しくキスをしてくれた。頬にキスなんてお互いにちっちゃな頃にしかしなかったので、なんだか照れ臭くなってジョイスの顔が見れずに俯いてしまった。
「ちゃんと俺がお前を守れるようになるから待ってくれな」
ジョイスは僕の手を取り、手の甲にもキスを落とした。頬も手も熱くなって、ますますジョイスの顔が見れない。
「おっと、お熱いことです。今日は色々とあったのに団長の眼前でするとは勇気がありますねえ」
「もちろん、おじ様は見逃していませんね。今日はキースも厳しくしごかれた方が気持ち的に納得するかもしれないから。うん、頑張ってとしか言えないな」
アンドリュー様とダニエル様の会話にニールが笑い出したけれど、みんなの会話に交じってその意味を聞くよりも僕はジョイスとこのままでいたいと手を握り返した。
意地悪で大嫌いだと思っていたけど、ジョイスはこんなにも優しくしてくれるようになって嬉しくて仕方がない。
「これ、お前に渡そうと思ってリリスの店で買った」
「え!?」
ジョイスが耳元で小さな声で囁いて、きれいな布袋を渡して来た。慌てて布袋を開けると中には液体の入った瓶があったんだけど、もしやこれは潤滑剤!?
「指以外はダメだぞ。あと俺のことを考えてくれよな」
「バカ・・・」
袋に入っているとはいえ、こんな物を父様やみんなの前で持ち歩くなんて。僕は恥ずかしくて、馬車に乗るまでほとんど下を向いていた。
兄様の次は何故かエドガー様も稽古をつけられて、遅くなったので武器屋にはいかずに帰宅することになった。
帰り道は行きと逆の順で家路に着き、その間キース兄様が僕の肩をずっと抱いてくれた。俺のミスだと何度も自分を責めるので、僕が悪いのだからもう謝らないで欲しいと頬にキスして終わりにして貰った。そして、帰宅したその足で母様の部屋に行き、今日あったことを報告することにした。
母様は僕と兄様を抱き寄せて、無事でよかったと頬にキスをした。怒らないのかという兄様の問いに、母様はもう十分反省しているのは分かるよと答えた。こんなにも深く落ち込んでいる僕らを見るのは初めてだと微笑んだ。
父様が帰宅するまでほんの少し時間があるので部屋に戻って、ジョイスに渡された瓶を袋から取り出した。何も書かれてはいないけど、ピンク色の瓶が卑猥な雰囲気を醸し出している。
僕は秘部への自慰の快感を思い出して、時間がないからどうしようと悩んでいるうちに父様が帰宅した。僕は慌てて袋にしまって枕の下に押し込んだ。
昼間の出来事のせいか、夕食中はほとんど会話もなかった。食事中に誰かが僕の枕の下を覗いたらどうしようかと気が気じゃなかった。それと自慰のことを考えて上の空で何を食べたかろくに覚えていない。
疲労でずっとぼんやりしているようなので今日は早く寝るようにと夕食後の鍛錬もなく、代わりにキース兄様が鍛えて下さいと父様とお祖父様に願い出た。
ちょっと後ろめたい気分だったけど、僕は早々にお風呂に入って寝支度を整えることにした。
部屋に戻ってから気が付かない振りをしていたけど、僕のものはもう硬く張りつめていた。鍵のかかる自分の寝室で早く自慰をしたくて、急いでお風呂を終わらして部屋に戻った。
自分のことは自分でやるという家訓のおかげで、ひとりでお風呂に入れるので本当に良かった。
瓶はピンク色だけど中身は透明な液体で、瓶の蓋を開けると甘い匂いがした。
掌に少し出すと香油より粘度があってゆっくりと垂れた。指で感触を確かめて、自分のものと秘部に垂らした。
潤滑剤は少し冷たかったけど、それすらも刺激になっていた。秘部を優しく撫でながら、硬くなった自分のものを扱いた。
