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その17

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「王子様は本当に何もわかっていらっしゃらないご様子ですこと、ああ、哀れでなりませんわ……」

「何だと?この私が哀れだと?それは貴様だろうが!!!」

「あら、無駄口をたたいていられるのも今の内ですわよ。さあ、もうじき、そこにいるあなたの大切な妹様がお隠れ遊ばされるというのに……」

「なんだと?」

王子は、妹の表情が段々と蛙のように青ざめていくのを見ていた。

「このままですと、夜が開けるころには、もうダメになっているでしょうね……」

「ふざけるな!これ以上貴様の戯言に付き合う暇はないのだ!」

そう言って、王子もまた看守のように懐からピストルを取り出した。

「おやおや、あなた様も死にたいのですか?」

「なんだと?」

王子は思いがけず、引き金を引いてしまった。
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