神様はこの世にいない方がよかったのかもしれない。

ヒノト キオ

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第一章 始まりは異世界転生。

12.  ホームシック アディの話

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  ショーン先生は17年間でアレクシス先生は6年間塔に居た。同じ光属性同士の職場結婚で、子供が今12歳で俺と同い年だ。

 ふたりともかなり早く出て来られたけど一生出られない人もいるので、私達は幸運でお互い良い伴侶と巡り会えたと言っていたけど、やっぱり同じ境遇の者同士として分かり合えるんだろうな。
 俺はいつ出られるんだろうか。このまま一生を終えることになるかもしれないのかなあ。

   塔にはショーン先生が常駐して、アレクシス先生が転移魔法で塔に通っている。サラリーマンの単身赴任みたいだな。たまに交替しているので子供には顔を見せれているそうでよかった。

 塔での勉強は宮廷の礼儀作法と王国の歴史や、近隣国の社会情勢と隣国の言語までかなり座学が多い。
 それなりの能力を求められるのかも知れないけど、王族の婚姻関係から交友関係まで覚える必要があるのだろうか。いつ出られるか分からないのに、今の状況まで把握する必要があるのかな。

 その中で知った名前があって、ちょっとホームシックになりかけてしまった。王太子の第一王子のシェリーにはよく遊んでもらったな。
 騎士団の訓練場で第二王子のジェイミーに意地悪されたのも懐かしい。二度ほどシェリーと一緒に来たんだけど、鼻持ちならない高慢ちきな奴だったな。

 王子って知らなかったと言え、格下の俺達がため口で接していたのも気に喰わなかったのもあるんだろうけど。
 グレイが好きであからさまな意地悪をされたんだよな。俺と間違えてエディを突き飛ばしたのは未だに許せない。グレイが好きなら間違えんなって話だよ。

 王太子妃のユアン様には気に入られて、冗談でシェリーと結婚しないかって言われたのを俺は真に受けちゃったんだよな。子供って冗談が分からないから仕方がないけど。
 グレイと結婚するから絶対無理だし、仮にグレイが死んだら誰とも結婚しないって宣言したんだ。仮の話に悲しくなってちょっと涙ぐんだのを、余計なことを聞いてごめんねって慰められたのは四年も前のことなんだなあ。

 みんな元気かな。グレイはどうしているんだろうか。自分から手紙に書けないから、誰かからの便りにグレイのことがないと分からない。

 妊娠については光属性の自分達がついているから大丈夫だと言われた。未熟な母胎と胎児には回復魔法を掛ければいいそうだ。なんなら俺が習得すれば、ふいに危険な状態になっても自分自身で対処ができるので全く問題はない。

 それだったら、グレイにしっかりと中出しして貰えば良かった。もし子供が生まれたらグレイの足枷になるかもしれないけどね。
 俺を待ち続けてくれるのは嬉しいけど、公爵家の跡継ぎとして良いことじゃない。屋敷や領地の管理や運営をする役割を補佐する伴侶がいないと言うのは大変なことだ。

 うちは父様が騎士団長を務めているので、お祖父様がその役目をかなり手伝っている。キース兄様に仕事を譲って早く隠居したいが口癖だ。
 キース兄様が騎士団入りをしたら、父様に家督を譲るので早く儂を楽にしろって週に一度は聞かされていた。
 お祖父様が生きているうちに出られるといいな。そして一緒に釣りをしてのんびりと過ごしたいな。

 
 
 そうして、塔の生活も二か月が過ぎた。妊娠はしていなかったのでホッとしている。寂しいけどこれでよかった。
 母様にも報告の手紙を書いたので、公爵家にも伝わった頃だろう。なんの問題もなく、これでグレイも先に進めると思う。
 次の相手のことが気になるけど、知らない方がいいこともあるよね。

 そして、エディとジョイスが学園に入学した。卒業するまでの6年間の学園生活をできるだけ楽しんで欲しい。
 正直に言えば俺も一緒に通いたかった。グレイやみんなと同じ制服を着て登校したかったなあ。俺の制服はそのままエディが着るんでいいんだけど、せめて袖を通す位はしたかったな。

 塔での授業は順調に進んでいる。回復や防御や後方支援向きな魔法の授業が一番楽しい。隠居もいいけど、騎士団の後方支援もいいかなあってちょっと思う。父様やキース兄様の役に立てるのもありかもな。

 妊娠もしていなかったし、ちょっと身体を鍛えようかな。妊娠が判明するまでの間、しばらく安静にして身体がなまってしまった。塔の階段の往復で体力作りから始めるか。
 可愛いってだけで貧弱なままで足手まといなんてご免だしね。

 次にみんなと会ったら、誰か分からなかったって言われるように頑張ろう。

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