初めて快感を覚えた日から、僕は毎夜のように自慰をしていた。秘部への自慰はジョイスが気になって出来なかったけど、本当は毎日でもしたかった。
「・・・んっ・・あ・・はぁ・・・・」
潤滑剤の滑りがいつも以上の快楽をもたらした。陰茎と秘部を中心に身体が熱くほてり触れてもいない乳首も立っていて、気持ち良さともどかしさでだんだん思考がまとまらなくなってきた。
あの夜以上に秘部に愛液が溢れ、指を難なく受け入れてしまった。まだジョイスに許してもいないのに大丈夫なんだろうかという考えも、すぐに快楽の波に押しのけられてしまった。
指で中を探りそこを擦り上げて快楽に浸った。指の抜き差しでいやらしい音を立てる秘部に、指なんかじゃなくてジョイスのものを突き立てられたいといつの間にか望んでいた。
剣技場で汗ばんだジョイスにもたれた時の肌の感触と、馬車での力強い抱擁と指を吸われたことを思い出し、あのまま抱かれていたらと妄想に浸った。
布越しに分かった硬さと大きさのものに、荒々しく秘部を押し広げて奥まで何度も激しく突き上げて欲しいともどかしげに腰を揺らしていた。
「あ・・いっ・・・ジョ・・ス・・・」
荒い自分の呼吸と漏れる喘ぎ声を抑えることもできずに、僕はジョイスの名前を呼んでいた。
陰茎でも秘部でも何度も達したのに、欲望は治まらずにほぼ一晩中自慰に耽ってしまった。朝方に秘部でイって気を失ってから、目が覚めたのは正午も近かった。
もしかして、誰か起こしに来たかもしれない。シーツも掛けずに丸裸で寝ていたことに焦って、重怠い下半身を引きずるようにして扉の鍵を確認した。
「よかった・・・閉まっていた」
ほっと安心して脱力してしまい、床に寝転がって天井をしばらく眺めた。
ああ、今日は午後からロイス伯父様が来るんだった。こんな身体で上級魔法の授業に身が入るんだろうか。
昨夜の性衝動は潤滑剤のせいじゃないかなという結論に至って、だんだんと腹が立ってきた。
もしやダニエル様が言っていた媚薬なんじゃないだろうか。潤滑剤にそんな成分が入っていたかもしれない。
そういえばニールがデュランに盛るって言っていたよなあ。ジョイスもその案に乗ったんじゃないか?
もしそうならばだまし討ちにされたような気がして気分がよくない。それってひどいよ、ジョイス。
僕は身体を起こして背伸びをした。もうジョイスのバカと怒りながらもその時に本音が言葉に出てしまった。
「・・・ジョイスとしたいなあ」
誰も聞いていないけど周囲を思わず見回してしまった。
ジョイスを好きとか愛しているとかよく分からないのに婚前交渉がしたいと思っている。
昨日、ジョイスにやりたいだけで身体目当てって非難したけど、まさか僕がそうなるとは思いもしなかった。
どうしよう、こんなこと誰にも相談できそうにない。アディ、助けて・・・
「父様!」
父様と補佐官のアンドリュー様が現れた。僕は父様に駆け寄って腕に抱き着くと、いつものように頭を撫でられ額にキスをされた。
「街はどうだったかい?・・・なんだ、目が赤いけど何があったんだ?父様に話してごらん」
「ひとりで通りに居たら変な人に絡まれて、通りがかったエドガー様が助けてくれたので大丈夫だったんだけど・・・」
「エドガー、何故逃げる?非番なのにエディを助けてくれたそうだな、感謝するぞ」
うわっ、もしかして言っちゃまずかったかな。その場にいた全員の顔色が変わっている。いつの間にかエドガー様が僕らから離れようとしていた。
父様は僕が泣いたら見逃さない。いつもなら僕を慰めた後にお菓子をくれたり、こっそりとお酒を飲ませてくれたりするんだけど、今日はこの後はどうなるのか予想がつかない。
「いえ、城下の治安を守るのは騎士団員の務めです」
「そうか、感心だな。今後の治安維持のために騎士団員の視点で、君にも今回の状況を聞こうとしようか。いいかな?」
「もちろんです!」
エドガー様は今までの陽気な雰囲気から一転して騎士団員らしく敬礼した。
「キース、お前がいて何故そうなった?エドガーが居合わせなかったら、どうなったのかも教えて貰おうか。それよりも何故このことを兄のお前からではなくエディから聞くことになってしまったのかな。庇護すべき弟を泣かすような目に合わせたことを残念に思うよ」
「申し訳ありません!」
「まあまあ、落ち着いてください団長。人目があるところで叱責するなんてあなたらしくもない。はい、話はまた後でしましょう」
補佐官のアンドリュー様が手をパンパンと叩きながら仲裁してくれた。父様も仕方なさそうに無言で頷いてくれて、なんとかこの場は収まりそうだ。
「久しぶりだね、ふたりとも。君達が来なくなって、みんな寂しい思いをしていたよ」
「こんにちは、アンドリュー様。僕達がここで遊んでお仕事の邪魔になっていませんでしたか?」
「そんなことないよ。特に団長とシェリーが鬱陶しい程に落ち込んで、彼らが私の仕事の邪魔になっていたからね」
訓練所では僕らが来る日はシェルドン殿下をシェリーと呼ぶようにとお触れが出ていた。たまに同席していた王太子妃のユアン様に対してもシェリーの母様だと思っていたので、気軽に話しかけて抱っこをして貰ったりと甘えていた。なんて恐れ多いことをしていたんだろうか。
「うん、今も落ち込んでいるよ。だからせめて、シェリーって呼んで欲しいな」
「分かったよ、シェリー」
ちょっと和みかけたけど、キース兄様は顔面蒼白で直立不動のままだった。ダニエル様が心配そうにそっと背中に手を回して、ジョイスとニールも無言で俯いている。
「父様、ごめんなさい。今日は僕が悪いんです。だから兄様を怒らないで」
僕のせいでみんなが怒られてしまうのが申し訳なくて、悲しくて涙がぽろぽろとこぼれた。僕は父様の胸に飛び込んで、泣いたまま見上げた。
「おや、団長が泣かせていますよ。ひどい父様ですね」
「・・・分かった、絶対に怒らない。だが、説明はしてもらうぞ。エドガー、お前もだ!」
会話の隙にエドガー様はまたしても消えようとしていた。殿下が笑いながら服の裾を掴んだ。幼馴染を逃がす気はないらしい。
アンドリュー様がいてくれてよかった。ちょっと毒舌気味だけど、優しくていつも僕らをかばってくれる。
「ああ、そうだ。タイラー公爵家から騎士団に差し入れを頂いたんだ。今日はノア様にはよくして頂いてとても感謝しているよ。ジョイス、ノア様にお伝え願うよ」
「はい。こちらこそ、今日は急にお邪魔してすみませんでした」
「いつでも来てくれたらいい。そうだ、今度はキースと基礎訓練に参加してみるか?」
「いいんですか!ありがとうございます!」
ジョイスは父様に誘われて嬉しそうにしている。いいなあ、僕も来たいなあ。
「団長、エディもでしょう?」
「もちろんだ、エディもキース達と一緒においで」
「はい!父様、アンドリュー様もありがとう!」
アンドリュー様って本当にいい人だ。鬼畜ドSって団員に陰で言われているそうだけど、全くそう思えない。
「いいね、その日に私もご一緒したいな」
「でしたら予定や公務もありますから、みなさんがシェリーの訓練日に合わせて下さい。それ以外の希望は全て却下します。そうですねえ、四人も指導するには人員が足りないので、その日はエドガーに面倒を見て貰いましょうか。来週からでいいですか?明日までには勤務のシフトを組み直しますから、エドガーは朝一に執務室に確認に来るように」
ごめん、前言撤回します。なんだか噂は当たっているんじゃないかという気がしてきた。
「アンドリュー、ありがとう」
「あなた方のせいでいつも要らない仕事が増えるんですよ?」
「そうだね、いつも助かっているよ」
ああ、殿下相手にも容赦がない。不敬罪に当たらないんだろうか。
「ごめんなさい、エドガー様」
「いいよ、君に会えるんだからそのくらいお安い御用だ」
やばい、ジョイスが怒りそうだ。僕は慌てて父様から離れてジョイスの腕に手を回した。
「ジョイス、これから毎週一緒に来れるね。怒っちゃダメだよ、ほらまた眉間に皺ができているよ」
眉間を指で撫でてジョイスの瞳を覗き込むと、嬉しそうな顔で指を掴まれてそのまま手を握り締められた。
「子離れより、親離れが先でしたね。せめて目の届くところでと、年頃の子を持つ父親の苦悩が窺えます」
うんうんと頷きながらのアンドリュー様の発言に、ダニエル様とニールの肩が震えていた。吹き出しそうなのを我慢しているみたいだけど、何がそんなに面白いんだろうか。
今回の事件の報告は人目があるので詳細は団長室でということになった。そこになぜかシェリーまで同席していた。僕らを心配してというより野次馬じゃないだろうか。
団長室の隣の応接室に通され席に着くと、いきなりダニエル様とニールが事の始まりは自分達だと告白を始めた。
リリスの店にはキース兄様は反対していたけど、自分達の我儘で行くことになったので責任は自分達にあると頭を下げて謝罪した。
ダニエル様は自分がふたりの性の話をしたためにキース兄様が自分につきっきりなってしまったことまでも話してしまった。
それを父様とアンドリュー様は表情一つ変えずに聞いていた。
本当に気まずい。父様に買いに行ったのがバレたのがとても恥ずかしくて逃げたい。
エドガー様が逃げようとしたのはこの状況を察していたからかな。上司とその子供のこんな話に巻き込まれるのは気まずくて辛いよね。
「それでも止めるべきでしたが、兄としてエディの側から離れるべきではありませんでした」
「謝罪はあとで聞こう。出来事を順に話すように」
はい、と僕は手を挙げると、父様が頷いたので事の顛末を話し出した。
「僕が店の外や通りに居た猫を触りたくなって、ひとりで店の外に出てしまいました。追い掛けているうちに店から離れたところに来てしまったんです。そこに30歳半ばの小太りの人が、『君、ひとりなの?さっきあの店から出てきたよね。暇ならこれから俺とどう?』
って声を掛けられて、暇でもひとりでもないって言ったのに『そういわずに、ちょっとそこでお茶だけでもいいから』って手首を掴もうとして来たんです。そこにエドガー様が助けに入ってくれて、そのあと直ぐに皆が来てくれました」
僕は今日の出来事を思い出しながら話していると、その時の恐怖が少し蘇って声がだんだんと小さくなっていくのが分かった。本当に助かって良かった。
「エドガー、それで合っているか?」
「はい。エディの言う通りの年齢で、服装からは裕福な商人か役人のようでした。騎士団の紋章の入った腕輪を見せたら大人しく引き下がりましたから、ある程度の学や見識があると思います」
「そうか。では、次は?」
キース兄様が手を挙げて立ち上がった。
「まず一番に私が報告しなかったことをお詫びいたします。リリスの店に行って、エディから目を離してしまいました。気が付いて店を出て、ジョイスの先導でピアスに掛けてあった追跡魔法で行き先を追いました。エディに追いついた時には、すでに不審者の姿はなくエドガーとエディが通りにいました」
「分かった。キース、座れ」
キース兄様は父様の言葉に素直に従った。その後はジョイスも同じように経緯を聞かれ、僕とエドガー様は不審者の容姿と人相を詳しく聞かれた。似た事例を起こした前科者や報告がないか確認するそうだ。
「運がよかったとしか言えないな。未遂で終わったと喜んではいけないことだ。キースとエディ、今日のことは帰ってから話そう」
はい、とふたりで頷いた。きっと帰ったら母様にも怒られるよね。
アンドリュー様が僕らの報告を書類にまとめ、父様はそれに手早くサインをしてファイルに挟んだ。
「毎年、新入生が入学する前後には、早朝や夕方は城下町を定期的に騎士団が警ら致します。それでもやはり盗難や傷害事件は起きますので気を付けて下さいね」
「はい、分かりました」
僕らが神妙に頷いて反省していると父様は無言で頷いて全員の顔を見渡した。
調書が終わったのでこれからシェリーへのしごきが始まるので見学しましょうと笑顔のアンドリュー様に促されて、僕らは剣技場へと移動することになった。
「あの・・・考えなしで喜んでいたんですけど、僕が参加したら脚を引っ張るだけで、騎士団員の方や騎士科の方にも公私混同の依怙贔屓と気分が悪いんじゃないんでしょうか」
僕は心配になったことを父様とアンドリュー様に聞いてみた。アディに周りには相談しろと言われたので、僕ひとりじゃ分からないことは何でも聞くことにした。
その質問にはアンドリュー様が答えてくれた。
「ああ、そのためのシェリーです。シェルドン殿下の希望でそうなったんですから、誰も文句は言えないでしょう。きっとそれを言うであろう新参者へのフォローもエドガーにお願いしようと思います。殿下の側近候補としての役目を頑張っていただきましょう。あと、試しに騎士科の新入生から授業の一環として交代制で受け入れることにしたんですよ。若いうちから求められるレベルを体現して貰おうと言う目的です。その中にあなた方が増えたとすれば大したことじゃありませんから。殿下に言いにくければ、まず私に相談してください。それをシェリーに振るかは状況次第ですけどね」
「私の我が儘なら何も言えないね。それでも誰かに何か言われたら私に言うがいいよ」
ええ?それってその人の将来というか、生命の危機にさらされるんじゃないのかな?
「私としては使えるものは使ったら良い派なので、それは最後の切り札と言わずにちゃんと使って下さい。騎士団としてよりも、シェルドン殿下の意向としての方がこちらも楽なところがありますから」
「そうそう、いつもは聞き分けのいい良い王子なんだからこの位はね」
「なら、早く婚約者を決めるんだな」
「ひどいな、エドガー。父が即位するならそれまでに決めるよ」
シェリーの婚約者や側室候補と噂される方々は、きれいだけどちょっと怖い人が多いので苦手だ。その中の誰かから決まったら、今まで通りに話すのは難しいかもしれないな。
剣技場ではシェリーとジョイスとキース兄様の順で父様が稽古をつけた。僕は屋敷に帰れば稽古をつけて貰える日なので参加しなかった。
タイラー公爵家からの差し入れのお酒が騎士団員に振る舞われ、それを目当てに続々と集まるギャラリーの前で剣を振るう勇気がなかったのもあるけれど。
「エディ、やっぱりお前の父上はすごいな。あれだけ殿下の相手をした後でも息も乱れないし」
キース兄様と交代したジョイスが僕の隣に座った。
「ジョイスもすごいよ」
「そうか?でもお前にそう言われたらお世辞でも嬉しい」
「お世辞じゃないよ。僕はここでみんなの前で稽古をつけて貰えるほど上手くないし体力もないもの。まだ人前に出る勇気がないよ。これで騎士科志望とか甘ちゃんだよね。でも、愚痴っても仕方ないから、これから出来ることから頑張るよ」
ジョイスは僕の頭を撫でて、そっと髪にキスをしてきた。背中から腰に手を回されて、僕はそのままジョイスにもたれかかった。
「俺達も頑張ろうな」
「うん」
「その・・ピアスの件だけど、怒っていないか?勝手に追跡魔法を掛けて、それを黙っていたんだから・・・」
「なんで?おかげで直ぐに来てもらえたし。もしも、エドガー様が居合わせなくて、ピアスの魔法がなければ僕はここに居ないと思うよ。ありがとう、ジョイス。毎日、着けるね」
僕はありがとうの意味を込めて頬にキスをすると、ジョイスはしばらく硬直していた。家族にするのと同じようにキスをしたのが拙かったのかな。
「ごめん、家族にするみたいにしちゃった」
「やった!ああ、もう何でもいいよ。家族としてでも、お前が俺にキスしてくれるなんて」
ジョイスはガッツポーズを取ると、僕の頬に優しくキスをしてくれた。頬にキスなんてお互いにちっちゃな頃にしかしなかったので、なんだか照れ臭くなってジョイスの顔が見れずに俯いてしまった。
「ちゃんと俺がお前を守れるようになるから待ってくれな」
ジョイスは僕の手を取り、手の甲にもキスを落とした。頬も手も熱くなって、ますますジョイスの顔が見れない。
「おっと、お熱いことです。今日は色々とあったのに団長の眼前でするとは勇気がありますねえ」
「もちろん、おじ様は見逃していませんね。今日はキースも厳しくしごかれた方が気持ち的に納得するかもしれないから。うん、頑張ってとしか言えないな」
アンドリュー様とダニエル様の会話にニールが笑い出したけれど、みんなの会話に交じってその意味を聞くよりも僕はジョイスとこのままでいたいと手を握り返した。
意地悪で大嫌いだと思っていたけど、ジョイスはこんなにも優しくしてくれるようになって嬉しくて仕方がない。
「これ、お前に渡そうと思ってリリスの店で買った」
「え!?」
ジョイスが耳元で小さな声で囁いて、きれいな布袋を渡して来た。慌てて布袋を開けると中には液体の入った瓶があったんだけど、もしやこれは潤滑剤!?
「指以外はダメだぞ。あと俺のことを考えてくれよな」
「バカ・・・」
袋に入っているとはいえ、こんな物を父様やみんなの前で持ち歩くなんて。僕は恥ずかしくて、馬車に乗るまでほとんど下を向いていた。
兄様の次は何故かエドガー様も稽古をつけられて、遅くなったので武器屋にはいかずに帰宅することになった。
帰り道は行きと逆の順で家路に着き、その間キース兄様が僕の肩をずっと抱いてくれた。俺のミスだと何度も自分を責めるので、僕が悪いのだからもう謝らないで欲しいと頬にキスして終わりにして貰った。そして、帰宅したその足で母様の部屋に行き、今日あったことを報告することにした。
母様は僕と兄様を抱き寄せて、無事でよかったと頬にキスをした。怒らないのかという兄様の問いに、母様はもう十分反省しているのは分かるよと答えた。こんなにも深く落ち込んでいる僕らを見るのは初めてだと微笑んだ。
父様が帰宅するまでほんの少し時間があるので部屋に戻って、ジョイスに渡された瓶を袋から取り出した。何も書かれてはいないけど、ピンク色の瓶が卑猥な雰囲気を醸し出している。
僕は秘部への自慰の快感を思い出して、時間がないからどうしようと悩んでいるうちに父様が帰宅した。僕は慌てて袋にしまって枕の下に押し込んだ。
昼間の出来事のせいか、夕食中はほとんど会話もなかった。食事中に誰かが僕の枕の下を覗いたらどうしようかと気が気じゃなかった。それと自慰のことを考えて上の空で何を食べたかろくに覚えていない。
疲労でずっとぼんやりしているようなので今日は早く寝るようにと夕食後の鍛錬もなく、代わりにキース兄様が鍛えて下さいと父様とお祖父様に願い出た。
ちょっと後ろめたい気分だったけど、僕は早々にお風呂に入って寝支度を整えることにした。
部屋に戻ってから気が付かない振りをしていたけど、僕のものはもう硬く張りつめていた。鍵のかかる自分の寝室で早く自慰をしたくて、急いでお風呂を終わらして部屋に戻った。
自分のことは自分でやるという家訓のおかげで、ひとりでお風呂に入れるので本当に良かった。
瓶はピンク色だけど中身は透明な液体で、瓶の蓋を開けると甘い匂いがした。
掌に少し出すと香油より粘度があってゆっくりと垂れた。指で感触を確かめて、自分のものと秘部に垂らした。
潤滑剤は少し冷たかったけど、それすらも刺激になっていた。秘部を優しく撫でながら、硬くなった自分のものを扱いた。
初めて快感を覚えた日から、僕は毎夜のように自慰をしていた。秘部への自慰はジョイスが気になって出来なかったけど、本当は毎日でもしたかった。
「・・・んっ・・あ・・はぁ・・・・」
潤滑剤の滑りがいつも以上の快楽をもたらした。陰茎と秘部を中心に身体が熱くほてり触れてもいない乳首も立っていて、気持ち良さともどかしさでだんだん思考がまとまらなくなってきた。
あの夜以上に秘部に愛液が溢れ、指を難なく受け入れてしまった。まだジョイスに許してもいないのに大丈夫なんだろうかという考えも、すぐに快楽の波に押しのけられてしまった。
指で中を探りそこを擦り上げて快楽に浸った。指の抜き差しでいやらしい音を立てる秘部に、指なんかじゃなくてジョイスのものを突き立てられたいといつの間にか望んでいた。
剣技場で汗ばんだジョイスにもたれた時の肌の感触と、馬車での力強い抱擁と指を吸われたことを思い出し、あのまま抱かれていたらと妄想に浸った。
布越しに分かった硬さと大きさのものに、荒々しく秘部を押し広げて奥まで何度も激しく突き上げて欲しいともどかしげに腰を揺らしていた。
「あ・・いっ・・・ジョ・・ス・・・」
荒い自分の呼吸と漏れる喘ぎ声を抑えることもできずに、僕はジョイスの名前を呼んでいた。
陰茎でも秘部でも何度も達したのに、欲望は治まらずにほぼ一晩中自慰に耽ってしまった。朝方に秘部でイって気を失ってから、目が覚めたのは正午も近かった。
もしかして、誰か起こしに来たかもしれない。シーツも掛けずに丸裸で寝ていたことに焦って、重怠い下半身を引きずるようにして扉の鍵を確認した。
「よかった・・・閉まっていた」
ほっと安心して脱力してしまい、床に寝転がって天井をしばらく眺めた。
ああ、今日は午後からロイス伯父様が来るんだった。こんな身体で上級魔法の授業に身が入るんだろうか。
昨夜の性衝動は潤滑剤のせいじゃないかなという結論に至って、だんだんと腹が立ってきた。
もしやダニエル様が言っていた媚薬なんじゃないだろうか。潤滑剤にそんな成分が入っていたかもしれない。
そういえばニールがデュランに盛るって言っていたよなあ。ジョイスもその案に乗ったんじゃないか?
もしそうならばだまし討ちにされたような気がして気分がよくない。それってひどいよ、ジョイス。
僕は身体を起こして背伸びをした。もうジョイスのバカと怒りながらもその時に本音が言葉に出てしまった。
「・・・ジョイスとしたいなあ」
誰も聞いていないけど周囲を思わず見回してしまった。
ジョイスを好きとか愛しているとかよく分からないのに婚前交渉がしたいと思っている。
昨日、ジョイスにやりたいだけで身体目当てって非難したけど、まさか僕がそうなるとは思いもしなかった。
どうしよう、こんなこと誰にも相談できそうにない。アディ、助けて・・・
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